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最強の獣のまったりライフ   作者: 葉月秋子
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 とはいえ、新しい魔力操作方法とは。

 七年生のエリーは興味を押さえきれない。


 エリーは十五歳。来年、八年生、十六歳になれば成人である。

 学院に残り院生となるか、就職するか、軍務につくか。

 重大な選択の時期が迫っている。


 ここで魔力の質と量を上げておくことが出来れば。こんなチャンスは二度とないかもしれない。


「わかりました、お受けしましょう」



 と、言う事で、研究チームが発足した。


 表向きはカール・フォン・ステルツ教授の補習授業となるが、実際の講師は編入生のノアである。


 入学以来初めて会うな、とエリーは思う。

 繊細な造作の白い面立ち。夢見るような紫の眼。漆黒の髪。

 別人だ、と思いながら、ついその母と重ねてしまう。


 カール・フォン・ステルツ教授がまず皆を注目させる。


「何度も言うが、この実験の事は他言無用だ。

 内容を漏らしたものは即退学と心得るように」


 皆がざわ。と緊張する。


「では。ノア。説明したまえ」


 それは魔術の初歩、意志の力で魔力を一点に集め、詠唱によって発動させる以前になすべきこと。

 体内の魔力を血流と同じように滑らかに自由に流せるようにすること。

 

 流すどころか少し動かすことすら容易ではないというのに。

「魔力が砂利だからうまく動かせないんです、もっと細かく、小さく砕かないと」


 ノアは「魔力を練る」と言う。


「ノアに流してもらえばわかるわ。

 すごく気持ちが良かったの」


 カール教授の魔力交換は、痛く苦しかったのに、とジャニーンが言った。


 他人との魔力交換とはそういうものだろう、と、半信半疑であったエリーも、ノアから流れ込む魔力のなめらかさ、その質と、濃さに驚くことになる。


「ああ。やはりあなたには流しにくい。でも、まだ隙間があるから」

 流せるが受け取れない、とノアは言う。


 学院一の秀才、という自負のあったエリーだが、それが逆に作用するとは。


 これは、下手をすればおいて行かれてしまう。





「おーい、ラビッツ」

「ラニッツだ」


「転入生の様子はどうだ?情報屋」

「買うか?どうせ北寮のやつらに売りつけるんだろ?」

「がめつい奴だな。ほら」


「やっぱり魔力はしょぼいらしいぞ。

 同室の奴らと一緒にカール教授の補習を受けてる」


「へえ。魔無しの王子に特訓中ってわけか」

「じゃ、北寮の奴らが心配することはなさそうだな」


「ああ、だけど、その補習にエリーの奴も参加してるぜ」


「何だと?南寮長が?」

「じゃ、やはり、ステットランに対抗する気だな」

「魔無し王子を担いでか?」

「大義名分さえあれば魔力なんてどうでもいいんだろう」

「引き続き情報をたのむぜ、ラビッツ」


「ラニッツだってば」


 

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