雪の領域
実験が始まって一時間が経とうとしていた。MIRAの方々はすでに息が上がっている。
「まさか…ここまで強いとはな…」
MIRA-10である中村炎弥さんの能力のおかげで傷などは治っているが、体力の消耗は激しいらしく、もう決着はついているように見える。
「MIRAは弱いと思っていたが、まあまあ強いんだな。」
「そんなこと言えるのは、あなたぐらいですよ。」
そう夏鈴さんが言った瞬間、夏鈴さんと"F-2246"の距離が縮まっていた。そして夏鈴さんは蹴りを放った。その蹴りによって"F-2246"の身体は宙を舞っていた。その隙を見逃さすまいと、紗理奈さんは自分の能力で距離を縮める。そして攻撃が届く距離に着た瞬間、"F-2246"は身体をひねり紗理奈さんを蹴り飛ばす。紗理奈さんは地面にたたきつけられた。"F-2246"は追い打ちをかけようと、紗理奈さんとの距離を縮めた。その間に壮真さんが入り"F-2246"の攻撃を食らった。
「ふぅ…これで貸し借りなしだな。」
「ええ、ありがと。」
紗理奈さんはそう言うと体制を立て直した。
「ははは、そうだよ。そっちは数があるんだ。もっと連携をしてこい!」
"F-2246"がそう言った瞬間、"F-2246"は吹き飛ばされた。
「私の能力を忘れないでください。」
「お前の能力は注意しないとだな。」
"F-2246"は里美さんとの距離を縮める。そして攻撃が届く距離になった瞬間、距離が広がった。
「そんな簡単に距離を縮めさせるとでも?」
そして里美さんの攻撃が"F-2246"に当たる。
「いい連携だ。だが、まだ足りないぞ。その程度の連携で俺に勝てるとでも?」
「思ってませんよ。だから追撃するんですよ。」
「な!」
夏鈴さんのパンチが"F-2246"にもろに当たる。
「はは…お前の能力を忘れかけてたよ…」
「あなたが油断していたからできたことです。二度目は期待していません。」
「そうかい…じゃあ俺も能力を使っていくか…」
"F-2246"がそう言った瞬間、空間が歪みだす。
「なんかヤバいな。」
「いったん全員"F-2246"との距離を取るわよ!」
紗理奈さんの能力によって距離が広がった。
「無駄だぜ?ここはもう俺の領域だ。この空間にいる限りお前らに勝ち目はない。」
「どういうことかしら?」
「戦ってみたらわかる。」
その瞬間"F-2246"は紗理奈さんを蹴っていた。そして元の位置に戻っていた。
「蹴られたのに…痛くない?」
「どういうこと?」
「おいおい、話してる暇はないぞ。」
すると"F-2246"は壮真さんに近づいていた。そして蹴りを放たれる。壮真さんはギリギリのところで防御ができていた。
「クソ…防御してこの火力かよ。」
「まだまだ行くぞ!」
そして"F-2246"が追い打ちをかけようとした瞬間、紗理奈さんは能力を使って距離を縮めていた。そしてパンチをしようとした瞬間、紗理奈さんは吹き飛んでいった。
「な…なんで…なにもされていないのに…」
「ははは、この領域では俺の与えた攻撃を好きなタイミングで発動できるんだよ。」
「だから…蹴られたとき…痛みがなかったのね…」
「そういうことだ。あ、あと、この領域内では俺に能力は効かないぞ。」
そういうと"F-2246"は夏鈴さんの攻撃を素手で止めていた。そして夏鈴さんを投げ捨てた。
「この領域をどうにかしないと勝ち目ないですね…」
「さて、お前らはここからどうする?」
そんなことを"F-2246"が言っていると急に吹き飛んでいった。
「そうか…お前の能力は"俺に対して発動"してるのではなく"自分の攻撃に対して発動"しているのか…」
「そういうことです。つまりは私の能力はこの領域の力に干渉されません。」
「面白いな。だが、一人だけで俺に勝てるとでも?」
「いつ私の能力は"自分の攻撃にしか発動しない"なんて言いました?」
「まさか…"他人の攻撃にも発動する"のか?」
「私の能力は《攻撃を飛ばす能力》。本人以外にも発動するんですよ。これで戦況はわからなくなってきたんじゃないですかね?」
「ははは、そう思うならかかってこい。」
そして実験は終盤に入っていった