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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
一章 本当の始まり
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第66話

話数がずれてたので修正しました

 欠片を手にして笑った少年と、共に行く我が家族。昔の様な嫌な雰囲気は消え失せ、そこには笑顔で手を振る姿があった。

 あの子の過去を聞いても動じず、考えを変えなかった少年は、私にある女性を連想させた。

 

「ねえビナー。もし二人が困ってたら助けてあげてね」

「いきなり何ですか?そんなもの貴方がすればいいでしょうに」

「………お願い」


 あの時の顔は今でも思い出せる。

 元々先を読む力が以上に高く、あの時もこうなることを予想していたのだろう。

 約束は果たした。そう確信した私はペンダントを外しそっと机に置く。


「私も、前を向かねばなりませんね」


 親友の………いや、母の子に夢を託しビナーは歩き出した。


————————


 ビナーから無事セフィラの欠片を貰い、ついでにアルカナも貰って来た。

 今回は少し特殊で、ビナーと次のセフィラのケセドには繋がりが弱いらしく、アルカナは存在しないらしい。

 だから代わりに魔術師のアルカナを貰った。

 アルカナが無いのなら、何を頼りにすればいいのか?という話だがそこは気にしていない。見当はついているし、今は旅を楽しむつもりだ。

 いつの間にか優先順位が変わっていたが、元々は世界を知るために旅をするのが、僕がこのゲームをやっている目的で、セフィラを探すので手一杯になって世界を見れないことは本意ではない。だからひとまず休憩がてらある場所を目指すことにした。

 そのある場所とは、楽園の港町である。

 漁業が盛んなこの港町は、マグロに似た魚が有名で刺身が絶品らしい。これはぜひとも食べておきたい。


「また食べ物ですか?」


 呆れたようにそう言ったのは、小さな妖精の様な女性だ。

 手のひらサイズの彼女の背中からは、天使の羽が生えており、羽をバタつかせる時に邪魔なのか、長い黒髪は上の方で纏めてある。

 皆さんお馴染みのアイことザフキエルが、さっきから僕の周りを飛んでいる妖精の正体だ。

 デガの一件で天使の位を剝奪されたアイは、体を維持するエネルギーが足りずに縮んでしまった。

 前より縮んだからと言って僕の接し方は変わらない。元々姿すら見えなかったのだから、今のこの状況はむしろ進歩ともいえる。

 このアイの姿のせいで、周りからの認識がおかしくなることは今の僕は知らない。

 場所が変わり港町。お腹いっぱいになるまで食事を楽しんだ後、目的の物を眺めながら頭を抱えていた。

 それは世界地図。港町ならあると思っていたがどうやら当たっていたらしい。

 今いる所が、二の大陸と呼ばれる陸地の一番西端で、僕が初めて訪れた………というか出現した場所、メティス大森林は大体北東の位置にある。

 そして、更にその先にまた海があり、一の大陸とこの大陸を繋ぐ海は、断崖と呼ばれる底の見えない巨大な切れ目になっている。

 その切れ目にかかるのが大橋で、この大陸のほぼ真東、大橋の南に位置するのが三の大陸。

 と、全体を把握できたのは良いんだが、ここで問題が発生する。

 セフィラの位置は、恐らく現実世界の文献の通りになっている。これまでもそうだったしこれからもそうだと思っていた。が、そうなるとどう見ても残り全てが海の中になるわけだが、それはあり得るのだろうか。

 これまでの三つのセフィラが、偶々そうだったというだけで、実際は関係ないと考えた方がしっくりくる。ただそうなるとやはり次のアルカナが必要なわけで………。

 

「んー………。よし!保留!今は別の事を考えよう!」

「ええ!?そんなに直ぐに諦めなくても………」

「諦めた訳じゃないよ。ただ今は他にやりたいことがあるんだ」

「………分かりました。そもそも私はマスターの決定にどうこう言う事は出来ませんからね」


 アイとの話も終わったし、借りた地図を返して店を出る。地図は記憶したし今のところ必要ない。

 次は暫くの間の宿だけど………。やはり港町、殆ど埋まっている。まあ最悪野宿でも………。


「駄目です。宿はとってください」

「でもさっき………」

「それとこれとは話が別です」


 アイに押し切られ結局宿をとった。

 あるにこしたことは無かったので、ここは素直に喜んでおく。期間は無期限、どのぐらいかかるか分からないしね。

 やりたいこと、それは龍気解放の習得と破断の解析だ。スキルの方はついでで、解析がメインになる。

 というのも、大剣を振り回していて分かった事だが、明らかに向いていない。STRの値も低いし、大剣の良さを引き出しきれないのだ。

 体術が大剣用だからと言ってそれに固執する必要もない気がするし、ここは早いうちに自分に合った戦闘方法を考えた方が良い気がするのだ。

 騎士団で学んだのは剣術だけじゃない。疲れにくい方法やサバイバル術に要人警護等、色々学べたから無駄になっている訳じゃない。

 いや………多少無駄な知識も入れられた気がしたが気のせいという事にしておこう。


「くしゅん!!」

「どうした理亜、風か?」

「ううん………誰か噂してるのかしら」

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