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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
一章 本当の始まり
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第64話

 愚者の権能、反転。

 発動者と対象者の状態を入れ替えるという物だ。発動に制限がない代わりに成功はLUK、運に作用されるため使い勝手は悪い。 

 だが、疑似LUXを作り出せば話は別だ。

 発動後十分ごとにLUKが一上がる魔法、幸運上昇を発動すれば、五百分後………約八時間後にMAXになるがこれに加速を行えば、その時間は二分で済む。

 話が終わった辺りで発動しておいたのだ。

 これで、愚者のカードは必中の権能になる。


「一回思い出してきな!!」


 抵抗することのできない父さんの顔面に、身体強化した状態で掌打をくらわした。

 膝から崩れ落ちる父さんを抱え、リビングに空いた大きな穴から家に入った。

 父さんを部屋まで運び、敷いてあった布団に寝かせる。初めて入る父の部屋は殺風景で、布団と収納棚以外何も無かった。

 ここは現実世界の家を再現している可能性が高いので、本来の部屋とほとんど変わらないんだろう。

 棚の上には写真が飾ってあった。ひとりの女性と写真を撮る父さんの表情は、見たことも無いほど幸せそうだった。

 一目見て分かるのは、この人が母さんだろうという事だ。肩位の髪は写真にしては輝いて見える程綺麗で、巫女服が似合いそうな人だった。

 仏壇も何も無いから、その写真に手を合わせその場を後にした。

 父さんが起きるまでに、今の自分に付いて整理することにした。

 現在のレベルは七十二、職業レベルは三十五。通常レベルは最大値が分からないが、職業レベルの方は百が最大なのでいい感じに上がっていた。

 ステータスは、

 ・HP、体力 一万五百

 ・STR、筋力 五百

 ・AGL、速力 百二十

 ・DEX、防御 二百三十

 ・INT、知力 百

 ・LUX、運 五十

 ・MP、魔力 一万二百

 と、中々に上がっていた。それぞれ最大値が、

 ・HP五万


 ・STR 二千


 ・AGL 八百


 ・DEX 千


 ・INT 二百


 ・LUX 百 ※基本は変化なし


 ・MP二万


 なので、MPとINTはずば抜けて高かった。ただ最大値は補正を含まないのでこれよりも高くなる可能性はある。

 称号は例の準帝級と夜天龍の友だけだったが、スキルの方が増えていた。

 元々あった夜天闘気と転移の他に、加速に並列処理と演算強化が新たに加わっていた。

 スキルになると、MPが消費され無くなったり効率が良くなったりするのでありがたい事だ。

 こんなに成長が現れていて嬉しくなったが、今一番重要なのはアルカナだ。コンパスが全てでは無いと思っていたが、まさかあんなに強力な能力を持っているとは思わなかった。

 しかも、あれが全てでは無いのである。

 今回使った反転は、愚者の権能の一部でしかない。が、他の能力を使えるのはだいぶ先になりそうだった。

 その理由が、解読が追い付かないからである。

 大アルカナのカードに解析と解読を使用した瞬間、脳が割れる様な痛みに襲われた。膨大な量の情報を処理しきれなかったからだ。加速と強化を使用して何とか一つ読み解くことに成功したが、まだまだ権能は残っている。が、今始めれば止まらないので今は別の事をする。

 そもそもこのカード、情報をパンパンになるまで詰めているからなのか、中身はとんでもないことになっていた。

 例えるなら、何十個ものパズルを無理矢理一つのパズルにしているみたいな感じだ。しかも絵柄は全くあっていない。

 その中から一つ一つ正解を見つけていくことになるのだから、時間が掛かるのは当たり前であった。

 父さんを待つ間、龍気解放について調べることにした。

 夜天闘気とは違い、解放と付いてるぐらいなので素材に使われた夜天龍の力を使う物なのだろう。

 だが、ここで疑問になるのが、夜天闘気は龍の力では無いのか?という事だ。もし同じ力なら二つに分ける意味が無い。

 つまりは、これは別の力と考えて良いのだろう。しかも龍気解放の方が、より夜天龍の力に近いものだろう。デガとの一戦の時は、闇属性に最も補正がかかった。という事は、これとは別の物と考える必要がある。

 そもそも属性であるのかすら分からないが、そこはゆっくり考えていくべきだろう。先ず片付けるべき問題が戻って来た。

 二階から降りてくる父さんを見て安心した。どうやら作戦は成功したようだ。

 

「思い出したよ、あの日彼女に言われた事を」


 母さんが言ったことを僕に言う事は無かったが、父さんはもう大丈夫だろう。だって、あの写真の中の父さんと同じ目をしていたから。希望を胸に抱いた目を………。

 これからはいつも通りに生活できそうだ。もっと構った方が良いのかと聞かれたが、いつも通りで良いと答える。それが、今の僕たちの家族としての在り方だから。急に変えられても僕が困る。

 笑って握手した姿は、親子というより友達だった。

 手を離した直後、ステータス画面に百人目の到達報告が現れ、景色が一変した。

 花壇に囲まれて立つビナーは、僕たちを見ると嬉しそうに笑ったのだった。

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