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ノアが魔力の圧縮を教えられるのは、魔力の循環を習い始めて間もない初心者だけ。
既に自分の方法を確定している、上級者には教えられない。
「この話は他言無用だ。公開方法を誤れば大変な騒ぎになる」
「あの方々には?」
ロベリアが口を挟んだ。
「もちろん、知らせてはならん!
特に、彼らには、だ!」
ラダスターンは片手で顔をぬぐう。
「王子の魔力に触れた者たちを隔離。あの場にいた者たちを監視しろ。
しばらく検証が必要だ。
それまでは、絶対に外へ漏らしてはならん」
集まった人々に釘を刺したラダスターンは、会議の終了を告げた。
人々が去り、他人の目が消えた豪華な部屋で、学院長ラダスターンは深く椅子に沈み込み、ためいきをついた。
つい声を荒げてしまった・・・
あの子がそんな爆弾だったとは・・・
カール・フォン・ステルツ教授にさんざん再検査されたノアは部屋でぐったり横になっていた。
『ねこさん』が教えてくれた魔力の使い方は、なんだかとんでもないものだったらしい。
「魔力を練る」ということは、普通はやらないのだと。
教授の魔力の回路に詰まっていた砂利のような塊。
皆あのごろごろした魔力の塊を、そのまま動かそうと必死で訓練を積んでいるのだ。
[あんな塊のままじゃ、重くって、僕にはとても動かせない]
流して練って、練って流して、水のようになめらかに動かせるようになるまで。
『ねこさん』が自由自在に操っていた魔力の流れ。
[君は凄い魔法使いだったんだね、『ねこさん』]
「お呼びですか、学院長」
「うむ。エリー、君に一つ提案があるのだ」