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6 欲求


 「はいこれ。お金は三等分ね」


 ギルドに帰り、報酬を受け取る。


 「五千マニーよ。好きなように使いなさい」


 マニーとは通貨のこと。日本円と同等の価値だ。


 「アンスには装備代を借りてたな。ほら、返すよ」


 「あら、ありがとう」


 「残りは服でも買うか……、どうしたんだ? ヘデラ」


 「いやー。ハルトのえっちい服を想像してたの」


 こいつは本当に帰ってくれないかな。


 「服を買ったら家にきてね。魔法の使い方を教えるから。それまでは解散で」


 アンスは颯爽とギルドから出る。


 「じゃ、私たちはデートね」


 俺たちもギルドを出た。


 服屋に来ている。


 「ねえ! ハルト。これとかどう?」


 「その格好で試着室から出るな!」


 かなり露出がある服をヘデラが着ている。

 俺の腰が燃えそうだ。


 「まあここは無難に無地の服にしとくか」


 「この服とかハルトに似合いそうじゃない?」


 「そんな胸元を見せびらかす服なんか欲しくない」


 「そう……残念だわ……これを着たら私、興奮が抑えられなさそう……」


 なおさら着たくない


 「この服ください」


 「はい。二千マニーね。ありがとうございましたー」


 さっそく着替えて外に出る。

 あのアンスから借りた服の匂い、よかったな〜。


 「ねえ、ハルト。そんな気持ち悪い顔してたら周りに変な誤解を生むわよ」


 「俺はお前にしか眼中にないから別にいいよ」


 「あら〜。じゃあここでしちゃいましょ。他の人なんて眼中にないなら、私の物って見せつけてやろう!」


 ヘデラの扱いも分かってきた。

 俺が少しでもアピールしたらすぐに言うことを聞いてくれる。

 それよりもギルドハンターはあれぐらいの魔物を平気で倒さないといけないのか。

 俺の異世界生活はかなり苦労しそうだ。




 「遅かったわね」


 「まあな、ヘデラが俺にせがんできたから大変だったよ」


 「そう言うヘデラはどこにいるの? いつもならあなたについて行ってるのに」


 「ちょっと買い物に行かせてる。はっきり言うと邪魔だからな」


 「あなた、なかなかひどいこと言うのね」


 「そんなことはどうでもいい。早く俺に魔法の使い方を教えてくれ!」


 「いいわ」


 するとアンスは俺に近づき手を握った。


 「何するの……アンス。告白ならまだ心の準備が……」


 「なに言ってんのよ。私はヘデラじゃないわ」


 それはそうだ。ヘデラが二人になったら俺はもう旅に出てるところだ。


 「これはね。あなたの体内にあるエネルギーを使いこなすためにやってるんだから」


 その瞬間、体が浮いた感覚になり、俺の手から光が出てきた!


 「おお! すげー!」


 「今の感覚さえ掴めば、魔法は使えるわ」


 「よし! じゃあ早速、ヘデラが使った魔法をやるぞ!」


 「あなた、馬鹿なの? ヘデラは魔力がすごく高いからあんな魔法が使えるの」


 「じゃあ俺は何が使えるんだよ」


 「もっと簡単な魔法よ。見てて」


 そう言いアンスは手をかざし赤い光を帯びる。すると俺の剣を取り出しその光に当てる。


 「今のは威力を上げる魔法よ。これさえできればある程度の魔物は倒せるわ。やってみて」


 俺の剣を渡し、笑顔でこちらを見る。


 「こんな感じかな~」


 俺は見よう見まねでやってみる。

 すると俺の手からアンスと同じような光が出てきた。


 「おー。できたわね。やるじゃん!」


 「ほめったて何も出ないぞ!」


 「照れてんじゃん」


 「よし! 明日も魔物を討伐するぞ!」


 「その意気ね!」





 「ただいま~。ハルト~。お帰りのチューは~?」


 「そんなもんないぞ~」


 「ヘデラ。お帰り」


 「食材買って来たわよ」


 「え? 食材?」


 「アンス、どうしたんだ?」


 「そうよ、アンス。何かおかしなことでも」


 「いやー。ちょっとね」


 するとすごく神妙な顔でこちらを見る。


 「私、料理できないの」


 まじかよ。家庭的で元気な良い子だと思っていたのに。


 「いつもどうやって料理してたんだ?」


 「惣菜買って過ごしてた」


 「手作りしないと不健康になるぞ」


 「だってできないものは仕方ないじゃない!」


 「分かったから怒るなよ」


 しかし困った。俺も料理は家庭科の授業でしかしたことがないってのに。


 「じゃあ私がやるわ」


 「お前できるの?」


 「やったことないけどね」


 「出来ないじゃねーか」


 「まあ、ものは試しよ。じゃ、台所借りるわね~」


 そのまま部屋を出て行ってしまった。


 「しかし、意外だな。アンスが料理できないなんて。習ったこととかないの?」


 「ないわよ。だって私の両親は元ハンターよ。物心ついたときには剣を握っていたわ」


 「そうなると、ヘデラに期待するしかないな」


 「そうね。どんな料理を作ってくれるのかしら……」


 なかなか楽しみだ。


 「そういえば、ハルトとヘデラはどうしてハンターになったの」


 「えーと。そうだな。魔王を倒してくて……」


 「え!? 魔王を!? そんな壮大な夢を持ってたのね。きっかけとかあるの?」


 「えーと……」


 「なにか魔物に思うことでもあるの?」


 「実は……」


 「あ。もしかして辛いことが……。でもあなた記憶を失ってたんじゃない?」


 「俺が記憶を失ったきっかけが魔物に襲われたからな」


 「確かそう言っていたわね。だから魔王を。まあ、きっかけは何だっていいしね」


 異世界転生をし、魔王を倒してヘデラと別れたいということは黙っておこう。


 「さあ! できたわよ!」


 話込んでたら、ヘデラの声が聞こえた。


 「ありがとね~。運ぶの手伝うわ」


 「ハルトは何もしなくていいわ。私にとことん甘えなさい」


 テーブルの上に料理が運ばれてくる。

 鍋料理のようだ。


 「さあ、皆さん。私の料理を味わいなさい」


 アンスが取り分ける。


 「いただきまーす」


 「じゃあ、私も」


 俺とアンスは料理を口に運ぶ。


 「「おえ!」」


 「あー! なにはいてんのよ!」


 まずかった。見た目は美味しそうだったのに。


 「ヘデラ! なんでこんなにまずいんだよ!」


 「ちょっとハルト! 料理を作ってくれた人にそれはないわよ」


 アンスが止めるが、なぜか怒りが止まらない。


 「ヘデラ! 何入れたんだよ!」


 「味付けよ! よくある味付け!」


 するとアンスは台所に行き買ってきたものを物色する。


 「あれ? 買ってきたものは普通なのに……。ほかに何か入れた?」


 「ちょっと隠し味を……」


 「それだよ! 何入れたんだよ!」


 「あー! もう! うるさい! 媚薬よ媚薬!」


 「「え?」」


 固まる俺とアンス。


 「媚薬を入れて、ハルトが私を襲うのを待ってようと思ったのに……」


 「ちょっとヘデラ! ハルトが食べるのはいいとして、なんで私にも食べさせるのよ!」


 俺が食べるのは止めないんだ。


 「ハルトの為って考えてたらいつの間にか……ね」


 「ね、じゃねいわよ!」


 呆れるアンス。


 「もう今日はハルトと寝ないでね」


 「え!? いやよ!」


 「これは罰なの。それができないなら出てってっ貰うから」


 悔しそうなヘデラを別室に移動させた。


 「寝室は一つしかないから、私とヘデラは居間で寝るわ。おやすみ」


 出て行ってしまった。

 明かりを消し、一息つく。


 「寝られない」


 そりゃそうだ。媚薬なんて口に含んでしまったのだから。しかもそれを意識したからか体が熱くなってきてる。


 「頑張って寝よう!」


 目をつむり、心を無にした。


 どれくらいたっただろうか。窓の外はまだ月明かりが残っている。

 寝られないといったが媚薬の効力はもう消えさっていた。

 その時、部屋のドアがゆっくりと開く。どうせヘデラだろう。


 「なんだ、ヘデラ。俺はもう寝てるぞ」


 「ヘデラじゃない……」


 その声の主はアンスだ。


 「もうダメ!」


 「うわ!」


 まずい。この体制は非常にまずい。

 アンスが俺の体に馬乗りになる。


 「さっきから抑えられないの。どうしたらいいか分からない」


 あれ? 俺はもう収まったぞ。

 もしかして、アンスはその欲求が強いのか……?

 そう考えてるうちに、アンスが俺の服を脱がそうとしてきた!


 「もう……しましょ……」

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