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あるものの死

作者: Python

 私はもうすぐ死神に連れ去られる。

 そして地獄に連れて行かれ、地獄の業火に焼かれるのだ。


 昨日まで私には、あたたかい家があった。

 しかしその家から、私は追い出された。


 もうすぐ命が尽きる私を、悪魔が見ている。

 真っ黒な衣をまとった悪魔が奇声をあげながらこちらを見ている。


 道端に転がる私の前を多くの人が通る。

 しかし私の方を見る人はいない。

 見たとしても、顔をしかめるだけだろう。


 私に未来はない。

 私にもう生き延びる道はない。

 私にはもう動く力はない。

 静かに死を待つだけだ。


 いつのまにか悪魔が目の前にいた。

 悪魔はためらうことなく私の皮膚を破る。

 私から血が流れた。

 悪魔は、構うことなく私の中身を引きずり出す。

 しかし悪魔は私を殺すことをしない。

 ただ、もてあそぶだけだ。


 死神がやってきた。

 ついに私は死ぬようだ。

 死神は私の前に立つとその、大きな口をあけた。

 私と同じような格好をしたものたちがその口に吸い込まれてゆく。

 そして私の番になった。

 死神の子分に持ち上げられ、私は死神の口へと吸い込まれていった。



「……まったく、勘弁して欲しいよなぁ」

助手席に乗り込んできた相棒が言った。

「ああ、またか」

 俺は車を発進させながら答えた。

「……まったく、カラス防止ネットくらい被せろってんだ」

 相棒はまだブツブツと言っていたが、俺はそれ以上答えずゴミ処理場への道を急いだ。


どの行で「私」の正体はわかりましたか?

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