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すみません、投稿予約に失敗していました。
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体育系みたいに元気な講師、バートラムは、二人の後ろに回って、またノアの背をバンバン叩く。
「君は初めの三か月の授業を受けていないからなぁ。
魔力の行使時の詠唱の大切さを、習っていないのだ。
詠唱はイメージを現実に置き換えるための大事な工程の一つだ。
詠唱によってイメージを強化し、体内の魔力を杖に収束させ、魔法を打ち出すのだ。
カール教授が君を特訓し、遅れを取り戻してくれる。
すぐに皆に追いつくさ。
頑張り給え、きみ!」
「そう、まず体内の魔力を感じ、動かすということが難しいの」
「魔力は・・・動かすの?」
流すんじゃなく?
「そう。カール教授の特訓を受けているのでしょう?
教授のように魔力を流すことが出来るまでには、長い訓練がいるのよ」
「あれは・・・痛いよ・・・」
あんなのは、流すとは言わない。
たくさんの砂利が転がり込んできたような違和感を思い出して、ぞっとしながらノアはつぶやく。
「そう、最初は苦しかったわ。
魔力を動かすことが出来なくて」
「魔力は、流すんだよ」
「だから、初めは、そんなこと、無理」
流すんだよ。『ねこさん』が「おて」して僕にやってくれたように。
あの懐かしい、温かい、肉球の手触り。
ノアは少女の手を取り、掌からちょっと魔力を流してみた。
「ほら」
「えっ!」