116/225
9
9
一年生の授業は午前は座学、昼食後は魔法の実践となっている。
魔力測定で午前の時間がつぶれたので、ノアは昼食時に初めて南寮の全員と顔を合わせる事となった。
学年ごとに分けられた大テーブルが並ぶ大きな食堂。
一年生は、ノアを入れて男女合わせて二十八名。座席に順番はない。
ノーランとダリルに挟まれて座ると、残る二十五名の眼が一斉にノアに向いた。
「聞いていると思うが、途中から編入したノアールだ」
「ノアだ」
紹介するノーランの言葉に、ノアが重ねる。
「国王の末の王子」
「魔無しの王子だ」
「ひ弱そうだな」
離れたテーブルから聞こえるささやき。
二十五名が次々に名乗ったけれど、ノアにはとても覚えきれない。
「ローランディアでは魔法を使わないんですって?不便でしょ」
「帝国がローランディアに攻め込んだそうだな」
「戦いを見た?}
矢継ぎ早に繰り出される、質問にも辟易する。
ろくに答えられないうちに、スープが運ばれ、食欲旺盛な子供たちが一斉に黙って食べ始めたので、ノアはほっと一息ついたのだった。