ep,6 ギルド試験があるらしい
「これって明らかに日本人の名前だよな...?」
というか俺と同じ名前だし、何もかも仕組まれたかのようで少し気持ちが悪いな。
気にしたところで意味がないのはわかっているが流石にこれは情報を集める必要がありそうだ。
この大きさの町なら図書館の一つや二つあるだろう。
そこなら英雄のことについて多少は知れるはず、ともあれまずはギルドに行ってみよう。
英雄の像の横にはこの町の地図があり、どうやら南に進めばあるようだ。
街を歩いていると露店があったり武器屋、家具屋などいろんなものがあり栄えているのが一目瞭然だ。
「こんだけ栄えてるのに、なんでギルドはボロボロなんだ?」
道を歩いていると悪い意味で目立つ建物がありまさかとは思ったが、そのまさかだった。
「冒険者たちが酒を飲んでいつ暴れだすかわからないからなぁ!一々新築みてぇに奇麗にしててもキリがねぇだろ?兄ちゃん。ギルド【ヘファイ】にようこそ!依頼を受けに来たのか?」
無意識に声に出していたようで後ろにいた大柄な男性に話しかけられた。
大柄、いやこれ大柄って言葉に収まってないぞ、こわっ
「あぁいえ、依頼ではなく冒険者になりに来ました。」
しどろもどろにそう答えるとその男性の顔が曇った。
「お前アレスギルドの人間か?この時期に冒険者になりたいだなんて」
アレスギルド?本でも見たことないな。
「アレスギルドというのは知らないんですが、なんかこの時期に冒険者になるのは都合が悪かったりするんですか?」
素直に思ったことを話すとその男性の顔が少し優しい顔になった。
「なんだ兄ちゃん、知らねぇのか?まぁいい、とりあえず中に入んな。」
男性が中に入っていくのについていく、が、なんでか知らないがすごい奥まで連れていかれた。
「アレスギルドの話をすんなら表で話すわけにはいかねぇからな。とりあえず兄ちゃんはギルドに入りに来たわけじゃあないんだよな?」
ん?ギルドに入るのと冒険者になるのは違うのか?
「えっと、はい。とりあえず冒険者になりたいだけですね。」
勉強不足がここで響いてくるとは、
「わかった。まず、兄ちゃんが本当にアレスギルドの人間じゃないか調べる。このたまっころに手をかざしてくれるか?」
言われたとおり水晶のような玉に手をにかざすとその球が薄く光った。
「この魔力量なら問題はねぇな。悪いな兄ちゃん。最近アレスギルドの野郎どもが初心者を装って冒険者を狩る事案が大量発生しててな。警戒が強くなってるんだ。俺はこの【ヘファイ クイル支店】のギルドスターのグンジだ。この紙に兄ちゃんのスキルとレベルをかいた後軽い試験でランクを決めれば冒険者になれるぞ」
アレスギルドの初心者狩り、なるほどそういうことか。だからギルドの奥に連れていかれ、ギルマスに連れていかれている俺は周りから大罪人かのように見えていたと。
アレスギルドの恐れがあるのにわざわざ奥まで連れて行くなんて、この人相当実力があるか、ただの馬鹿か。
「いろいろといらぬ心配をさせてしまったようですみません、グンジさん。早速書きますね!」
俺は紙にレベルとスキルをかいた。もちろんごみ拾いと失われた調合は書いていない。
ばれたらめんどくさいことになるのは目に見えている。
書いた紙を渡すとギルドマスターが少し驚いた顔をした。
「おお、その年で中級剣術か。見込みがありそうだ。早速軽い試験を受けてもらうが準備はいいか?」
「はい、かまいません」
そういうと闘技場のような場所まで連れていかれた。
「武器は好きなのを選べ、今から五分間俺と本気で戦うことが試験だ。負けても勝っても試験は合格。あくまでもランクを決めることが趣旨だからあまり固く考えるなよ。」
俺の対角線にギルドマスターは立った。
武器か...。
俺は中級剣術を持っている、なら剣をを使うのが普通だろう。
でも素手に剣を使うのはいささか気が引けるな、
「言っとくが俺は素手でSランクまで行ってる。中級剣術の剣さばきじゃ傷一つつかねぇぞ。遠慮はいらん、剣を使え」
俺の考えを読んだかのようにギルマスは自信満々にそう言い放つ
ここで手加減するほうが逆に失礼になるな。
俺は剣ではなく短剣を取り短剣を構える。
「これが俺の本気の武器です」
「いつでもこい」
ただやみくもに突っ込むだけでは勝てない。勝つ必要がないのはわかってる。
でも勝つ気でいかないとCランクにすら届かないかもしれない。
なら俺がやるべきことは、「STPを20速度に、体を追いつかせるために筋力にプラス20、最後まで戦いきるために体力にプラス10」
後は簡単だ、上げた速度で一気に後ろに回り込み、筋力で無理やり攻撃をする。
『スキル《縮地》を獲得。』
「思ってたよりも早いが甘いな。」
目が追いつくよりも先に後ろに回ったはずなのに先ほどまで前を向いていたギルマスの体がこちらを向いていた。
まずい!
ギルマスがこちらに振りかぶった拳を間一髪で体をひねりよける。
今のは運だ。問題はこの後、よけた後確実に隙ができる。
そこを狙われたら終わりだ。
だけどそこでギルマスにも隙ができる。
「終わりだ。」
そういい放ちギルマスは拳を振り上げる。
俺は片手でまた体をひねりブレイクダンスのような動きでギルマスの顔を蹴り上げる。
筋力を上げてなかったら終わりだった。
ギルマスが少しよろけた。
ここで畳みかける!
スキル《縮地》を使ってそこに《中級剣術》を無理やり組み込む。
『スキル《縮剣》を獲得。』
「終わるのはギルドマスターあなたです。」
そう言った俺の短剣はギルマスの首にあたっていた。
現在のステータス
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ヒサメ シュンイチ
種族:人間
称号:異世界の住人 小鬼の駆逐者
Lv: 17
SKP:1
STP:47
職業:無職
HP: 270
MP:10/31
筋力:62
体力:54
速度:56
知能:50
感覚:43
スキル
《言語習得》《失われた調合 Ⅰ》
《気配探知 Ⅰ》 《初級剣術 Ⅰ》
《縮地》《縮剣》
固有スキル
《ゴミ拾い》《他人格AI リズ》
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