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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
一章 本当の始まり
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第70話

ミスって昨日投稿してたみたいなので二話上げます

 今まで各地を回って手に入れたレシピを頼りに料理を作っては渡してを繰り返し、一時間ぐらいが経過しようとしていた。

 結構な量を渡したはずだが、あの量の料理が彼女の腹の中に消えていると考えると、背筋に悪寒が走った。

 

「本当に美味しいです~♪初めて目にしたときから目をつけていて正解でした。こんなにおいしい物を食べれて満足です!」


 天秤の修理の事が入っていなかったのは気のせいか?

 気のせいという事にしておこう。別に目的が何であれ、こっちにも利はあるしね。

 それからまた一時間ほど経過した位で、料理にストップがかかった。手を止めて後片付けを始め、直ぐにライブラの元に戻るとそこには皿以外に何もなかった。

 不思議に思った僕はアイに小声で聞いてみる。


「魚を一匹丸々使ったと思うんだけど?」

「………きっとゴミ箱でもあったんですよ。マスターの負担を減らしてくれたんです」


 ニコニコ笑顔のライブラを見ると、今考えている些細な事は吹き飛ばした方が良いという決断になった。

 良く煮込んだら柔らかくなるしね、圧力鍋とか使ったらだけど………。僕が出したの刺身だけど………。


「要件も終わりましたしケントさんのお願いを聞きましょうか」


 そう言ってライブラは両手を前に出した。

 すると空に浮かんだ天秤座が眩い光を放ち落ちてきた。

 ライブラの手の中で星がパチパチと弾けている。それを包み込むように手を握り開くと、そこには天秤があった。

 金色に輝く天秤はとても綺麗で、目を奪われ………ても不思議じゃないが僕は騙されない。

 あの天秤、僕が治したやつではない。僕が治したのは普通の天秤だ。でも今目の前にあるのは天秤の皿を吊るす鎖が無い、皿が浮いてる普通ではない天秤だ。

 

「それって壊れたりするの?」

「え?何言ってるんですか。これは私達が星霊王より与えられし権能ですよ?壊れたりするわけないじゃないですか」

「じゃあさっきのは?」

「え?さっき………ああ!えっと………さっきのは………そう!普段使い!普段使う物です。流石に毎回これを使うわけないじゃないですか」


 もういい。僕の中での認識をそのまま本に書いてやる。絶対に神々しさの欠片も無い書き方をしてやる………。

 そう心に誓った僕に、ライブラが聞いてくる。


「貴方は悪人と善人が困っていたら、どちらを助けますか?」

「僕なりの考えで答えてもいいの?」

「はい。そうしてもらった方が助かります」


 流石に両方とかは言わないが、一応聞いておいた。

 

「じゃあ答えだけど、普通に考えれば善人だね。悪人なら助ける必要性はほぼ無い。でも、善人になろうとしている悪人なら答えは変わってくるから、先ずは話をしてから考えるかな」

「ふーん………。なるほどね。貴方の事は大体分かりました。もう帰ってもらって大丈夫です。報酬はインベントリに入れておくので安心してください。それでは」


 僕が言葉を発するより早く、景色が一変し元の場所に戻った。

 爆発の後に佇んで周りを見ると、少し焦げたような跡が残っていた。

 報酬はインベントリと言っていた事を思い出し、半信半疑で開いてみるとそこには見慣れない物が入っていた。

 ミダースの籠手と表記されているそれは、金百パーセントと説明欄に書いてあった。


「聖遺物ですか、あれだけ失礼な事をしたのに報酬はしっかりしていますね」

「どれくらい凄いの?」

「そうですね………この籠手がどういう効果なのかは分かりませんが、聖遺物であればトイレ掃除に百万位払う位です」

「百………万?じゃあ効果も凄いんじゃ!?」


 直ぐに取り出して装備してみる。

 効果はあらゆるものを金に変換するらしい。じゃあ今持っている何の変哲もない木の棒も………。

 恐る恐る触れてみると、木の棒が下の方からどんどん金色に輝いていく。

 

「こ、これさえあれば一生金に困らないんじゃ………」

「これで金を量産して売るだけで金策が出来ますね………ん?マスター一度その棒を確認してください」

「え?どこからどう見ても金の棒でしょ?今さら確認なんて………」


 ニヤニヤが収まらない僕の目にとんでもない文字が映った。

 名称、金メッキ(・・・)の木の棒。純度二パーセント。

 金メッキ?え?じゃあ金に変換するってそう言うこと?これじゃあ売り物には………。


「よしオークションに出そう」

「それが良いですね。聖遺物というだけで価値がありますから一部のコレクターには大人気です」


 これは詐欺ではない。僕以外のこれを必要としてくれる人に売るだけだ。

 僕はお金がもらえて、購入者は自分の好きな物が手に入る。利害の一致という奴だ。

 そうと決まれば行動は早めに行う。毎日開催されているオークションより、広告がある週一のオークションの方がいい。幸いにも今は来週分の受付がやっているらしいから、そこでこれを売ることにした。

 やっぱりライブラはライブラだった。一瞬でも尊敬した自分が馬鹿らしい。

 まあ、聖遺物をくれただけで凄くいい人………いやいい星霊だと思うから、そんなにネガティブに考えるのは失礼かもしれない。

 うん。そう言う事にしよう。

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