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3 ヤり誤解


 「早くその子から退きなさい!」


 「違います! 俺は何もしてないです!」


 「状況証拠があるじゃない!」


 非常にまずい。俺の異世界生活が牢獄から始まるかもしれない。


 「こっちは武器はないけどねー。体術だったら誰にも負けないから!」


 殺されるんじゃないか。

 この女神が起きてさえくればなんとかなるのに。

 そういえばこの赤髪の女性、俺のことを人間もどきって言ってなかったっけ。

 それだ!


 「俺、喋れます! 人間もどきじゃないです!」


 「確かに。あなた喋れてるね。ならば人間もどきではないか」


 よし! 賭けに勝った!


 「それでも、人を襲おうとしたのは変わりないわね」


 そこだよ! そこさえなんとかなればいいのに!


 「お〜い。ハルト〜。」


 やった起きた。


 「おい! ヘデラ! 起きろ!」


 「なに〜。ハルト〜。おはようのキス〜?」


 まだ寝ぼけている。早く目を覚まさせないと!


 「昨晩は気持ちよかったな! ヘデラ!」


 「え!? 私たちヤったの!?」


 生々しい。だがこれで目が覚めた。


 「あなた、やっぱり襲ってたのね」


 もうヘデラに全て話してもらおう。俺がなに言っても信じてもらえなさそうだ。


 「ヘデラ! この人の誤解を解いてくれ!」


 「なにをすればいいの?」


 「昨日の夜のことを話てくれ!」


 「分かったわ!」


 よし! これでなんとかなる!


 「昨日は初めて共同作業をしたの!」


 「やっぱりね!」


 こいつまじか。


 「おい! 他には!」


 「身包み全部剥がすとか、暴力で聞かせるとか」


 「あなた、見かけによらずとんでもない変態のクズ野郎ね! 制裁が必要かしら!」


 もう誰かこの状況を止めてくれ。


 「何もしてないです! 本当に信じてください!」


 「そんなに言うならなにか証拠を出しなさい!」


 証拠って言っても、葉っぱのパンツだけを見にまとっている変態と、爆弾発言をしてくるヤンデレになにができるんだよ!

 ん? ヤンデレ?


 「ヘデラ! 俺のことどれだけ愛してる!?」


 「そりゃもう世界で一番よ。ハルトのことなら全部知ってるわ。ハルトが好きなものは、朝の散歩と小動物と肉料理、あとはオナ」


 「分かったか! 俺が襲わずともヘデラはこれだけ愛しているんだ!」


 「ん〜。まだ怪しいわね」


 「この葉っぱのベットを見ろ! こんなものを作っているんだ! 襲ってる訳じゃないだろ!」


 「確かに」


 あともう一押しだ。


 「俺の体を見ろ! この貧弱な身体で人を襲えないだろ!」


 「そうね。あなたの体じゃ人は襲えない。分かった。あなたの言う事を信じる」


 納得してもらえる理由は不満だが、これでなんとかなった。


 「それはそうと、なんであなたは裸なの?」


 まずい。異世界転生で服だけ転移できませんでしたなんて知られたら、この世界の住人に広まって魔王討伐どころじゃなくなる。

 どうしよう。


「あ〜。それはね、この子は魔物に襲われて服が破けちゃったの。それを私が助けてあげたって言うこと」


 うまい!

 ヘデラは機転が利くな。


 「そうだったの。私、変な誤解をしていたのね」


 「そうです! 誤解です!」


 なんとかなった。


 「つまり魔物に襲われた君を、そこの金髪の美少女が助けた。しかし空が暗くなってきたのでこの森で一泊して町に戻ろうとしたけど、美少女はあなたに一目惚れして一発したと」


 違う。そうじゃない。


 「そういうことよね! ハルト!」


 もうめんどくさくなってきた。


 「そうです」


 「仕方ないから、私の家に連れってあげる」


 ありがたい。


 「ただ、その服装をなんとかしないとね。私は服なんて持ってきてないし」


 ヘデラの耳に口を近づける。

 こいつ興奮してないか?

 なんか息があらいんだが。


 「おい。ヘデラ。なんかいい案ないか?」


 「無理よ。この世界の常識なんて何も分からないわ」


 「クソ無能女神め。なんでこの世界に転生させたんだよ」


 悲しそうな顔をしても意味ないぞ。


 「小声話は終わった? いい案は出たの?」


 人間もどきという魔物の格好をした人が町に行ったら何が起こるか分からない。

 ん? いい案を思いついたぞ!




 「あなたはそれでいいのね? 変な誤解を生んでも知らないわよ」


 「ハルトがこんなことするの!? 私は嫌よ」


 「じゃあ、お前は置いていくから」


 「ハルトと離れるのも嫌!」


 「どっちかにしろ!」


 「なら一緒に行く……」


 役者は揃った。

 さあ、行くぞ!


 バサッ!


 「きゃー! やっぱ変態!」


 「きたー! ラッキースケベを待ってたの!」


 ヘデラが作ったものは絶対に受け取らないでおこう。

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