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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
零章 書き出し
21/138

第21話

 未だ先生に色々教わっていた時、図書館に籠っていた時ふと疑問に思った。

 一体この図書館は何処まで続いているのだろうか?と、そう疑問に思ったら確かめずにはいられなくなった。

 歩くこと数十分。やっと奥にたどり着いたそこには、大きな壁があるだけだった。だがただの壁じゃない。それは壁画だった。

 黒い球体に根を張った大きな木に十個の実が付いており、その木の周りに鳥の様な物が同じく十羽飛んでいた。その時丁度近くに来ていた先生に聞いた。

 これは何なのかと。だが先生は教えてはくれず、


「いつか自分で見つけろ。これはそのヒントになる」


 とそう言っていた。

 そして今、その壁画の前に立っている。

 何故この場に居るのか?それは勘だ。ここには絶対何かある。そう思ったからだ。

 

『大図書館の中に不自然な書物があります。そちらを出しましょうか?』

「……?ああ、お願い」

『では、0番、題名無しを取り出します』


 出てきた本は、白紙の本だった。だが最後のページの端に先生のサインが書いてあった。

 何か意味があるはず、そう思い辺りを調べる。特にこれと言ったものは無く、無駄足だったのかと思って帰ろうと後ろを向くと、本棚の下側が目に入った。

 そこには四角形の穴が空いていた。丁度この本が入りそうな程の。

 本の上側を穴に向けて、地面に置くような形にしそのまま奥に押し込んだ。すると耳を澄ませないと聞こえないほどの音で、でも確かにカチッという音がした。

 その音を皮切りに何かが動くような音が段々と大きくなりながら、辺りに響いた。

 動いたのは壁画だった。大きな壁がまるで引き戸の様に右にずれ、壁の向こうには道が見えていた。

 恐る恐る中に入ると道の横に付いてあったランプが勝手について、道が明るくなった。

 明るくなったことで先が見える様になったが、それでも奥の方は未だ見えなかった。

 勘が確信に変わった僕は、迷わず先の見えない道を歩いた。


 どれくらい歩いたかは分からない。でも僕の後ろには先の見えない道、前には人が一人通れる位の扉がある。

 この奥に何があるのかは分からない。それでも迷わずドアノブに手をかける。すぐ横の壁に埋め込む形で置いてあった鏡には、目の輝いた男の姿が写っていた。

 それだけ好奇心が表に出ていたんだろう。

 中に入ると、さっきの通路の大きさに対しては随分と小さな部屋が広がっていた。

 社長室にありそうな大きな机と椅子、それ以外には窓も何もない部屋だった。机の上には一冊の本と置手紙が置いてあった。差出人は間違いなく先生だろう。

 封をしてある手紙を開き中を確認する。やっぱり書いたのは先生だった。だが見たことのない文字で書かれていた為最初は読めなかった。

 数分立ってようやくまともに読めるようになったので、改めて内容を確認する。


「ケントへ。お前ならこの私が考えたオリジナルの言語も読めるんだろう。だからあえてこの文字で書くことにした。

 この下に置いてあった本はこれと同じ文字で書いてある。問題なく読めるだろう。前置きはこの辺にして、先ずはおめでとう。お前なら必ずここまで来ることが出来ると思っていたよ。この本には、私が知っているこの世界の()の事を書いてある。活用すると言い。

 お前に長い言葉はいらないだろうからこの辺りで終わることにする。お前がいつこの手紙を読むかは分からないが、案外直ぐかもしれんな」


 手紙にはそう書いてあった。

 先生らしい手紙に少し笑みをこぼしながら、手紙の下に置いてある本に手を伸ばしページをめくった。


————————————————某所——


「~~~~~~♪ラララ~♪フンフンン♪」


 殺風景な部屋。そこで一人の男がご機嫌な様子で鼻歌を歌っていた。

 椅子があるだけの部屋、そのたった一つの椅子に腰かけながら空中に浮かんだモニターを見る男は、以前とは少し違いまるで若返ったかのように無邪気に歌っていた。

 

「一つ、二つ三つ♪横入りは禁止~♪順番守って最後まで♪十個めぐってー。ここまでおいで………」


 その目に移すのは一人の少年。期待のまなざしは確かに少年をとらえていた。

 男は手に持っていた赤い果実をひとかじりすると、また歌いだした。


「長男は考え事が好き~♪次男は男の中の男で、三女は母性が強い♪四男は泣き虫で~五女は癒し手、でも厳しい~♪六女、美しい絶世の~♪」

「ご機嫌ですね。代表」

「あれ?居たんだミカ。いつから居たの?」

「鼻歌を歌い始めたあたりです」

「最初からじゃん。で?何か用?」

「はい。そろそろ会議の時間ですので」

「あれ?そうだっけ。ごめん今行くよ」

「はい。お待ちしています」


 持っていた果実を食べ終え、鼻歌を歌いながら着替える。

 きっちりとしたスーツに着替え、ポケットに入れてあったウエットティッシュで手を拭くと、男は部屋を後にした。

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