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引き下がろうとした手をカール教授が捕らえ、放してくれない。
「逆らうんじゃない。痛むのは、始めだけだ。ノアール」
だけど、これはっ!
血管の中に砂利を流し込まれているような、激痛と違和感。
魔力の流れに逆らい、暴力的に押し込まれる粗野な異物。
『いやだ!やめろ!いやだ!』
急に、手が離れた。
体内を循環する魔力の中に、ごろごろと転がる小石のような塊。
涙目になってうずくまったノアは、吐き気を押さえながら小石のような異物を砕き、細かくして魔力の流れに乗せて、流し去る。
『ねこさん』から湧き水のように流れ出す、滑らかな魔力とは大違いの粗雑さ。
こんなの、むちゃくちゃだ・・・。
「私の魔力をほとんど受け取れなかったな。
魔力の全量も少ない・・・これは・・・」
「魔力を使わぬローランディアで育てられたのですもの。
無理もありませんわ」
「そうだな。よし、これから毎日、私が特訓してやろうではないか。
すぐに、皆に追いつくとも。
あきらめるなよ、ノアール」
・・・何か、変だ。
ノアは思った。
なんだろう。これ。
『ねこさん』との訓練は、こんなものじゃなかった。
しかし、言葉にすることが出来ず、ノアはただうなだれる。
いままで一生懸命続けてきたことは、何だったんだろう。