第78話
一話ずれていたため、79と78を入れ替えてます。申し訳ない
取り消せないなら仕方がない、納得したわけではないが、そういう事にして諦めることにした。
星霊と契約すると、力を借りられるらしいがステータスに影響がある訳では無い。あくまで特殊スキルの様な扱いの様だ。
「で、あんたはどんな能力を持ってるの?」
「星霊皆が持っている星占いと、後は私固有の先読みという未来をみる力ですね。この二つのお陰で私は星霊一の占いの実力を持っています。残り一つの能力は星霊王より下賜された物なので使えないと思っておいてください。だから貴方が使えるのはこの二つ………と言っても未来予知に近い占いだけですね」
終わってる………。半ば押し付けられた形の恩恵だが、星霊というのだからどんなものかと期待してたらまさかの占い。僕が嫌いな物が能力の一つになるとか嫌がらせだと考えても不思議じゃないだろう。
ゲームと現実とは違うと思って割り切るしかない。
そうだよ、ゲームの中なら特殊な力だって本当にあるんだ。いくら胡散臭くても偽物なんてことは無いだろう。
「じゃあ、今僕が行くべき場所を教えてよ」
「適当ですね………まあいいでしょう」
ライブラが手を広げると、宙に浮いた円盤が現れた。
金色の縁と深い青紫色のそれには、一つ目の星が光ったとほぼ同時に無数の星が輝いた。
一つ一つの星が線で繋がり模様を作る。僕には何が起こっていたのか分からなかったが、ライブラは違ったようだ。
「月の印………成程、あの方の国ですか」
「何か分かったの?」
「はい。貴方が行くべき場所は、華の国です」
「よし、じゃあそこ以外に行こう」
「な!?どういう事ですか!」
ライブラが今にも掴みかかってきそうになる。
だって仕方がないだろう。あのライブラだぞ?信用しろというのが難しい。
「マスター。星霊の先読みは百パーセント当たると言われています。ここは大人しく華の国に行った方が良いかと………。後、質問したのはマスターです。いくら信用できないからと言って今の対応は流石に失礼ですよ」
「………分かった。そうする」
「ちょっと!?何でこの人のいう事は簡単に受け入れるんですか!」
アイの事を何故信じるかって?一緒に居た時間の違いかな。後はどれだけ助けてもらったかだ。
少なくとも、ライブラとアイでは天と地程の差がある。ライブラは元が低いから直ぐに信じるのは難しいんだ。
「華の国に行くって言っても、どうやって行くの?やっぱり船?」
「実はそうではありません。海路は華の国の要請により禁止されていて入国や貿易は空路が一般的です」
「海路は禁止?貿易なら船の方が一度に大量に物を運べるんじゃない?」
「禁止の理由は華の国の食料問題に関係しています。華の国の主食とも言える魚、サケはとても繊細な生き物として有名で、直ぐに生息域を移します。そんな魚を養殖しているので、大型船はサケのストレスに繋がるため、と言われていますが本当の理由は別にあります」
別にある?魚のストレスを少なくするという理由は関係ないのか?
確かに………良く考えれば分かりそうだ。いくら島国と言っても漁港を分ければ大型船の受け入れは可能。すべての漁港を養殖場に使うより、他国からの輸入の方が収穫量は多い。
それに、漁港は一つでもあれば、コストの高い空路を使わずとも一度に大量の物を運び込める海路が使える。
では、何故空路にこだわるのか?そこに海路よりも大きな利益があるか、別の理由があるかだ。
「華の国を統べる王。移住神の一人、月の神ツクヨミ。あの方の能力に関係しています」
「移住神?」
「はい。元々この世界に居た神は創造神ヴァーニタスただ一人。ですが、世界の外にも神は存在しています。その神がこの世界に移り住むことがこれまで二度ありました。そう言った神を移住神と呼んでいるんです」
「へー………。そのツクヨミ様?の能力がどうして貿易に関係してるの?」
「ツクヨミ様は重力操作という権能を保有しています。その力を使って動力を使わず物を動かす事が可能なのです。だから海路よりも空路を使用しています。月が出ている夜程力は強くなり、満月に近ければ近いほど更にその力は強くなります。なので華の国行きは決まって夜です」
成程………。動力や操縦者のコストを削減できるのなら、それの方が良いんだろう。
納得したし、疑問もすっきりしたので、早速華の国に行く段取りを決める。が、ここでまた疑問が生まれた。
「船に神様が乗っているの?国のトップでもあるんでしょ?」
「はい、船にはツクヨミ様が乗っています。そもそも、王ではありますが実際に内政を担当しているのは御三家の者なので、日に一度の往復を神様がやっても問題は無いんですよ」
君臨すれども統治せずってやつ?いや、御三家っていう所が内政を担当しているならそうでは無いのか?
まあどっちでもいいや、取り合えず一週間後の船に乗る事を決め、この日は早めにログアウトすることにした。
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