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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
一章 本当の始まり
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第24話

ドタバタしてて投稿するのを忘れてました

「僕は………この世界の事が知りたくて………」

「………貴方の師は、己が定めた確固たる意志を持ってこの地を訪れ、勝ち取って行きました。ここを訪れたのは彼女と貴方だけです。外の者は貴方が初めてだった。私はこの時を千年以上待っていた。ですが、その時は今では無かったようです。メタトロン、客人がお帰りですよ」

「ちょっとまってください!僕は本当に——————」


 僕がケテルに近づこうとすると、さっきの大男が前に立ちはだかった。

 そして僕の服を掴み教会の外に放り投げた、僕はそのままお尻を地面に叩きつけられる事になった。痛みを感じ抑えていると、扉の前に居たケテルが言った。


「もう一度、よく考えることです。中身のない言霊は、私は直ぐに分かります。期待していますよ十一人目の特異点」


 バタン!という大きな音を立てて閉じられた扉は、開くことは無かった。

 僕は何とも言えない感情に頭を抱えながら、来た道を下って行った。何が彼を怒らせることになったのか分からない、そして僕がこのゲームをしている理由も分からなくなってしまった。

 一体どうすれば良いのか、考えても答えは出ずその日は早めにログアウトすることになった。

 いつもはログインしている時間が、ただベットに寝転がっている時間に変わっていた時、ひとりでにパソコンの電源が付き、お決まりの機械音が鳴った。

 そして画面には、「セフィロトの樹」についての事が書いてあるサイトが開かれていた。

 聖書に記され生命の樹とも呼ばれるそれは、現実世界に古くから存在する伝説の一つだった。

 ただ、今は見たくない。そんな気持ちで胸がいっぱいになり僕は静かにパソコンの電源を落とした。


————————


 次の日。

 授業中にボーっとしていたせいで、僕は今廊下に立っていた。

 今時古いと思われるかもしれないが、古文の担任は結構な御歳なので仕方が無いだろう。でもバケツは持たされてない。

 授業が終わると先生が教室から出てきた。そして僕を見るとキョトンとして


「まだ居たの?」


 と言ってきた。この人僕の事忘れてたよ………。

 教室に入ると、将太がニヤニヤしながら、圭吾は心配そうに僕を見ていた。

 二人の所へ向かった僕を、頭痛が襲った。一瞬ふらっとしたが、痛みはまるで錯覚だったかのように消えていた。


「大丈夫か?やっぱり疲れてるんじゃ」

「どうせゲームのしすぎだろー?」

「………いや大丈夫。気にしないで」


 今日の会話はそれぐらいしか覚えていない。

 帰り道もどこか上の空で、道を間違えてしまった。まったく見たことのない所まで来てしまい、ナビを使うしかなくなっていた。

 だが、そんな僕に突き付けられた現実は酷な物だった。電源を入れる為ボタンを押しても真っ黒な画面が光ることは無い。何度か押した後画面に表示されたのは赤い充電マークのみ、完全に帰る方法が無い事を告げていた。

 その場に座り込んでしまいそうになった時、後ろから誰かが近づいてくる音がした。いつもより音を拾う耳は自分の物じゃない様だった。

 後ろを見ると、少し腰の悪そうなおじいさんが壁に手をつきながら歩いていた。手には折れた杖を持っている。木製の物でかなり年季が入っている様だった。

 辺りも暗くなってきているし危ないな………。そう思い声をかけることにした。


「あの、大丈夫ですか?」

「んー……?大丈夫では無いのお」


 そう言ったおじいさんに手を貸して、家まで送ることになった。

 歩いているうちに、少し知っている道を通った。そこを通り過ぎ古い一軒家の多い地区に入った。道は覚えたので恐らく帰れるだろう。昔はこんなに直ぐ覚えれなかったのに、成長というのは嬉しいものだ。

 


「ありがとうねえ。本当に助かったよ」

「いえ、僕も道に迷ってたので助かりました」


 そう僕が言うと、おじいさんは静かに涙を流した。

 だが直ぐにハンカチを取り出しそれを拭くと、ぽつぽつと口を開き始めた。


「儂にも娘がおった。君と同じで良く人を助けていたよ。そんな娘と君を重ねてしまってね。すまない」

「………」


 僕は何もいう事が出来なかった。

 恐らくこの人の娘さんはもういないんだろう。話し方が物語っていた。だがそのことに触れる勇気は、今の僕には無かった。

 結果的に無視した形になってしまったのが、少し後悔の念が残ることになった。

 おじいさんを家まで送り届け、自分も家に帰る。そして直ぐに部屋に入りパソコンの電源をつけた。

 気になったからじゃない。見なければならないそんな気がしたからだ。

 十個の丸にそれぞれ名前が書いてある画像で手が止まった。

 一つ目はケテルと書いてあり、ケテルに聞いた情報と書いてあることが全て同じだった。だがそれが分かっただけ、もっと大事な何かは分からないまま時間だけが過ぎていた。

 朝は必ずやってくる。たとえ気分が優れなくても学校へは行かないといけない。ずっとそう思っていた。だが僕は次の日学校へ行かなかった。

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