Iコンク・コンフィテオール ~ハバナの巻貝(何千もの亡骸に加わる為に)~
海底を蠢くトリプロフススという
巨大な巻貝達は、
海で死んだ哀れな
キリスト教徒を食べてしまう。
それは楽園に焦がれ、
足掻き、蠕動する岩であり、
それが一見、犬貝や
巴波那の女王の様に見えても
決して間違えてはいけない。
その色の無い骨と、
傷口の様な腹足を持った貝は、
悍ましい死穢を纏った
馬なのだから。
善良な巻貝達は、
死貝と、この陰鬱な巻貝を恐れ、
その地から離れようと踵を返す。
ロフォタスピス・ヴァレイという
大量の凶悪な吸虫を
己の臓物に這い回らせながら、
それでもこのトリプロフスス達は
キリストに祈る。
昇階唱が常に流れている
荘厳で喪失を内包する命の海流は、
陽気な観光客達が食べ漁った
ハバナの海に積み上げられた
巻貝の墓場から始まり、
降り注ぐ陽光の明るさにまで続いている・・