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最強の獣のまったりライフ   作者: 葉月秋子
113/225



 魔力の測定と、初めての魔術の授業。


 ノアが呼ばれたのは、明るい日差しが入る、こじんまりした部屋だった。


 中央の丸い小卓に置かれた、子供の頭ほどもある、水晶珠。


 その後ろに座って両手を組んでいるカール・フォン・ステルツは、いかにも魔法使いめいた年寄り、ではなく、愛想のいい笑いを浮かべた、くすんだ金髪に青い眼の、黒いローブをまとった中年の男性だった。


「初めまして。ノアール君。

 私は初心者の魔術訓練を担当する、カール・フォン・ステルツ教授。

 これは助手のロベリアだ」


 横に立つ、同じく黒のローブの空色の髪の女性が、ノアに声をかける。


「こちらへいらっしゃい、ノア。

 新入生の最初の授業に入る前に、あなたの魔力の大きさを測らせてもらうわ。

 両手でその玉を包んでちょうだい」


 ごくり、とつばを飲み込み、ノアは卓に近づいた。


 これが、最初の、試験。


「初めて触るのね、怖がらないでいいのよ。

 痛くもなんともないわ。

 あなたがどれくらいの魔力の許容量を持っているのか、調べるだけ」


 怖がってなんか、いない。

 そう、ただ、緊張してるだけだ。


 小柄なノアは、手を伸ばし、水晶珠に触れる。

 包むと言っても、小さな手は珠の両側に置かれるだけ。


 すると珠の中央にぽっ、と光が現れ、淡く広がった。


 柔らかな淡い光に、女性はちょっとがっかりしたような声で言う。


「うーん、たいした量ではないのね。

 でも、魔力は確かにあるのだから、心配しないで」


「練習していれば、少しずつ増えていくものだよ」


 座っていたカール教授が立ち上がり、ノアの前に立った。


「確かに、王族にしては少なすぎるな。

 だが、悲観することはない。

 今まで、発動させたことはないのだね。

 では、君の手を。

 これから、私が軽く、君に魔力を流す。

 感じて、受け取ってみなさい。

 君の魔力を呼び出す、井戸の呼び水のようなものだ」


 そう言って、教授はノアに両手をのばす。


 ああ、『ねこさん』とやった、魔力の交換と同じことをするんだな。


 ノアは、ためらわず手を伸ばす。


「いいかね。リラックスして」


 しかし。


 手を取られた途端、いきなり流れ込んできた激しい痛みに、ノアは悲鳴をあげたのだった。

 


 

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