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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
一章 本当の始まり
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第28話

 第二のセフィラ、コクマーを探して旅をする………前に、僕はマップの確認をしていた。

 真っ黒で見えないが、名前やある程度の大きさは分かっているため、少しでも確認しておいた方が良いと思ったからだ。

 カードが示した方角にある国は、ゴーラ王国という所。その先には山があり、剣山大山脈という僕ではとても行ける所ではない様な場所だ。

 大山脈には、人型のモンスターが徘徊しているらしく、スピードが尋常じゃないほど速い。いつやられたのか分からないほどらしい。

 となると、僕としては王国に居てくれた方がありがたい。少し遠いと言っても安全な場所に居てくれた方が探しやすいからだ。

 

「まあ、とりあえずゴーラ王国に向かって行こうかな?その後はついてから考えよう」

『それがよろしいかと』


 幸いタタミア王国からゴーラ王国までは街道がつながっており、進みやすいはずだ。だが、中間地点位になると盗賊も出るらしいから気を付けていきたい。

 首都周辺は警備が厳しいが、やはり離れると警備が行き届かないのが現状らしい。国境付近は数人兵士が常駐しているだけと聞かされている。


『両国が友好関係にあるのも考え物ですね、それに盗賊が出ると聞いているのに対策しないのは職務怠慢だと思います』

「……アイってこういう話になると厳しいよね」

『はい。人の過ちは見るに堪えませんから』


 そういうものなんだろうか?僕はアイの考えてることは分からないから、何とも言えないな。

 数分歩いて、僕は座り込んでいた。

 メティス大森林で歩いていた時、ちっとも進んでいなかった時と同じ、いやそれ以上の状態だったからだ。

 よく見ると、歩く距離は大森林の時の二倍以上。その間はずっと平原で景色もほとんど変わらない。マップの大きさが異常なゲームだ。


「足がいる」

『移動手段が徒歩のみなのは、旅人として問題かもしれませんね』


 ワープ機能があるとはいえ、一度行った場所にしか行けないのだ。それならアマ姐が乗っていた馬位はあっても良いだろうと思う。乗り方知らないけど。

 

『現在は徒歩しか無いでしょうね』

「だよねー………。足の確保はそのうちしようか」


 座ってても勝手に国はこっちに向かって動かない、距離は縮まらないままだ。それなら少しでも歩いていくしかない。時間はあるしね。

 立って歩き出そうとしたとき、通りかかった馬車が僕の前で止まった。屋根が無いタイプの馬車には荷物が乗ってなかった。


「おい兄ちゃん。どこ行くんだい?」

「ちょっとゴーラ王国まで行こうと思ってて」

「ゴーラ王国まで!?歩きでか?」

「はい。他に手段が無いので」


 このおじさんの反応を見るに、相当無謀な事をしようとしていたのだろう。一度ワープ機能を使って戻って足を確保しようかと考え直していた時、おじさんが口を開いた。


「丁度俺もゴーラ王国まで行くから乗せてってやるよ。商売の帰りなんだ」

「本当ですか!?」

「ああ、ほら乗りな」


 心優しいおじさんに甘えて僕は荷台に乗った。

 途中の村で一泊し、中間地点の詰所で一泊したら後は直ぐに目的地に着くらしい。どうやら最後まで乗せてってくれるそうだ。

 少し揺れるが、それでも開放感のある荷台は風が気持ちよく、そんなこと気にならなかった。クッションもあるしお尻は痛くならない。

 

「兄ちゃんはどうしてゴーラ王国まで行くんだい?」


 静かな空気が嫌いなのか、おじさんが手綱を持ち前を向きながら話しかけてきた。

 本当の事を言うと不味いかもしれないし、かといって嘘をいうのも嫌だったから少しだけ話すことにした。


「旅の途中なんです。世界を見てまわりたくて」

「いいねえー。おじさんも昔は冒険してたよ。丁度ゴーラ王国に着いたときに嫁と会ってね。そのまま結婚したんだ」

「そうなんですか。良ければその話聞かせてください」


 少し興味を持った僕は、少し踏み込んで聞いてみた。するとおじさんは嫌な顔せず話してくれた。


「嫁も昔は冒険者で、今は旅して出来た繋がりを使って商売をしているんだ。娘が二人いて、一人は結婚して家を出たけど次女の方はずっと店を手伝ってくれてるんだ。だが………」


 娘の話になった辺りで、急におじさんの顔が暗くなった。

 何かある。僕はそう確信しおじさんにもう少し話して欲しいと言った。おじさんは最初は躊躇したが、それでも最後には話し始めた。


「娘が病にかかったんだ。結婚して出て行った娘も今は旦那と一緒に店を手伝いながら看病してくれてる。だが娘の顔は日に日に痩せて青白くなっていく。このままじゃあ………」

『周りに感染していない所を考えれば、流行り病では無さそうですね。食事や飲料水からの感染の可能性も低く、何らかの毒によるものと思われます』

「あの、娘さんは元気な時一日にどんな行動をしていましたか?」

「朝早くに起きて店の準備、開店してから夕方まで店を手伝って………最近は男が出来たって言ってよく店が終わった後そいつの家に行ってたな………」


 病気を患う前に会いだした男。おじさんがあまり知らないことを考えると、見舞いにも来ていない。

 病にかかっている事を知らない線もあるが、流石にそれはありえないだろう。急に会いに来なくなったのだ心配になって見に来るはず………。

 ゴーラ王国についてからの行動が決まった僕は、ある程度の事を考えながら馬車に揺られていた。

感想アドバイス等待ってます!

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