第131話
全員無事に合流した後、僕たちは簡単な情報交換を済ませ大まかな地図を作成した。
あんぱんさん側の1人が見つけたのは、天空城の5箇所に建つ尖塔。それらを線で結んだ五芒星の中心が、五角形の城だった。尖塔にも侵入は不可能で、入ることが出来た場所はほとんどない。街の家にすら侵入する事は不可能だった。
「やっぱり正式な手順があるのか...。それらを飛ばして無理やり入ったから、本来行けるところにも行けないんだろうな」
あんぱんさんの言う通り、これは正規の方法では無いのは明らかだった。
だが、正規の方法とは何か?まずはそこからだった。ここにいるプレイヤー全員が、本来敷かれているはずのレールを飛び越えてここにいることは理解している。だが、そうしなければならない程今までこの城に関する情報が無さすぎたのだ。
あわよくばワープポイントを設置できると考え実行したプレイヤーは、設置完了後にワープを試みたが城の障壁に阻まれて落下した。
ここで帰れば、もうここには来れないかもしれない。それは誰もが思うことだった。だからこそ、ここで必死になって情報交換をしている。
「下のやつに映像だけでも送ろうと視界共有をしているが、映像が乱れててまともに見れていないらしい。ワープ対策もそうだが結界が強力すぎる」
「城と尖塔に何かがあるのは間違いない。尖塔には暗号らしきものも無かったし、力技でどうにかできるものでは無いだろう」
誰もが下を向いていた。せっかく手にしたチャンスを何の成果もなく手放すのは流石に堪えるだろう。
「ライブラは知ってることとかないの?アイも、何か知ってたら教えて欲しい」
ここに来て初めて2人を呼び出して話を聞く。周りの人達はザワつきながら2人を見ていたが、今は我慢してもらおう。
「私は会議の参加権はありませんでしたので詳しいことは分かりませんが、星王が初めての共同作業だねとか気持ちの悪いことを言っていたのは覚えています。誰とかは分かりませんが、恐らく魔王や祖龍のことだと思います」
「私は姉上の転移について行っていたのであまり詳しくは……」
ビナー達は転移とかも出来るが力は借りれない。僕は星霊の因子は少しあるが、星王のものでは無いので結界の突破は不可能。
「手詰まりか?でも何も無いまま帰れないぞ...」
皆が低く唸り、沈黙が続く。そんな中思い出したようにアイが口を開いた。
「そういえば……地下の動力炉に繋がる階段があったはずです。そこは入れるのでは?」
うろ覚えのまま案内をするアイに引き連れられ、一行はその階段の元へと向かった。一見するとただの壁だったがそこに本物の壁は存在せず、奥に続く通路を発見した。
全員が大興奮し、我先にと走り出す。僕は辺りを観察しながらゆっくりと進んだ。
石造りの壁に、通路の向こうまで伸びる配管。代わり映えのない景色に少し不気味さを感じながらも歩みを止めることは無かった。
「動力って言ってたけど天空城って確か六魔の一体も同じ名前だったよね?それと関係あったりする?」
「はい。長い時を経て星都の名前は忘れられ、今天空城と言われる存在。スフィア……。その正体は霧の魔物です。星の因子を取り込み現在は星魔として生きています。この配管を通して霧の力を天空城全体に行き渡らせ、高度や速度。方向などをコントロールしています」




