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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
零章 書き出し
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第4話

ごめんなさい

 意識がハッキリしてきたと思ったら、不思議なところに僕は居た。数字の羅列の様な物が浮かぶ空間。これがFAの中なのか?

 設定画面も出てこないしどうすれば……。何をすればいいか分からず戸惑っていると、目の前に長髪の男の人が現れた。古代ギリシャに居そうな白い布を纏った男の人は、僕を見つけるとニコッと笑って口を開いた。


「やあ賢人君。どうかな初のフルダイブ型のVRは。中々面白いだろう」

「あの……どうして名前を知ってるんですか?」

「ああ、ごめんね自己紹介とかせずに話しかけて」


 申し訳なさそうに手を振りながらあたふたしだした男の人は、コホンと咳ばらいをし右手を胸において綺麗に一礼した。


「私は天——じゃなかった。FAアシスタントのミカ——三門(みかど)です。賢人君の情報は端末に登録されている本体情報とこのゲームがリンクしているので知っているんですよ」

「はあ……」

「反応薄いねえ……さて、早速ですがキャラメイクと行きましょうか」


 そう言って三門と名乗った男が指を鳴らすと、人の体の様な物が写った画面が目の前に現れた。そこにはステータスや種族等様々な設定様と思われる項目があった。

 あらかじめ入力されているのは、身長と性別のみ、他は空欄となっていた。


「君が行こうとしている世界はブルーと言う。そこでの生活は天法に違反しなければ基本自由、何者になってもいい。それこそ悪役とかね。ただやりすぎると断罪の対象になるから気を付けてね。あ、ここで待っておくから色々決めちゃっていいよ」


 さっきの自己紹介の時はやはり仕事モードだったのか、今は砕けた口調になっていた。

 色々決めろと言われても何からすればいいのか分からないんだが……そう言えばアイは今呼んでも反応するのだろうか?


『お呼びですか?』

(うお!反応出来るんだ)

『マスターがこのゴーグルを使用している間はいつでも対応可能です』


 そうなんだ……。じゃあ色々聞きながらやって行こうかな。

 先ずは種族からだがこれは人間で良いだろう。他にも竜人とか魔族とか色々あるが、正直人じゃなさそうなのはあまり望ましくない。


『竜人や魔族は人型が殆どです。魔族は例外もありますが、FAの仕様上人から大きく離れる様な種族は基本的にありません。尚、種族によるステータスの差はありません』


 うーん…。難しいしここは人族でいいかな。

 後はステータス、これはアイに聞いて均等に伸ばすことにした。

 すべての設定が完了した頃、三門が頭をかきながら何か作業をし始めた。目の前には画面があり、リストの様な物が載っていた。邪魔するのも悪いのでしばらく待ってみることにした。

 数分後。


「いやあごめんごめん。ちょっと確認作業で忙しくてさあ。なんかサーバーが落ちそうだったみたいで確認が取れなくて」

「急いでるわけじゃないので、大丈夫です」

「ありがとうねえ。じゃあ———ケント君。改めて、ようこそ僕たちの世界へ。そしておめでとう!君は節目のプレイヤーだ!」


 節目のプレイヤー。それは一万、二万、三万と一定のプレイヤー数に至ったときの丁度一万人目のプレイヤーの事を言う。このFAの世界には賢人を入れて十一人おり、他の十名は運営から特典が与えられている。byアイ

 三門さん曰く、これまでに与えた特典は色々な物があったらしく、初めてのプレイヤー。記念すべき一人目のプレイヤーは神剣と呼ばれるものを持って行ったらしい。

 ゲームバランスや公平性に欠けるのではないだろうかと思ったが、


「え?だってうちの上司が決めたことだからさ。ほら、君たちの国ではよく言うでしょ?運も実力の内って」


 そう言うものなのか?とも思ったが気にしても仕方ないらしいので気にしないことにした。

 急に何かあげると言われても、そんなに直ぐに思いつくものは無い。今までもプレゼントをねだった事があまりないので、欲が無いのかもしれない。貰えるものだしもらっておきたいが……。


『マスター。確か紹介映像の様な物があったはずです。それを見せてもらってはどうでしょうか?』

「紹介映像?三門さん。紹介映像ってあるんですか?」

「え?よく知ってるね。あるけど、見たいの?」

「はい!」

「じゃあ離れてみてねー」


 三門さんが手を鳴らすと、目の前に黒板くらいの大きさのスクリーンが現れる。

 そこにはゲーム内であろう光景が映し出されていた。

 海、山、空、街。大自然と人工物。様々な環境があり、どれも見たことが無いほどきれいだった。

 最後に神殿の様な所が映し出され、五人のシルエットと真ん中の玉座に座る人のシルエットが現れ、FAのロゴに切り替わった。

 映像が終わった後、僕は暫くの間固まっていた。

 綺麗だった。もっと見たいと思った。ワクワクした。この世界の全てを見たいと、そう思った。


「三門さん。僕この世界のこと知りたいです!もっと綺麗なところを探したい。誰も知らないようなものを見つけたいです!」

「んーー。いいねえ!君みたいなタイプは初めてだ。十一人目の君。世界を見たい。世界を知りたい、十一人目よ。君には『解読』のスキルと固有装備『大図書館』、そして職業『旅人』を与える。この世界では自由だ!少年。思う様に生きなさい。改めて…この世界にようこそ!」


 最後に大きく手を鳴らした音が聞こえたと思ったら、目の前が真っ白になった。

 これから全部始まると思うと、僕の心臓の音が今まで聞いたことの無いほど大きくなっていくのを感じた。

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