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魔素というものは、どこにでも存在する。
大気と同じように大きな流れとなって世界を循環しているのだ。
この魔素を取り込み、魔力に変換して体内に蓄積する。
体から放出された魔力は魔素に還元されて流れに帰る。
魔素、魔力、魔素と変換していく大きな流れ。
利用される量が多ければ深い大きな急流となり、使われることが少なければ淀み、滞り、薄まってしまう。
生きとし生けるものは、草木に至るまで、すべてこれを無意識に行っている。
この流れに気付き、魔力を意識的に体内に蓄積することによって、魔法を使うことができるようになるのだ。
そう。ここの人族は、魔力を使わずに暮らしている。
体内に入った魔素は、魔力に変換されることなく、そのまま流れ出してしまう。
魔素の蓄積、循環がないから、この地の魔素は滞り、薄い。
生きていくのに不自由はないが、魔力として溜め込んでいくだけの濃さがないのだった。
どこか魔素の濃い地へ行って、思いきり魔力を貯め込みたい。
足りない。
切ない。
オオオオォォォォォーーーーーーーンンンンン。
どんがらがっしゃん!
心の叫びだ!邪魔するなよぉー!