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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
二章 華の国編
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第96話

書くのが久しぶりで重大な間違いをしている気が…………。

(きつい…………のどに水分が無いせいで血の味がする)

 自覚したとたんに疲労感が襲ってきた。口でしか呼吸できないし、酸素が足りないのか胸が苦しい。


「最初はそんなものだ。極度の集中状態が切れてしまえば、蓄積した疲労が倍になって襲ってくる」


 話す力も無く立っているのがやっとで、僕は黙って桜さんの話を聞いていた。


「正直まだ時間がかかると思っていたが、やはり帝級は違うな。精神論が聞きやすい」


 流石に疲労感が尋常じゃなく、訓練の継続は困難だったため、五剣の訓練を見学しながら休憩することになった。

 桜さんにはさっきの話の続きをしてもらっていたが、その内容は難しくすべては理解しきれなかった。

 

「この訓練を通して伝えたかったことは精神と肉体の関係だ。第六感を鍛える事も勿論目標の1つだったが、それは副産物でしかない」

「やる気さえあれば何事も成功するっていう事ですか?」

「少し違う。少し難しい話になるが、人間を構成する三要素とその関係を教えたかった」


 人を構成する3つの要素。魂・精神・肉体は、互いに密接な関係にある。精神を鍛えれば肉体の強度が向上し、肉体を鍛えれば魂を守る鎧となる。プレイヤーである僕たちは、これを行いやすくした新人類らしい。

 何故そんなことを知っているのか?という質問に対して桜さんは苦笑いしながら答えた。


「セフィラと交流があれば嫌でも覚える。スキルとかステータスとか色々な単語を覚えさせられた」


 目の奥が笑っていないがしたが、桜さんは構わずに話を続けた。

 多くの新人類、外人は同じように経験を積み強くなっていく為、魂の持つオーラという物が似てくる。が、低級と呼ばれているプレイヤー達はそうではなく、どちらかというと桜さんやセフィラに似ているらしい。

 一度同じ帝級に稽古をつけたことがあるらしく、その時も異常なほど早く強くなったらしい。

 稽古と言っても実戦形式の模擬戦で、たった一度立ち会っただけ。それでも周りの声援のお陰なのか何なのかは定かではないが、明らかに別人のように強くなったと言っていた。

 そんなことがあったから僕の時も同じようにできると思って精神論を持ち出したらしいが、結果は大成功。異常な速さで成果を出した。

 

「そもそも、この訓練は土台を作る目的もあった」

「土台?何の土台ですか?」

「ケント。お前の龍気開放の土台だ」


 驚いて声が出ない僕を置いて、話はどんどん進む。


「精神は肉体に作用し、肉体は魂を守る。そして、精神は魂に干渉することができる。これを利用し、魂に刻まれた力を肉体に刻みなおす。お前たちがスキルと呼ぶ力だ。お前たちであれば、経験値を使いこれを簡略化できるが、これに限ってはそうではない。古龍。それも天星の龍気ともなれば簡略化など出来るわけがない」

「天星?あの龍のこと知ってるんですか?」


 今まで知らなかった龍の情報。それを知っている人が目の前に居て、少し興奮気味に聞いてしまった。そんな僕を見て、少し驚いた様子だった。


「祖龍が生み出した直系の五体の古龍、その中でも最強と言われる夜天龍スティーラー。天星の魔力を持ち、星々を掌握する怪物だ。昔存在した軍事国家がその力を欲し、夜天龍の怒りにふれ一夜にして消え去った。星降りの事件だ。お前はこのレベルの力を魂に刻んでいる」


 星降り。先生の本見たことがある。

 はるか昔、隣国に侵攻していた大国を偶々隕石が襲い、滅亡に追い込まれたという歴史。山を砕き大地を割り地形を変えたこの事件は、自然災害として歴史に刻まれている。

 それが一匹の龍による被害というのも驚きだが、その力が刻まれているということのほうが驚きだ。


「龍はさっき教えた三要素がけた違いに秀でている。その関係で他の生物の魂に干渉することができる。その時に使うのが龍気だ。のみを使って木を彫る感覚に近い。使われた気が少量ならマシだったが、お前の場合オーラに交じる程の大量の気が使われている」


 難しい話が続いたせいで、僕の頭はパンク寸前だった。

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