9 新たな仲間
ギルドに着く。
「じゃ、私は報告しとくからなんかしてて」
「なんかってなんだよ」
無視された。
「ハルト〜。ここでいいからしましょ」
「嫌だよ」
「なあ、お前ら。ここは?」
「あ。魔物だからわからないな。ここはギルド」
そういえば、なんで魔物なのに入れてるんだよ。
「お前らはギルドに用があってきたの?」
「そうだな。俺らはギルドハンターだよ。魔物を討伐するのさ」
「じゃあ私は倒されるの?」
「倒さないよ。害はないからな」
「そうなんだ……よかった……」
サザンがさっきから弱々しい。守りたくなる。
「ハ〜ルト。そんなサキュバスほっといて私とデートしましょ!」
「ちょっと待て。待ったらご褒美をくれてやる」
「ご褒美って?」
「お楽しみに」
するとサザンが口を開く。
「私もハンターになりたい」
「急にだな……。でも、魔物っていけるのかな?」
「みんな、お待たせ」
「あ! アンス。魔物ってハンターになれるの?」
「何よ急に」
「サザンがハンターになりたいって」
「まあ少ないけど魔物でハンターはいるわ。でもなるには人間に害がないって証明しなきゃいけないの。それに魔物討伐がほとんどだから仲間を倒さなきゃいけないけど……」
「そこは大丈夫。私、友達いないもん」
心が痛い。
「じゃあなってみる?」
「できるの?」
「できるよ。さっそく受付に行こうか」
「分かった」
「ということで、ハルトとヘデラは解散で。また家で集合ね」
アンスとサザンが離れていく。
「デ〜ト。し〜ましょ」
「い〜やだ。だ〜まれ」
「そういえば、ご褒美は何?」
考えてなかった。
「で、デートとか……」
「なんだ。ハルトもしたかったのね。もう、ツンデレなんだから」
「変態じゃないならいいか」
「馬鹿にしないでよ!」
俺とヘデラはギルドを出る。
「どこ行く?」
「その辺でも歩いとこ」
「お散歩デートね。そして歩き疲れた私をベンチで休憩させるの。でもハルトが汗ばんだ私の服を見て、興奮が抑えられなくなって……」
「うるさい」
町を歩いていく。
「あら。ハルトさん」
「あ! マズミさん」
「え? 知り合いなの? この人と」
「うん。アンスを探した時に会ったんだよ」
「てことは三人で……」
「してない!」
「あらあら、仲がいいようで」
仲がいいのではなく一方的な愛だが。
「そちらの方は?」
「私? 私はヘデラよ」
「アンスのパーティーの一人だよ」
「私はマズミと言います。よろしくね」
「ハルトには近づかないでね」
「おいお前。マズミさんに失礼だろ!」
「まあ、お二方、付き合ってるの?」
「そうよ! ハルトは私が好きすぎておかしくなってるの」
「ヘデラが俺を好きすぎておかしくなってるんだ。だから虚言がでる。今のもな」
「どちらを信じれば……」
「まあ、アンスに聞けばすぐ分かるよ」
「そうですか。それよりヘデラさん。あなたまるで女神……」
まずい! 女神ってことがバレたらややこしくなる。
「……のような美貌をもってるのね」
はえ。
「褒めてくれてありがとう。でもハルトは裏切れないからそこはごめんね」
「まあ、奪いませんよ」
「じゃ、またね」
マズミさんが見えなくなる。
「なあ、女神ってバレなかったな。あの人一応シスターだけど……」
「そりゃそうでしょ。地球にいた時、私を信仰してた人っていた?」
いないと思う。
「神ってのは所詮人間の想像物だからね。いたら逆に怖いわ」
確かに。
「それよりも暑いね〜。上、脱ごうかしら」
「まて! 下着姿になるんじゃない!」
「なんでよ。私はハルト一筋よ。ナンパなんて全部断るわ」
「俺が困るんだよ。また勘違いされる」
「もう取り返しつかないからいいじゃない」
よくない。
「もう全部一人でやってくれ。俺はもう帰る」
足早に帰っていく。
家に着くとアンスとサザンが出迎えてくれた。
「ハルト君。私ハンターになったよ」
「よかったな」
「私が何とかして融通を利かせたからね」
「サザン。筆記試験受けただろ。何点だった?」
「えーとね。満点だった」
「は?」
「あのテストで満点だと……」
「全部引っ掛け問題だったよ」
まじかよ。運転免許の学科試験みたいな感じか。
「サザンって頭よかったのか……」
「少なくともヘデラやハルト君よりはね」
「ま、そんなことより晩御飯にしましょうね。どうやらサザンは料理ができるらしいの」
きた! そんな仲間を待ってたのさ!
「食材も買ってきたから作っちゃいましょ」
「任せて」
サザンが台所に行った。
「サザンは本当に料理ができるのかしら?」
「まあ、誰かさんみたいに媚薬を入れなければなんでもいいがな」
「そんなこと言う口はこれかな〜♡」
「やめろ! 来るな!」
「あなたたち、本当に仲がいいのね」
「そう見えるアンスは病気だよ」
「そうかしらね?」
口を近づけてくるヘデラを押し退ける。
「そういえば、ハルトとヘデラは何歳なの?」
「俺は十六歳。ヘデラは?」
「私はね〜。何歳だろうね〜」
濁すな。
「ねえ、ハルト。年上と年下、どっがタイプ?」
「年下だが……」
「じゃあ私は十五歳ね」
「かなり適当ね。答えたくないならそれでいいけど」
「アンスはいくつなの?」
「十八よ」
「年上だったのか。まあ予想通りだな」
「お姉ちゃんって呼んでもいいのよ」
「無理ですね」
「お前ら〜。ご飯できたよ〜」
お! できたのか!
「運ぶの手伝うよ」
机にご飯を並べる。
「米に魚に、野菜。美味しそうだな」
「今日は気合い入れたから、美味しかったら嬉しい」
媚薬が入っていなかったらなんでもいいや。
「「いただきまーす」」
料理を口に運ぶ。
「わ! 美味しい! いつも買ってる惣菜と全然違う!」
「本当ね。美味しいわ」
「サザンすごいな」
「お前ら、ありがとう」
「どこで料理を?」
「私、捕まえた男の人の料理を作ってた時があったの。多分それでできるようになった」
なんか触れにくい過去だ。
「まあまあ、それよりもサザンがパーティーに入ってくれるって!」
「おお。これで戦略が上がったな!」
「だからね。一回みんなの能力を確認しようと思うの」
「そうだな。サザンは魔法とかできるの?」
「できるよ。でも攻撃とかじゃなくてサポート中心だけど」
「そう言う人が一人でもいてくれたら助かるのよね〜」
「たとえば何ができるの?」
「精力アップとか」
「本当に!? じゃあさっそくハルトにかけてよ!」
「しなくていい!」
「みんな落ち着いてよ。能力を確認するわね。私は物理攻撃が得意よ」
「私は攻撃魔法ね」
「私はバフ魔法……」
「俺は……」
何ができるんだろ。
「ハルト君って何ができるの?」
「えっと、全部できるな」
「できてもレベルはかなり低いけどね」
「まあハルトはいてくれたらいい存在ね」
「やめてくれよ。俺だけ仲間バズれみたいじゃないか」
「ハルト君も立派な役割はあるよ」
「お! なに?」
「この中だったら竿や……」
「はいストップ。サザンはしゃべるな」
悲しそうな顔をする。が、どこか笑ってる。
ご飯を食べ終え、寝る準備をする。
「じゃあ私とサザンは居間で寝るから、寝室はあなたたち二人で使ってね」
「分かったよ」
「アンス、私が寝るまで起きててくれる?」
「いいよ」
そんな会話が聞こえた。
「そういえば、ヘデラは俺のこと襲わないのな」
「当たり前じゃない。私の気持ちはハルト第一よ」
「いつもの言動は?」
「あれはハルトに好きになってもらうためのもの」
「そっか。もう寝るか」
「そうね。おやすみ」
布団に入り、目を瞑る。
サザンってどんな人生を過ごしたのかな。
気になる。いきなり俺のことを君呼びするし。
まあ、本人が話したくなった時に聞けばいいか。
「ハルトの背中にキス♡」
「うわ! やめろ! 俺の背中の初めてが!」