第6話
土の属性世界に足を運んだ、桜花と土藁氏と一緒だ。
しかし、キャプテンのスバルは、食料を求めていた。
監視役の角之助もついていた。
(まったく、こいつは隙を見せると食料にあけくれるぜ。)
角之助ももしかしたら、土の属性世界で大食い大会があっても良いのかもしれなかった。
歩いている間に祭りがおこなわれていた。
『さて、いらっしゃいっ!大食い対決の始まりだ。』
角之助もその声に聞いて、スバルに声を掛ける。
「おい、あそこで大食いが始まっているぞ。」
「おおっ!俺も参加するぜ。」
観客席で盛り上がっている。
参加者のステージには、一人もいなかった。
「おいおい、俺も参加するぜ。」
「「「おおおおおおおっ!」」」
スバルも大食い大会に参加した。
(こいつは、食べることにしか考えていないようだ。)
すると、土の属性の力士が現われた。
「どすこい、どすこいっ!」
ドシンとドシンと現れたのだ。
『おっと、いつもの選手が現われました。』
「そこのお前、見ない顔だな。」
「俺は、腹が減ってて待ちきれないんだ。」
力士もフンッと笑った。
「面白れぇ、すぐに始めるぜっ!」
『おっと、両選手。自身満々だっ!』
両選手は、ステージに立ち、合図があるまで構えていた。
『それでは、選手の名を名乗ってください。』
「俺は、スバルだ。」
「ワシは、土壌山だっ!」
「「「おおおおおおおっ!」」」
『おっと、土壌山も参加されました。この勝負は、どうなるのかっ!!!』
少しの間に食品が出てくるまで待機していた。
(もう、待つ時間が長いんだから。)
スバルの腹も鳴り響いていた。
観客もざわついていた。
『では、食品を運び出します。』
運ばれたのが、大きめの餃子が出て来た。
スバルもよだれが出て来た。
(これは、うまそうだ。)
『両者、席に着いて、にらみ合っております。』
スバルと土壌山も気迫が鋭くなっている。
『始めっ!』
スバルも勢いよく、大きめの餃子にくらいついた。
角之助は、何事も無い様に様子を見ていた。
(ふん、あの土壌山も良い勝負になりそうだ。)
大食い対決を始まってから数分が経っていた。
『おおっと、両選手、食し始めてから互角だ。さて、このまま完食できるのだろうか。』
スバルも完食できるのも時間の問題だ。
桜花達は、土藁氏の故郷に向かい、実家に足を運んでいた。
土の属性世界では、高い山で1か所だ。
長い歴史で噴火も繰り返していたようだ。
その為、地上も積み重なって、立派な大陸となっていた。
「あっ、オラの家だ。」
すると崖の断面から人影が出て来た。
「土藁氏っ!」
「土藁氏、呼ばれてるね。」
「うん。オラのお姉ちゃんなんだ。」
彼女は、土朱里だ。
「土藁氏。心配したんだよ。そこのみんなは?」
「私は、桜花です。」
「私は、甘恵です。」
「拙者は、アジサイ丸。」
土朱里も申し訳なさそうに頭を下げた。
「土藁氏には、大変ご迷惑をお掛けしました。」
「いえ、私たちは、土藁氏と一緒に旅をしていました。」
土朱里は、疑問に思っていた。
「あの、仲間様の隊長さんはいらっしゃいますか。」
「ええ、船長がいます。」
「船長とは。」
「オラの仲間達なんだ。」
「土藁氏は、心配させて何をやっているの。」
「オラは、旅に出たかったんだ。」
土藁氏の過去に旅に出る憧れを抱いていた。
その間に土の属性世界で港を見つめていた。
「そこの君、何か悩んでいるのか。」
「オラは、旅に出てみたいんだ。」
「そうか。なら、一緒に出てみないか。」
「本当にいいんですか。」
「ああ、俺の船で人員が足りなかったんだ。だから、歓迎するよ。」
「うん。」
仲間になり、長い旅となった。
船長のスバルは、何をやっているのだろうか。
今頃、大食い大会で完食したのだろうか。
土朱里は、思い出した。
「そう言えば、イベントがあったような。」
「そこにいるんですか。」
甘恵もスバルがいなくなることを恐れて、突き止めた。
「そこに行ってみようよ。」
土藁氏も提案した。
姉の土朱里の言っていたイベントに向かっていた。
到着すると観客もざわついていた。
「「「おおおおおおっ!」」」
土壌山とスバルは、互角に戦っていた。
大きめの餃子は1/3ほど残っていた。
すると、土壌山もやっとかと進んでいる。
スバルは、諦めずに進んでいた。
観客もざわついていた。
「スバル、あんたって何やっているのよ。」
角之助も最後までの様子を見ていた。
「何だ。お前たちも来ていたのか。」
角之助も停めても無駄だと思っていた。
甘恵も感心していた。
「まっ、止めても無駄だろうからな。」
「オラは、キャプテンの頑張りに信じるよ。」
両者ももう一息だ。
すると、土壌山の表情は苦しんでいる様子だ。
しかし、キャプテンは、苦しい表情を見せていなかったようだ。
『おおっと、スバル選手、余裕で食べ続けておりますね。』
「こんな、うんめい餃子は、食ったことがないぞ。」
欲張りと頬張りも一緒の様だ。
(あいつめ、ワシの大食いを追い抜かしよって。)
スバルも食い意地が張っていたようだ。
残りの3分の1程残っていて、食べ進めていた。
土壌山は、苦しそうに限界だ。
(こいつは、どういうことだ。)
土壌山も不思議そうに思っていた。
観客席も注目していた。
「「「おおおおおおっ!」」」
スバルも、もう一息で完食するようだ。
(これは、うめえやっ!油もあって食える。)
大きな餃子もほんの少しとなっていて、スバルが優勝するはずだ。
ただで、食事することだと思っていた。
最後の一口で、スバルも完食だ。
『おおっと、スバル選手が完食し、圧倒的に勝利しました。』
土壌山もあと少しで完食できそうだったが、もう少しの寸前で倒れた。
『土壌山、苦しそうに倒れております。よって、勝者スバル選手の勝利です。』
「「「おおおおおおっ!」」」
完食したスバルは、優勝の景品として、餃子1年分を手に入れた。
桜花は、唖然として、これは、仕方がないねと思っていた。
(はぁ、食料分が無くなるよりはマシかもしれないわね。)
手に入れた景品を台車に乗せて、船に戻って運び出した。
「さて、これで食料も手に入れたことだし、夕飯は、餃子三昧だ。」
土朱里と土藁氏も驚いていた。
「スバルもよく優勝できたもんだね。」
「ええ、初めてです。」
気づけば、何をやっていたのかもわからなくなった。
「全く、スバルったら仲間のことも考えないで何をやっているのかしら。」
桜花も苛立っていた。
角之助もスバルに言っても無駄だと思っていた。
港に到着し、荷物を船に入れ、出航の準備をし始めた。
しかし、スバルの身体は、腹部も大きくなっていた。
船に乗り込もうとすると、ロープもちぎれて、重さで耐えられなかった。
そこで、土藁氏と土朱里は、2人係でスバルの胴体を掴み、船の庭園に振り投げた。
「どわああああっ!」
丁度船に入り、反動で揺れた。
「なんだっ!」
船で待機していたナイトは、スバルの姿に呆れていた。
「おいおい、今の船長は、何をやってたんだ。」
出掛けていた仲間達も戻ってきて、乗り込んだ。
「ただいま、ナイト。」
「お疲れさま。オラも土の世界で一時的に帰国できた。」
「そうか。充実したか。」
全員船に乗り込み、出航した。
「土藁氏、元気でね。」
「うん。オラも立派になるから。」
港で土朱里が見送った。
土の属性世界から離れて行って、遠くなっていた。
次の属性世界の旅となるだろう。
土藁氏は、桜花のことを気にかけていた。
「ねぇねぇ、桜花。桜花の属性世界に行ってみない。」
「そうね。私の故郷も気になるわ。」
桜花が今の世界で謎の漆黒の霧に覆われれる危機に迫っているようだ。
目的としては、全ての魔鉱石を集めて、世界を救うことだ。