14話 月のお姫様
健太とお使いに行って、陰陽師に襲われてから一日たった
幸い白花の傷は軽傷で済み普通に動けるまで回復していた
流石妖怪、いくら力がなくても再生能力は多少あるようだ
お父さんが帰ってきて事情を話したらしばらく外出は控えた方がいいそうだ
まぁそれはしょうがないのかもしれない。また見つかって襲われたら生きて帰れるか分らないし
だが猫として外出するならバレる可能性は低いだろう
そんな甘い考えで私は外出をしていまった
う~ん
とりあえずうろうろしてみよっかな
するとそばにいた貴族と思われる人が話していた
「なぁ、絶賛の美女と言われる人がこの京にいるそうだが会ってみないか?」
「それは是非とも拝見してみたいな、よし我も見に行こう」
絶賛の美女?
多分お歯黒しておかめさんみたいな人なのかな
どっか行く用事もないしこの人達について行ってみよ
うむ
相変わらずこの猫の視点には慣れないな
まわりの人が全部おっきく見えてちょっと怖いのだ
しかもこの真っ白な姿じゃ目立つしね
迷わないかって?
猫の潜在能力をナめるでない
フハハハハハハ
おっ貴族達が立ち止まった
ここが噂の美女の家なのかな
「ついたぞ、ここがかぐや姫の家らしい」
「そのようだな、もう他の奴らがたかっておる」
ん?ちょっと待て
かぐや姫ってあのかぐや姫!?
竹取の翁とかってやつですよね!?
小学生の時劇でやったなー
まぁ役は聞かないでくれ
てか、かぐや姫って実在したんだ
だとすると今は平安時代なのか?
とんだ時代に転生しちゃったんだね
すると屋敷の使用人らしき人が出てきた
「姫様はお疲れになっているので、今日の面会はここまでにします」
「なんじゃ、今日は会えぬのかならば帰るとするか」
ぞろぞろと貴族と思われるおっさん達が帰ってきた
ふふふ、私がおいそれと帰ると思うかな?
今の姿は猫なのだ!
だから簡単に侵入してお顔を拝見することができるのであ~る
あっ、偶然にもそこの塀に私が通れるぐらいの穴があいてる
よし、そこから潜入しよう
今人の姿だったら変な女がよっつんばいになって穴に入ろうとする奇妙な光景が見られただろう
おお、中庭に出た
結構綺麗なお庭ですな。まさに日本庭園って感じ
さぁ~て姫様はどこかな?
sideかぐや姫
「はぁ...今日も貴族達の相手で疲れたわ、なんであんなおっさんに私が惚れると思うのかしら、でも絶対に出来ない難題を吹っ掛けたからもう求婚はできないでしょうね。だってあれらはこの地に存在しないもの」
「姫様、今日もお疲れでしたね。お茶をどうぞ」
「ありがとう婆や」
side白花
おっおお、縁側に座ってるのがかぐや姫かな?
確かに凄く綺麗だなぁ...
私なんかより全然キレイだ....
婆やと言われてたおばあさんもどこかへ行ったしちょっと近寄ってみようかな
猫だから警戒はされないよね、多分...
「にゃぁ~」
「えっ誰?あっ...猫か。迷い込んできたの?」
私は黙ってかぐや姫のそばに近寄る
「あらあら、そんな警戒もしないで近寄ってきちゃって」
するとかぐや姫は私をすっと持ち上げ膝の上の置いた
「あら、毛並みも綺麗でなかなか可愛いわね。私のペットになる?」
「やめとくよ」
「なーんて猫が喋るわk...喋ったぁ!?」
なんか友達になってくれたら楽しそうだし話しかけてみた
「驚かせてごめんね、実は私妖怪なんだ」
「妖怪!?私を食べるつもりなの?」
「んなめっそうもない」
ボンッと人型になる
「うわぁ!」
「あーまた驚かせちゃったか、こっちの方が喋りやすいんだ」
「そっそうなの...でさ、なんで私のとこに来たの?」
「んにゃ、なんとなく」
「ところで貴女の名前は?私は蓬莱山輝夜」
「あっこれは失礼、私は白花。ただの猫妖怪です」
「白花でいい?私のことは輝夜って呼んで」
「分った、輝夜」
「貴女って妖怪なんでしょ?自由でいいわよね」
輝夜は何故か遠くを見つめながら言った
「うーん楽しいけど、不自由のない輝夜の生活もいいと思う」
「いいえ、不自由だらけよ。毎日貴族達が私の外見だけに惚れてやってくるの、もう貴族の相手はうんざりだわ」
「外見で決める男ですか、ダメだねー」
前世が男だった私にはよくわかる
「それでね、次の満月の夜に月から迎えが来るの。強制的に帰るハメになるわ、もっとこの地上を見ていたいのよ」
「逃げることは無理なの?」
「まぁできることはできるけど多くの血が流れることになるわ」
「出来る事とは?」
「月にね、私の恩師がいるの。その人も一緒に迎えにくるわ、その人は私の意思に賛成してくれると思うの、きっと逃走を手伝ってくれるわ」
「私も逃走を手伝おうか?」
なんか凄く輝夜が可愛そうになってきた
私に出来ることがあれば何かしてあげたい
「いいえ、とても危険だわ。貴女が死んでしまったら私も悲しい。でも貴女は私を手伝ってくれたわ、こうやって話を聞いてくれるのはとても嬉しい」
「当然だよ、自己紹介したんだから私達は友達だもん」
「友達ね...ありがとう」
「さぁ輝夜も元気出して!!」
「うん、頑張ってこの地に残るわ!」
こうして私は輝夜と友達になった
帰路についた白花を誰かが見ていたのは言うまでも無かった
やはり見つかっていたのだ
案の定無断で家を出たことを、お父さんにたっぷり叱られましたとさ
時間があったらなるべく毎日投稿したいと思います




