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25 国への招待


 「ふぁー……。意外と寝れたな……」


 「おはようハルト。ご飯にする? お風呂にする? それとも私?」


 「ヘデラか……今何時?」


 「お昼時よ。ほかの二人は寝ているわ。そんなことより、私にする? それともやっぱり私?」


 「黙ってくれ……。寝起きは弱いんだ」


 昨夜は少し暴れてしまったな……。

 いい加減、アンスも現実を見ろよな。いつまで夢見る少女を演じているのやら。


 「ここがアンス様が住んでいる家か……。ずいぶん古めかしい」


 「こんな逆境の中から魔王の幹部を……さすがメランジ王子が見込んだ人だ……」


 聞きなれない声が外から聞こえる。まあ多分俺たちのファンだろ。


 「すいませーん! どなたかおられますかー?」


 家凸か! またっく有名税ってやつはしんどいぜ。


 「はーい……どちら様でしょうか……」


 「な! アンス様に男がいるってのは本当だったのか……!」


 ん? こいつら見慣れない恰好をしているな。鎧がしっかりしている。あの時の門番より豪華な恰好だ。兵士だろうか……。


 「アンス様はおられますか? 昨日、手紙を届けたと思いますが……」


 「あー。いますよ。呼んできます」


 「お願いします」


 それにしても身なりがいいし、言葉使いの綺麗だ。育ちがいいって言うのはこういうことなのか……。


 「おーいアンス。起きろ! お客様だぞー」


 へそを出してサザンを下敷きにしているアンスを起こす。


 「なによ……王子様が迎えに来たの……?」


 「どうやらそうみたいだ」


 「ええ!? 本当!」


 「ああ。恰好はそれっぱかったぞ」


 「どきなさいハルト!」


 「うわ!」


 急いで身支度を整えている。

 しかしなにも俺を突き飛ばす事はないだろ……。可愛くないな。


 「ハルトー。誰だったの?」


 「ヘデラか……。多分、国のお偉いさんだろ」


 「へー。そうなんだね」


 「少しは興味を持てよ」


 「私の心はすでにハルトのものよ」


 「あああどの服にしよう! これか? いやこれね!」


 アンスも大変だな。服も大それたものはもってないし、化粧だってまだ覚えきってなさそうだったし。


 「よし! 準備できた! 後は白馬の王子に会うだけ……! 王子様は!」


 玄関ドアを勢いよく開けたアンスの顔は期待度満点だった。


 「その赤髪は……! もしかしてアンス様ですか!?」


 「え、まあそうだけど……メランジ様は? 私の王子は?」


 「メランジ王子は今王国のことで忙しくおられます」


 「ええ!? 会えないの!? じゃああの手紙はなんなのよ!」


 「落ち着けアンス! やめろ! その拳を降ろせ!」


 アンスの暴走が止まらない。


 「アンス様。手紙に書いてあった通り王国へ招待します。メランジ王子とはその時に……」


 「……え? そうだっけ?」


 「なんでお前が拍子抜けになるんだよ」


 「ですから……アンス様とその御一行は私たちについて来て下さい」


 「え? ついていくのか……。ここから国までどのくらいだ? アンス」


 「歩いて一日はかかるけど……。王国のひとなら多分テレポートで……」


 「仰る通りです。ですので今から王国までテレポートの準備をします。なのでそちらもご準備を……」


 「そういうことなら私の準備は終わってるわ! みんな! 早く支度して! 急いでよ! ほら早く! ハルトもそんな顔しないで!」


 急展開すぎだろ……。

 だがそうとなれば急がない訳にはいかない。


 「サザン起きろ。なんでか知らんが今から王国に行くぞ」


 「んん……。分かった……」


 理解が早くて助かるな。まあ多分、昨晩にさんざんアンスから手紙の内容を聞かされてたからだろう。

 目をこすりながらも身支度を済ませている。俺も剣の手入れでもしとくか……。


 「みんな早くして! 遅れたら元も子もないわ!」


 「うるさい! だったら一人で行ってこい!」


 「それね! そうしましょう!」


 「アンス様! それでは我々が困ります!」


 「え? そうなの?」


 「皆さんが必要なのは、王国についてからおいおい説明しますから……」


 「そういうことなら……」


 なにやら揉めてるみたいだ。まあ俺には関係ないだろう。




 よし! 準備ができた。みんなより遅くなってしまったが、これで王国とやらにいける。


 「皆さんお揃いですかね? では王国に行きますよ……」


 国の人がそういった瞬間に、物陰から一つの声が聞こえた。


 「アンスさーん。私を忘れてますよー!」


 この声は……マズミさんだ!


 「げ! マズミじゃない! なんでここに!?」


 「なんでって……そんなの簡単じゃない。私たち恋人ですから」


 「え! そうなのかアンス!」


 「なにバカなこと言ってるのよハルト! そんなわけないじゃない! 少なくともここ数日は会ってないわよ!」


 「アンスさんの言う通りです。ここ数日、アンスさんを待っていてもなかなか来てくれなくて……、町行く人はみんなあなたに近づくのですから……。そこで思ったんです。私から会いに行けばいいじゃないと!」


 「それじゃあ付き合ってる理由にならないわよ! それに教会の仕事は……?」


 「人を雇ったから数日空いても大丈夫ですよ。ちょっと見せたらすぐ承諾してくれました!」


 何を見せたんだ……! 俺も見たい……。


 「ハルト。見るなら私ので」


 「心の声聞こえるのかよ! エスパーか!」


 すると国の兵士がマズミさんに声をかけた。


 「アンス様の御一行ですか? それなら一緒に行きましょう」


 「ええそうしましょう! 皆さんもほら! 行きますよ!」


 そういい俺たちの腕を引っ張って行く。


 「まってよマズミ! これは私たちの問題で……」


 「ふーん。否定するんですね。それならこちらにも考えがありますよ……」


 「なによ、言ってみなさい!」


 「アンスさん。ここ最近、そういうお店に行っていましたよね……しかもそういうお店の相手はハルトさん似って……」


 「ああああああ! ストップ! マズミも一緒に行こう! だからお願い! それ以上は!」


 「はい! では行きましょう!」


 「よろしいですか? では行きますよ……!」


 国の兵士がテレポートを起動する。アンスには色々言いたいことがあるがあとにしよう。

 しかし国に行くのか……。俺たちに用があるってことは……なにか巻き込まれそうで怖いな……。

 今までロクなことが起こらなかったし……、まあこの考えが杞憂ならいいが。


 「テレポート!」


 兵士の声と共に、目の前が白く輝きうぃ放った。

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