雪と透華の別れ
私たちは怪物たちがいる場所に突撃していく。怪物たちは雪さんが倒して道を作ってくれてはいるが、私と雪さん以外の能力は怪物には効かず、かなりきつい状況になっていた。
「ヤバい…です…体力が…もう…ないです…」
「雪先輩、ここらで休憩はさみませんか?」
「いや、休憩をとるなら出てからだ。ここで休憩しても怪物たちがいるせいで身体は休まらない。」
「わかりました。」
そして猛スピードで出口に走っていくと大きな扉のようなものが見えた。その扉から大量の怪物たちが出てきている。
「あそこを通るんですか?」
「ああ、あそこしか出口はない。俺の能力で別の場所からも出ることは出来るかもだが、MIRAと鉢合わせる可能性がある。」
「それなら能力で未来を変えれば何とかなるのでは?」
「いや、さっきも言ったが未来を変える能力はもう一人の俺の能力だ。俺がポンポン使えるものじゃない。」
「それなら…ここを…通るしかない…」
「ああ、行くぞ!」
そして雪さんを先頭にして出口に走っていく。雪さんは息切れしている様子はない。きっと私たちのペースに合わせてくれているのだろう。目の前からくる怪物は全員雪さんが倒していく。そして外に出ることができた。そして安全そうな部屋に入り休憩をしていた。
「よし、ここまで来たらあと少しだ。まず外への出入り口は鍵が必要なはずだ。奪うにしてもきっとこのあたりにはMIRAの奴らしかいないはずだ。」
「じゃあ、そうするんですか?」
「外に面している壁まで行き、俺が壁に穴を空ける。ただそこに行くまでに確実にMIRAには会うだろうな。」
「私はもう覚悟はできてます。」
「わいもできてます。」
「私も…できてる…」
「私もできてますよ。」
「それじゃ、行くぞ!」
休憩を終えて廊下に出て全力で走っていく。たまにMIRAと思われる人はいたが聖菜さんの能力で無力化、先頭は稗加さんで、能力を使って目的地までの案内をしてもらっている。すると稗加さんが急に止まった
「雪さん!ここです!ここの壁です!」
「わかった。」
雪さんはそう言うと壁に半径1メートルはあるであろう穴をあけた。そしてその奥にいた人物に私たちは驚いた。
「なんでここにいる?MIRA-6」
「あら、夏鈴とは呼んでくれないのかしら?」
「今は敵だろう?」
「そうね。でも、私の目的はあなた以外の4人よ」
「あ?なんでそうなる。」
「今ここには私しかいない。あなたとの戦いで未だ私以外のMIRA-7からMIRA-10はうごけない。MIRA-1からMIIRA-5は今動けない状況になってしまっているのであなたたちを対応できるのは私だけなんですよ。さすがに今の状況であなたに勝とうとは思っていません。ですが、五人全員出すとなるとかなりの損失になるんですよ。なので"F-2246"、あなたは見逃しますが、残りの四人は出しません。」
「俺が仲間を売る行為をするような薄情者だとでも?」
「はあ、ではあなた方を殺させてもらいます。」
「そんなことさせるとでも?」
「私が何もしていないとでも?」
その瞬間私の意識は途切れた。
……
その瞬間俺以外の全員は気絶していた。
「夏鈴さんも人が悪いですね。」
と後ろから声が聞こえた。
「まさか俺が気づけないとは…」
「私の能力は《空間を操る能力》。空間内のものなら見えるモノから見えないモノまで操ることができるんですよ。私の気配も空間内のモノに入ります。」
「そういうことか。」
「そちらの方々が気絶したのは私の能力で気絶させたからですよ。さすがに殺害までは出来ませんが気絶程度なら簡単です。」
クソ…どうする…気絶してる四人を抱えて移動しようとしてもさすがに追いつかれるだろう。だが、見捨てるということはしたくないのだ。どうするか…
「逃げてください…」
「!?」
「透華…どうして気絶してないんだ。」
「私の能力で相手の能力を消させてもらいました。」
「めんどくさい能力ですね。」
「雪さんが私が起きてることに気づかないなんて…相当焦っていたんでしょう?」
「…」
「逃げてください。私がこの二人を足止めします。」
「だが!」
「いいんですよ。きっとみんなもそれを望んでいます。ここまで生きてこれたのは雪さんのおかげです。ここで恩を返せずいつ返せるというんですか!」
「!!」
「ですから、はやく逃げてください!」
「…」
俺はその場を後にした。
……
「あんな風にかっこつけてたけど、ほんとに私たちに勝てると思ってるの?」
「私の目的はあくまでも足止め。あなたたちを倒すつもりもなければ倒せるとも思っていません。」
「じゃあ、ここで死ぬつもり?」
「ええ、ここで死ぬつもりです。ですが、雪さんと一緒に戦えなかったことだけが心残りですがね。」
そして私たちの戦闘が始まった。
……