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カール・フォン・ステルツ教授の話を聞いたラダスターンは額に手をやった。
「やはり、魔無しの王子か」
「魔力量は少ないし、何より回路が細いのだな。
私の流す魔力を受け入れられないのだ。
ローランディア育ちでは、無理もない。
まあ、私の特訓を受けさせれば、少しはましになると思うが、あまり期待はするな」
自我も弱く、優柔不断な性格のようだった。
南寮の代表にするには役不足か。
「では、やはりエリー・ラムシスに期待するしかないな」
魔力を流して、練る。練って、流す。流して、練る。
その、繰り返し。
暖かい、流れの交換。
『ねこさん』はそれしかさせてくれなかった。
『発動させるのは、まだ早い』って。
ほんとにここの授業についていけるんだろうか。
ノーランはノアの時間割や教科書をそろえながら、慰めるように言った。
「じゃ、しばらくは魔術の授業は見学ですね。
カール教授は、初心者に魔力を発動させることに関しては、第一人者。
特訓を受ければ、必ずうまく使えるようになりますよ」
「あんなに苦しい方法で?」
「そりゃあ・・・初めはつらいですよ。
みんな乗り越えてきたんですから。頑張ってくださいよ、ノア王子」
いいや、違う、そんなことじゃなくて・・・。
説明できないもどかしさに、ノアは苛立つ。
「とにかく、見学してごらんなさい。
ほかの生徒が魔法を使うのを見てたら、きっとやる気が出ますから!」