能力探し
私は目が覚めた。やはり寝る前通り牢屋の中だった。
「やっぱり、夢じゃないかぁ。」
と独り言を言っていると。
「おはよう、やっと起きたか。」
と雪さんが話しかけてくる。
「おはようございます。早起きなんですね。」
「まあな。だがお前も昨日来た奴らの中じゃ早い方だぞ。」
辺りを見渡すと私と一緒に機械のある部屋に行き生存した人たちはまだ目覚めてない人がほとんどだった。
「まあ流石に一日であんなにいろいろあると精神的にもきついですよね。」
そう、昨日一日で牢屋に入れられ、機械のある部屋に行き、目の前で大量に人が死んだのだ。きっとみんな精神面的に限界なのだろう。
「だが、慣れておかないと、この先きついぞ。」
「どういうことですか?」
「この研究所には月に一回殺し合いをする日があるんだ。普通の殺し合いならまだしも全員能力持ち、弱そうなガキでも能力が強ければ勝てる。そんな殺し合いだ。しかも一日じゃなく三日続くんだ。きっと今の精神状態じゃ一瞬で、お陀仏だな。」
「その殺し合いの日付とか知っているんですか?」
「いつも月の終わる三日間が選ばれる。だからあと二週間後ってところだな。」
「あと二週間ですか…」
そんな会話をしていると、昨日とは違う白衣の男がやってきた。
「自由時間だ。全員起きて、ついてこい。」
そして、その男のあとをついていくと広い公園のようなところについた。公園のようとはいえ、遊具はなく木が数本と砂場がある程度だった。
「この時間は大事だぞ。特にお前のような新人にとってはな。」
「どういうことですか?」
私は雪さんのその言葉の意味がわからなかったので、質問した。
「まず、殺し合いでは能力を使えるのが大前提だ。使えない奴は初手で殺されるだろうな。」
「だから、新人である私は能力を使えるようにならないといけないってことなんですね。」
「そういうことだ。」
「一つ質問いいですか?」
「なんだ?」
「えっと、殺し合いをする必要性を感じないんですけど…みんな協力して誰も殺さなければいいのでは?」
「それができなんだよ。この研究所は怪物たちを作り出しているんだ。最後に生き残っていた人数だけ怪物たちが殺し合いのフィールドに送られるんだよ。いくら能力持ちとはいえ、怪物たちを倒せるのは相当つよい奴しか無理だ。」
「その怪物ってどんな奴なんですか?」
「怪物たちはいろんな種類がいる。握力が高い奴、空を飛ぶ奴、足が速い奴等々…普通じゃ勝てない。」
「そうなんですね。」
「質問には答えたんだから能力探しをするぞ。」
「というか、どうやって能力を探すんですか?」
「それは戦って見つけるんだよ。能力は強いショックにより発動される。能力を与える機械が高圧電力を流すのも人間にとって一番のショックが『死』だからだ。戦いはショックを簡単に引き出せる。」
「そういうことなんですね。」
と雪さんと話していると、ある男性が話しかけてきた。
「すいません、雪先輩。うちのパートナーとも戦ってくれませんか?うちはじめてで、どれぐらい力出したらええのかわからへんのですよ。」
「うーん、それはいいがやるんだったら2対2だからな。」
「よっしゃ、雪先輩が手伝ってくれるんやったら千人力や。」
「えーと、あなたたちは誰なんですか?」
「ああ、自己紹介がまだやったな。わいは元宮和希や。和希って呼んでや。でこっちの女の子が、」
「春野聖菜…です」
「聖菜さんと和希さんですね。私は石山透華です。」
「和希は知ってるだろうが俺は柳雪だ。」
「和希さんと雪さんはどういう関係なんですか?」
「それはな、去年のわいと同じ牢屋にいたんが雪先輩なんや。」
「そうなんですね。」
「と、そんな話はおいといて、戦おうや」
「ああ」
そして戦いが始まった。
まず最初に動いたのは和希さんでした。20メートルはあったであろう距離を和希さんは一瞬で縮めました。私はとっさに防御しようとしましたが間に合わず数メートル飛ばされてしまった。追撃が来るかと思ったら追撃が来ませんでした。何故かと目の前を向くと元居た位置に和希さんは戻っていました。
「和希さんの能力は何でしょうか?」
と疑問を口にすると聖菜さんが話し出した。
「私は…少し離れたところにいましたが…透華さんに攻撃した瞬間戻ってました…多分自分の位置を戻すことのできる能力なのでは…ないでしょうか。」
そう話していると
「半分正解かな。わいの能力はセーブとロードをする能力や。セーブしてロードするまでの間の時間は身体能力が1.5倍になるんやで。すごいやろ。ま、その代わり弱点もあるんやけどな。」
「それより速くこないと、お前ら、このままボコられていいのか?」
「いいえ、能力はまだわかりませんが、本気でいきます。」
そして中断されていた戦闘が再開さえた。




