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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
一章 本当の始まり
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第48話

 受付で追試を受けないといけないことを説明すると、直ぐに案内された。

 少し広めの練習場で、綺麗な鎧を身に着けた男が待っていた。三十代前半だろうか?ハンサムな顔立ちで、THE漢と言った顔をしている。鋼の鎧は、所々青いラインが入っていた。

 男は僕に気が付くと、首を傾げて言った。


「どうした、迷子か?道に迷ったなら今来たところをすぐ右に曲がれば詰所があるぞ」

「いえ、追試と書かれていたので来たんですが………」

「………何?お前がケントか?」


 信じられないといった顔で、僕を見ている。

 しつこいぐらいに見た後、ため息を吐いて言った。


「全く、試験相手が弱すぎたのか分からんが誇張表現も大概にしてほしい。まあいい………。いい機会だ、来なさい」


 そう言って剣を抜いた。明らかに訓練用の物ではない剣は、少し青く光っていた。

 追試が出来るならやらない意味は無いが、ここは僕も自分の剣を使っていいのだろうか?


「僕の持ってる剣で良いんですか?」

「む?ああ、持っているならそれで構わない。大丈夫だ、もし壊れても修理代は私が出す」

「じゃあ………」


 強化されてから初めて使うが、基本的な事は変わらないだろう。

 今回の強化で、少しMPを籠めれば刃が出る様になった。別に声を出しても出さなくても刃は出るんだが、こっちの方が瞬時に出せる。

 黒い剣身は細く伸び、普通の剣のサイズに変わった。


「武器は大剣と聞いていたが?」

「すみません………。最近強化してもらったばかりで未だ良く分からないんです」


 巨大化を使って変な効果が発動しないとも限らない。使ってて問題なさそうなら変える事にしよう。

 

「では………参る!」


 男はそう言って一直線に切りかかって来た。先ずはある程度の実力を見るつもりだろう。

 そのままの勢いで振り下ろしてきた剣を受け流し、下がった首に刃を潰した方で攻撃する。が、何か固いもので防がれる。


「な………!?」

「甘い!!」


 驚いた僕に、剣の横薙ぎが襲う。腹にもろに食らう所だったが、破断を伸ばしてギリギリ防ぐ。


「面白い剣だな」


 いつの間にか目の前から姿を消していた男は、背後に回り込み剣を振り上げていた。

 それに気づき振り向いた僕の胸辺りに剣が当たり、高い金属音を鳴らす。


「おいおい、何だそれ。硬すぎだろ」

「大親方の特別制です!」


 今度はさっきの逆で、僕が不意を突いて剣の柄で攻撃した。

 首を狙った時の様な感覚は無く、しっかり鎧に当たっていた。そのまま下を向いた剣を伸ばし、柄をしっかりめり込ませる。

 男は少し苦しそうな顔をし、後ろに飛びのいた。


「………先程の言葉を訂正しよう。誇張表現などでは無かった様だ………お主の様な物は久しく見ていない。だからこそ、私も少しむきになってしまう」


 そう言った男の雰囲気が一変した。今まで感じなかった圧力で押しつぶされそうになる。別に重力が増したとかではない。向かい合っている相手の気力にあてられているだけだ。

 そう、普通は動ける。そう分かっていても動けない程、恐怖を覚えているという事だ。 

 一瞬で目の前まで距離を詰められ、もう少しで相手の拳が当たるというとき、咄嗟に石柱を出して後ろに飛んだ。それでも防ぎきれず、痛みが腹部を襲う。 

 未だ僕が立っている事に驚いた様子の男だったが、その顔は直ぐに変わった。楽しそうに口角を少し上げながら剣を上段に構える。


「これを防いだら合格にしてやろう!構えろ!」


 言われた通り剣を構える。それを確認し、男は剣を振った。


「山崩し!」


 練習場の地面を抉りながら、斬撃が僕目掛けて飛んでくる。

 流石にこのまま食らったらただでは済まない事を悟り、目の前に破断を突き立てる。


「破断!」


 上には伸ばさず、横だけを四メートル程に伸ばす。

 斬撃と破断がぶつかる音が響いた瞬間。僕の体は後方に吹き飛んだ。壁に叩きつけられ意識を失いそうになるが、寸前で耐える。

 立ち上がった僕を見て、男は嬉しそうに笑った。


「ハハハハ!素晴らしい。合格だ!明日団長室で待っているぞ新人!」


 そう言って男はどこかに行ってしまった。今にも倒れそうな僕を置いて………。

 取り合えず働いた頭で思いついたのは、合否を伝えに行くこと。さっき言っていた詰所まで破断を杖代わりにしながら向かったが、ドアの前で倒れてしまった。

 

「放置は………駄目だ………ろ………」

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