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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
一章 本当の始まり
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第67話

 破断を解析して分かった事があったんだが、意味が分からないだけで構造自体は単純だった。

 まず初めに柄の部分になる棒を用意して、その棒に見えないレベルの穴を大量に開ける。それこそ何千と。そして次に穴と同じ数の刃を用意する。

 この時点で分かった事は、破断の長さには上限があるという事。ただ結構長いしデカい。

 この用意した刃に、よくわからん術を施す。するとこれが穴と同じサイズまで縮小しそこに収納される。起動時にこれが順番に外に出て、今度は拡大後に連結・固定化されるという仕組みだった。

 流れは分かったが、このよくわからん旧科学時代の技術を理解しない限り、今のスタイルを変える事は出来ない。

 解析時も思考加速を行い、やっと分かっただけなので未だ時間が掛かりそう。

 色々迷った結果、魔法メインで立ち回っていくことに決めた。近接戦闘も出来るけど基本は魔法を使い、相手が間合いを詰めてきたら武器で攻撃するといった感じだ。

 ただそれだと大剣は重いから使えないのだが………やっぱり杖か?杖なら魔法に補正もかかりそうだし、やろうと思えば近接戦闘も可能。でも杖か………。いや、いいのがあったわ。

 僕は破断を手に取り眺める。十分な長さに耐久性、そして面白い機能………


「魔法の杖は取り付ける石が本体みたいな感じだし、破断を加工すれば………」


 破断は馬鹿みたいに固いから僕に加工は不可能、それなら専門家に頼めばいい気がするがこれは自分でやりたい。

 加工が無理なら石の方をどうにかすればいいんじゃないか?確か石の硬さをそのままに布の様に加工したっていう記述があったはず………。

 思い出したように本を取り出した僕は、題名を見て悟った。

『旧科学時代の全て』

 やはりこいつにたどり着くのか………。ならば仕方がない、やってやろうじゃないか。


「アイ、結構長くなるよ」

「無理はしないでくださいね」


 アイに一言そう言った。

 一応やることはやったからと、僕は安心して思考の海に潜る。

 何倍にも加速された時間の中、僕は本を開きながら破断を解析する。

 情報の波が頭に流れ込んでくるが、必要が無さそうな物は無視する。今求めているのは共通点、数十個もある情報の中から全てに共通するものを見つけ出す。

 見たことも無い言語、それがとうの昔に失われたものだった場合、解析は不可能。だが、幸いなことに僕には便利なスキルがある。

 何度も往復して見るうちに、情報も見やすくなってきた。

 近いのはプログラム、だが僕自身やったことは無いのでそれっぽいというだけ。

 所有者の指示を始まりとして、納刀時は収納庫の開錠及び十個を射出、射出に紐づけされた拡大が発動し連結、形状記憶による固定化に強度上昇………。

 必ず始めの行動を元にそこから連続して発動するようになっている。例えば………トーナメント表だ。赤なら右に青なら左にと、条件を指定してそれを実行している。

 分かれば案外簡単だった。後はこれの作り方だが、流石にこれは見よう見まねで出来る事じゃない。

 こいつらはこの刃一つ一つに書かれているもので、実際にレンズを使ってみてみると超超極小サイズで書かれている。これの書き方と紐づけ方法が分からない状態で変えても、ただ壊してしまうだけ。それが一番良くない。

 いや待てよ?面白い事を思いついたぞ?

 

「フフフ、これで出来なかったら親方に謝らないとね」


 思いついたことを実行するのには、三日の時間を有した。ログインできる時間が短かったというのもあるが、単純に刃の数が多すぎる。計五千六百もの刃に一つ一つ文字を刻んだ。

 方法は簡単だった。先ず適当な紙に文字を書く。それを分離させてから縮小、そして消して開けた文字式の所に貼って後は焼き付けるだけ。絶対に間違ったやり方だが、いつかちゃんとしたやり方でやればいいのだ!


————————


 完成した破断を手に持ち、転移で来たメティス大森林を歩いていた。

 早速実験をしようと考えたからだ。

 丁度目の前に二メートル位の熊が現れたのでこいつにしよう。


「さあ、起動してくれよ?」


 バチッと静電気の様な物が流れ刃が射出される。

 何時ものように剣にはならず、そのまま宙に浮く。幅約六センチ、長さ約二十センチの小さな刃が、僕の周りを漂う。 

 これで終わりではない。僕は棒だけの破断を構え、インクを当てるだけの魔法を放つ。それは見事熊の腹に命中した。すると次の瞬間、僕の周りをフヨフヨと漂うだけだった刃が、熊に向けて飛んで行った。一度刺さってもまた離れ、何度も熊を襲う。

 僕が破断の刃に仕込んだのは、連結を消し、浮遊と追尾を刻んだ。浮遊には僕の魔法に反応するようになっているから、インクだけでなく、普通の攻撃魔法にも反応して追尾する。

 解読のスキルが無ければ出来なかった力業だ。あの後紐づけの単語を見つけたのが幸運だった。まあ、約二千の刃が犠牲になったのだが、三千も残れば十分だろう。 

 これで新・破断の実験も終了し、僕は次の石の加工に取り掛かることにした。

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