2 一夜の過ち
目から光が抜けていく。
少し目を開けると太陽がこちらを見てきた。
「眩し!」
「やっと起きたのね! もう! 可愛い寝顔なんだから!」
後頭部が柔らかい。まさかこいつ膝枕を……!
「驚いた顔ね。でもここの世界じゃあ、あなたの心は読めないもんね……」
「早く起こしてください。さっきからずっと寝たきりなんだけど」
「あ! ごめんなさいね~」
まったくこの女神は……。
周りは草原が広がっていて綺麗だ。というよりなんか涼しいな……。
「なんか寒くない? パッとみ暖かそうな草原が広がっているけど……」
「やっと気づいた? し~た、見てみなさい♡」
「ええええ! なんで裸なの!」
俺の恥部が丸見えじゃないか!
「結構立派なのね♡」
そんなことはどうでもいい。
「異世界に飛ばした時、服、全部どっかいっちゃった! 多分あの場所に残ってると思うけど……」
「早く着るものを、女神なんだからなにかしてくれよ!」
「無理よ、ここじゃ石をパンに変えるなんて技使えないし」
このクソアマは後で締めよう。
サバイバルってなるとなかなか難しい。裸の外国人が生の虫を食べてる動画なら見たことあるが……。
「焦ってもしょうがないか。とりあえずあそこの森に行こう。こんなところ見られたらなんの誤解が生まれるか分からないしな」
「その誤解を本当にするってのは……♡」
「やめろ! 俺が変態に見えるだろ!」
さっさと森へ行こう。
というか、後ろをついて行ってるヘデラが俺の下半身を見ている。
森の中は以外と何もない。
このハート目の女神がいるからだろう。
とりあえず、そこの大きい葉っぱで股間を隠そう。
「私、編み物なら得意よ! 任せなさい!」
以外と手捌きが綺麗だな。
「はい! できた! 葉っぱのパンツ!」
「なんか、緩くない?」
「大丈夫! 私しか興味ないから!」
そういう問題じゃない。
「こんな格好は人には見せられないな。よし! ヘデラ。町に行って服を買ってきてくれ!」
「お金は? 私持ってないよ?」
なんでこんなに使えないんだよ!
「仕方ない。今日はここで夜を過ごそう。お金はその辺の木の実でも売ってなんとかしよう」
「あら! 私と一晩過ごすのね!」
もうツッコミがめんどくさくなってきた。
とりあえず寝床を作ろう。
「ハルトと私の初めての共同作業ね♡」
「早くしろ! 寒いんだよ!」
葉っぱで寝床は作ったが、問題はこのヘデラとかいうやつだ。
「俺には何もするなよ。もし何かしたらその身包み全部剥がすからな」
「あら! 裸が見たいのね!」
「違う! じゃあ、暴力で聞かせるからな!」
「DVも一種の愛情表現よね! ハルトのどんな愛も私は受け取めるから。」
こいつにはなにを言っても無駄だ。
「分かった。もうなにされても文句は言わない。ただ外傷に残ることはするなよ」
「ついに認めたのね。今夜が楽しみだわ!」
もう寝よう。俺の貞操は諦めよう。
横になるが、この葉っぱは気持ちいい。
ああ、もう寝そうだ……。
ん?なんか腰回りが騒がしい。
「ハルト.....。私のハルト……。」
お前のじゃない。
「好きよ......。絶対離さない。もう死なせない……」
もう寝てるのかな?
なんか愛が重いんだけど。
ていうかヘデラは本当に俺のことを愛しているな。
なんか安心してきた。
とは言ってもなかなか寝られない。
こいつは腐っても美少女なんだから。
逆に俺がヘデラを襲うのはどうだろうか。
俺のこと好きだもんな! じゃあ、問題ない!
「そろそろ〜と」
服の触り心地はいいな。
肌が見えた!
綺麗な肌だ。触ってみよう。
「やっぱり私のこと好きなのね」
「うわ! 起きてたの!?」
「そうに決まってるじゃない。ハルトが襲うのを待ってのよ。さぁ、早く♡」
そう言われると手が出せない。
俺の逆張り思考が邪魔をしている。
「寝ます!」
「怒らなくていいじゃない!」
この女神は放っておこう。
多分何もしてこないだろう。
なんか急に眠たくなってきたな。
このヘデラと……今後、何が……あるのだろう。
「ん〜。よく寝た」
木の隙間から日差しが出ている。
気持ちいいな。
ヘデラが俺のことを抱きしめていたから案外寒くなかったな。
まだ寝てるのかこの女神は……。
さて。これからどうしよう。
とりあえずヘデラに服を買わせないとな。
「ん? なんかそこの茂みから音がするな」
「ここの森に成っている木の実は高く売れるからな〜。今日もいっぱい取るぞ!」
女性の声が聞こえた!
まずい。どうしよう。とにかくこの服装をどうにかしないと!
そうだ! ヘデラの服を奪おう!
起きないように慎重に剥がそう。
「ここって、茂みなかったっけ?」
「あ」
まずい! バレた! めちゃくちゃ目が合った!
なんとか誤魔化そう!
「今日もいい天気ですね」
「人間もどきが人を襲ってるー!」




