第4話
Dr.ガイも去っていき、戦いも収まった。
しかし、桜花も火の属性世界の兵士達に疑問を抱いていた。
「なぜ、火の王様が不在と嘘をついたのですか。」
「実は、もう少しでお出かけになられるのです。」
「それで、噓をつく理由もならないはずですよね。」
「城内に許可なく入られることが出来なかったのです。」
桜花もほんのため息をつきながら、考えていた。
城内の巡回役が現われ、桜花達に声を掛けられた。
「お客様、火の王がお呼びでございます。」
「えっ!?」
「どうぞ、お通しください。」
巡回役が城内に案内され、王室に連れられた。
「失礼いたします。」
桜花は、火の王の前にひれ伏せた。
「ああ、よいよい。頭をあげなさい。」
火の王も話を勧めた。
「我が名は、火の属性世界を収めているアグラスと申します。我が城を守っていただき、本当にありがとうございます。」
「いえ、現われた相手の行いを止めて、守ることは当然です。」
「そうでしたか。しかし、先程現われた船については、未だに不明で。」
「私も、あの船について何も知りませんでした。」
「そうでしたか。実は、闇の属性世界の王から周知が届いてな。あの船について会談に出かけなければならなくなったんだ。」
「えっ?」
「情報については、何も掴めておりません。」
「そうだったのですか。」
闇の属性世界の王から周知が届いたため、詳しい話が入っていなかった。
「質問があります。」
「よかろう。」
スバルは、火の属性世界に疑問を抱いていた。
「なぜ、一般の市民は、こんなに荒れているのですか。」
「ちょっ、スバルっ!王の前でなんてことを。」
甘恵もスバルの言葉に感づいた。
「まあ、よい。いつものことなんだが、我輩がしっかりしていなかったからこんなことになってしまっ
てて・・・」
アグラスも火の属性世界のことを考えるだけでも精一杯だ。
「我が世界は、しっかりしようと思っていたんだが、みんなの不満も多くてな。」
「だったら、火の王様がお決めになれば良かったのでは。」
「それについては、面目もございません。しかし、謎の船について話しを聞かなくてはなりませんの
で。そう言えば、其方達は、旅に出ておるのだろ。」
「はい、俺の仲間も一緒です。」
「そうでしたか。もし、よければ、謎の船を悪さしない様に止めて欲しいのです。」
「はい。俺達も戦うことを専念いたします。」
「それは、よかった。ちなみに我が世界の角之助を旅に加えても良いのでしょうか。」
「ああ。それは、構わないが。」
桜花も乱入した。
「いえ、仲間になってくれるのなら、大歓迎です。」
「ありがとうございます。角之助について、よろしくお願いします。」
火の属性世界の王のアグラスは、8代属性の会談に出かけたのだ。
桜花達は、シーホープ号に戻り、角之助を連れて行った。
「すまないな。これから世話になる。」
「大歓迎ですよ。でも、もっと戦いが大変なことになるかもしれないです。」
「それもそうだな。スバルっ、勝負だ。」
しかし、船長は、飯を食っている。
それでも、船長にめがけてた。
「はいはい、やめーっ!船内は、争い禁止。」
甘恵も船を壊されるのも困っていたからだ。
三夏がいないと生活が出来なかった。
角之助が火の属性世界から離れるとみんなから行かないでくれと声があがる。
声を掛けたのが、火の属性のダイナ・グリッドとラン・ローラだ。
「角之助っ!旅に出るなっ!」
「待ちなさい、ダイナ。火の属性の王と村長からも言われているのでしょう。」
ランもダイナを引き留めた。
大きなたいまつを掲げている火の属性の女性の聖火は、シーホープ号を見送っている。
「角之助っ、たまには戻って来ておくれ。」
火の属性世界のみんなは、角之助を見送っている。
そして、火の属性世界も離れていった。
シーホープ号のメンバーは、これからのことを話していた。
しかし、船長のスバルは、会話に参加せず飯を食っている様子だ。
「もうっ、何やっているのよスバルっ!」
「うん、うめぇ!三夏っ、飯お代わり。」
「もう、キャプテン、今日のご飯はおしまいだよ。」
「む~。腹が減ったな。」
三夏は、厨房に入られると次の食料が減ってしまうからだ。
「ボクは、厨房に入られるのも大変なことになるから、キャプテンを見張ってるね。」
「わかったわ。残ってるみんなに話し合いたいことがあるから。」
桜花は、スバルを後にして、庭園甲板に集まった。
「みんなに話したいことがあります。先程の謎の船が現われて、どこかの国に襲い始めたことは覚えて
ますか。」
「うん。オラもそこにいて、火の世界を荒らされそうになってた。」
「ま、俺の世界で火の王は、会談に出向いていたからな。」
角之助も謎の船に疑問を抱いていた。
「俺もシーホープ号で留守にしていて、暗黒の船が邪気を感じた。」
アジサイ丸も目視し、敵う相手ではなかったようだ。
「それでね、私は、王様と王女様が会談に参加されることは知っているのよね。」
「「「うん。」」」
「関係があるのかもしれないと思って話したかったんだ。」
桜花の出来事を話し始めた。
「私は、旅に出たんだ。光の属性世界で夢を見たんだ。今の世界で邪悪な出来事が起きるって言われ
て。」
みんなも桜花の話に唖然とする。
「それについては何だったんだ。」
角之助も何が起きているんだと思っていた。
「ええ、今の世界で内側の世界で出来ているのも知ってるわね。」
「「「うん。」」」
「実は、外の世界の遠い無重力で得体のしれない謎の邪悪な魔物がこの星に向かっているんだって。」
「「「えっ!」」」
角之助は、納得できなかった。
「じゃあ、なぜ言わなかった。」
気づけば、言い争っている場合ではなかった。
「すまない。俺が出しゃばってた。先程の世界で知ったばかりだったな。」
アジサイ丸は、質問をしてきた。
「では、どのように救う手立てはあるのか。」
「私の夢の中で、光の精霊から言われたんだ。」
桜花は、深呼吸して。
「今の世界に収められている8つの魔鉱石を集めて、邪悪な魔物を倒すしかないんだ。」
みんなも静まった。
「ただ、8代会談が終わったら、どのような動きになるのかもしれないから、みんなにお願いをした
い。」
甘恵は、迷わなかった。
「あたしは、今の世界で大変なことになっているのも放っておけないわ。」
「オラだって、今の世界とオラの故郷が滅ばれたら、居場所も無くなるのも嫌だ。」
「ああ、俺も同感だ。みんなの帰りが待っているからな。」
「俺も桜花について行く。故郷を守るために支えなければ。」
「みんな、ありがとう。」
桜花も決心した。
「みんな、今の世界を救って異変を抑えるぞっ!」
「「「おうっ!」」」
しかし、スバルは、船内の扉にはまっていた。
「ぐぬぬぬ、苦しい。」
「もう、あんたは、いつになっても変わらないんだから。」
「だって、腹が減ってて体力も持たなかったんだから。」
甘恵も気づいていた。
「ちょっと、まさか、食料はどうなっているの。」
船内の三夏は、厨房の前に監視していた。
「大丈夫だよ。ボクが見張ってて食料は、無事だよ。」
「よかった。」
しかし、はまった船長はどうすることも出来なかった。
角之助とアジサイ丸は、右足を上げた。
「「せーのっ!」」
同時にスバルの腹を蹴り、内側に押し込んだ。
「ぐええっ・・・」
ようやく、入れるようになった。
「今日は、ご飯無しだからね。」
「そ、そんな・・・」
桜花の言っていることは、一理ある。
みんなの分もあるのだからだ。
次の世界は、土の属性世界に向かってゆくのだろう。