ep,5 英雄の首都に行くらしい
【グシタルフ】の首都[クイル]は通称英雄の首都と呼ばれ、街の真ん中には英雄の像が立っている。
世界五大ギルドの一つである【ヘファイ】の本拠地ともなっている。
「ってところか?この本に書いてあるのは」
俺はリズの助言もあって朝っぱらから本を持ち首都に向かって歩いていた。
どうやら首都に入るには入場料がいるらしく、入場料を免除するには冒険者でCランク以上になる必要があるらしい。
世の中金だなやっぱ。っと、
「探してる薬草ってこれで合ってるのか?リズ」
『はい。初級ポーションの材料≪ダミ草≫で間違いありません』
案外家のすぐ近くにあってよかった。これを売れば入場料が確保できる。
適当に何個かとって首都に向かおう。
『未確認のゴミを確認。吸収しますか?』
「え?」
もしかして近くで魔物が死んでるのか?
いやでもあたりを見渡してみてもそんなものはない。
「うーん。まぁ前の吸収を見た感じ害はなさそうだしいいか。やってくれリズ」
『スキル≪失われた調合 Ⅰ≫を吸収。習得するにはステータスポイントが10必要となります。』
「スキル⁉スキルまで吸収できるのかこのスキル。どういう原理だよ全く、にしてもステータスポイントか。あまりにも多く獲得できるからおかしいとは思ったけどこういうことか」
ステータスポイントはまだ使ってなかったなそういや。よし、物は試しだ。
「習得するから10割り振ってくれ。リズ」
『マスターの了承を確認。≪失われた調合 Ⅰ≫を習得しました。初級ポーションが通常よりMP消費を20%低く制作できます』
聞けば聞くほどチートだな、なんであの女の人は俺にこんなスキルをくれたんだろう。
まぁ今はありがたいしいいか。
それにしても失われた調合か。多分もう誰も使わなくなったからゴミとして認識されたんだろうけど、この調子でいくといろんなスキルを習得できそうだな。
「初級ポーションのコストは何なんだ?」
『MPを10 ≪ダミ草≫を5つ消費してスキルを発動することで初級ポーションを作成可能』
ってことはMP消費は8か。
今の俺なら作れるな。
「よし、作ってみよう」
ステータスボードをタップして初級ポーションを製作する。
「おぉ、、」ダミ草が光り、瓶に入った液体が現れる。
瓶はどうやってできたんだろうか。これもはや錬金術じゃないか?
これならただのダミ草より高く売れそうだし寄り道はここまでだ。
首都に向かうぞ。
そうしてリズの誘導に従ってしばらく歩いていると石塀が見えてきた。
石塀にそって歩いていると甲冑を着た人が立っていた。
この世界にきて初めて見た人間だ。
「本当に存在してたんだな、」
ここに来るまで人間が誰一人いなかったからか少し感動だな、
入り口に近づくとその甲冑の人間が話しかけてきた。
「旅客なら銅貨3枚。冒険者ならランクカードを提示してください。」
俺にはどっちもない。けど何とかなるはず、リズの言ってることがあってればだけど。
「すみません。今手持ちを持ち合わせていなくてこのポーションで何とかなりませんかね?」
普通ならどうにもならない。地球だったならなおさら追い返される結末になるだろう。
でもこの世界は違う。
リズの情報ではダミ草5個で銅貨3枚、初級ポーションで銅貨10枚が相場だ。
つまりこのポーションを売ればかなりの利益が出る。
導き出される結末は、
「確かに受け取りました。通っていいですよ」
笑顔でそう言い何事もなかったかのようにポーションを懐に入れた男を横目に俺は首都に入る。
リズを信じて正解だったようだ。
「やっと来れたか。めっちゃ人いるな!」
少し興奮気味で中心に向かって歩いていく。
中心には英雄の像が立っておりその下にはこう書いてあった。
【英雄シュンイチの像】
現在のステータス
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ヒサメ シュンイチ
種族:人間
称号:異世界の住人 小鬼の駆逐者
Lv: 17
SKP:1
STP:97
職業:無職
HP: 270
MP:10/31
筋力:42
体力:44
速度:36
知能:50
感覚:43
スキル
《言語習得》《失われた調合 Ⅰ》
《気配探知 Ⅰ》 《初級剣術 Ⅰ》
固有スキル
《ゴミ拾い》《他人格AI リズ》
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