第127.1話
はるか昔。数多の種族に慕われた女が居た。曰く導きの星、曰く最も眩しい蒼星。様々な呼ばれ方をしたが、最後には「王」と呼ばれるようになった。
絶対に交わることのないた種族たちを纏め上げ、始まりそうだった戦争を未然に食い止めた王は、突然姿を消した。星に最も近い天空城を残して…………。
「各種族の王が一堂に会したという天空城。またの名を星の都シリウス。消えた主を未だに待ち続ける悲しい都です」
「天空城…………。あの時雑誌で見たやつかな?」
一部のプレイヤーが発見した空に浮かぶ島。そこには旧科学時代の建造物もあったらしい。
「旧科学時代に住民が途絶えてからは制御も無く放浪するだけですが、あそこならば様々な資料があるはずです。もしたどり着くことが出来れば…………」
この図書館の本は、粗方読み終わってしまった。めぼしい情報はもうないだろう。
天空城という新たな希望は見つかったが、肝心の行き方が分からないばかりかその場所すらはっきりしていない。まだ誰も到達していない未開の地だ、簡単なことでは無いだろう。
そんなことを考えながらふと窓の外を見た僕の目に、小さな何かが映った。
丁度ステラに会った方角にあるそれは、距離を考えれば相当大きなものだった。
「まさか…………。ライブラ!?あれって…………」
「…………貴方は相当運がいいですね。高度は落ちていますが間違いなく天空城です」
まさかの豪運。急いで出発の準備をして城を飛び出す。
もう一度あの場所へ。唯一の希望を目の前に僕の鼓動は高鳴っていた。




