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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
一章 本当の始まり
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第46話

 大親方が指定した日になった。僕は軽やかにステップを踏みながら鍛冶場に向かった。


『少し気持ち悪いです』

「え?普通に酷くない?」


 アイがそう言ったので、周りもそう思ってる気がして普通に歩くことにしたが、やはり楽しみな気持ちは抑えられない。顔がにやけてしまう。

 サプライズとは違う、貰えることが分かっているこれは、貰うまでが長く感じる。

 鍛冶場に到着し奥に通される。大親方が待っていたが、少し不機嫌そうだった。


「どうかしたんですか?」

「あ?お前か………それが、この素材。硬すぎで俺のお気に入りが駄目になっちまったんだよ」


 どうやら、装備は完成したが加工に使った道具が全て駄目になったらしい。

 流石に申し訳ない………。何か出来ることがあれば………。そういえば、この前読んだ本に竜から貰った宝石は、大体が力の塊。それを混ぜて装備を作れば丈夫になるって書いてあった。

 宝石を加工する前に駄目になったようで、宝石は残っていた。


「親方。その宝石でまた道具を作ってください」

「こいつか?でもこれは………」

「迷惑料みたいな感じと思ってください。他を作ってくれただけで満足してるので」


 暫く考えていた大親方だったが、僕の申し出を受け入れ宝石は大親方の物になった。

 問題も解決したし、僕の装備のお披露目となった。

 どうやったのかは知らないけど、角を繊維状に加工し服とマントに、マントはフード付きで色は黒が基本でカッコいい。

 鱗は胸当てと籠手に変わり、砂粒みたいな光がキラキラしている。昔持ってたスーパーボールに似てるとは言えなかった。

 そして破断。破断は牙と爪を使い、切れ味が増したらしい。これだけなら見た目が少し変わった程度だが、未だあった。


「装備を作ったり強化したりするときは、稀に特殊効果が付くことがあるんだ。ランダムだと思うが、素材の元の奴が強ければ強いほど確率は上がる。そんでこいつら、全部に効果が付いた。元が相当強かったんだろうな、こんなことは初めてだ」


 あの近所の人みたいな竜が強かったのにも驚きだが、今はその効果が気になった。

 大親方の説明では、衣類。マントや服は、魔法耐性が付いたらしい。どの程度かは分からないが、燃やしてみたが燃えなかったと言っていた。しかも切ってみたら再生したらしい。正直気持ち悪いが新しいのを買わなくて済むなら話は別だ。

 次に胸当て。これは単純に傷一つつかなかったそうだ。籠手は筋力、STRに十パーセントの補正がかかる。

 そして、メインの破断。特殊効果等は鑑定というスキルを使ってみるらしく、大親方は最大レベルの二個前の鑑定を使えるらしい。が、破断は見えなかったそうだ。


「こんなこと、鍛冶してて初めてで俺も何が出るのかワクワクしてんだ」


 持ち主には無条件で見れるから、大親方は早くしろと急かしてきた。

 僕も唾を飲み込み、緊張しながら破断を握った。すると目の前に画面が表示された。


『称号、夜天龍の友を獲得。全ステータスに五パーセントのの補正がかかります』


 急に文字が浮かび上がったと思ったら、称号の欄にそれが追加されていた。

 そして、破断の効果は色々変わっていた。

 大きさが変わるのはそのままだが、名前が変わっていた。名を破断・夜叉丸(やしゃまる)。大親方によると、素材の格が高ければ稀にある事らしい。でも破断は旧時代の物、そもそも格は高い。それ以上の物って………、しかもこの称号。これを見た僕は少し希望が見えた気がした。優しい古龍もいるかもしれないと………。

 名前以外は、龍気解放と夜天闘気という能力が増えていたが全く分からなかった。

 何やらむずがゆくなる感じの剣に成ったが、明らかに強そうなので満足だった。お金を渡せないのが少し嫌だったが、親方も良いものを作れて満足しているようなので良かった。後は良い道具を作って、それを使ってくれれば完璧だ。

 

「ありがとうございました!」

「おう、またな」


 親方にお礼を言って、剣の師匠を探しに行った。親方に聞いた話だと、最近騎士団の団長が変わったらしい。それに合わせて新しい隊を作ったりしたから人数が足りない、だから騎士団に行けば金も貰えるし、剣の稽古も出来るとの事だった。

 あてもなく探し続けるよりかは、教えてもらったところの方が早いし、何よりも騎士団というのに興味がある。新しい団長も、聞いた話によれば凄い実力者。NPCではあるが、稽古中に色々聞けるかもしれない。


『では騎士団に?』

「そうだね。そこなら経験も色々出来るだろうし」

『ですが、試験などはどうするつもりですか?』

「座学ならアイにこっそり教えてもらおうかな………」


 僕がそう言うと、アイのため息が聞こえた気がした。

 流石に卑怯な気がしてきたので、どうしてもというときは力を借りることにした。

 早速騎士団の詰所に向かった。試験は十七時まで行っていて、受付さえ済ませれば誰でも受けることが出来る。

 もちろん身元確認はするが、流石実力主義だ。

 合格すれば晴れて団員の仲間入り。新人教育の場で起訴を教わり早くて数週間、遅くて一年以内にそれぞれ適性のある隊に配属される。

 と、受付のお姉さんが教えてくれた。

 受付が終わったら試験の開始。魔法と剣術の実力を披露するといった簡単な内容だ。魔法は的に、剣術は模擬戦で合否を判断する。座学が合格後なのは有り難い。

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