125話
今回も中途半端です
宙に浮かぶ島にたどり着いたと思ったら、すぐに落下の感覚とともに島が遠ざかる。
島が更に浮遊しているわけではなく、僕が落ちているのだとすぐに気がついた。
この高さから落ちた場合HPはどうなるんだ?流石に助かるとは思えない高さだと思うんだが?
「ライブラ!どうにかできないの!?」
「流石に厳しい……」
頼みの綱であるライブラもギブアップし、残された手段は神頼みとなった訳だが……。
「無理だろうなあ……」
せっかくたどり着いた目的地は段々と見えなくなっていく。逆に地面は近くなっていき、諦めと共に目をつぶったが、想像していた衝撃が訪れる事は無かった。
かわりに一瞬の浮遊感があっただけで安全に着地することができた。
ライブラのおかげでは無いだろうし、アイに聞いてみても違うと言う。じゃあ一体誰が?まさかステラがやってくれたのか?
「あれは王の力に近いものだったと思います。恐らく夜天龍がやったのでしょう」
遠ざけたのに優しくする意味がよくわからなかったが、実際に僕は安全に着地する事が出来ている。ライブラも自分ではないと言っているし、間違いは無いのだろう。
「もう一回行けない?流石にここまで来て諦めきれないよ」
「すみません。上空の力が混ざり始めていて……私だけでは無理です」
ライブラが言うには龍特有の力と星霊の力がぶつかり合い、干渉するのが困難な場所になりつつあるらしい。
ライブラと同格の星霊があと数人いればどうにかなるらしいが、現状は期待できるレベルではない。
残された選択肢は不本意なものではあったが、いま取れる行動の中で唯一まともなものだった。
一時撤退。ここにいたところで何も始まらないと確信していた僕は、迷わず帰路についた。
もう見えないはずの龍を思いながら、これからのことを考える。
力の制御もできない中でこれからどうするかを考えないといけない。
ステラと話すこと以外の解決方法は恐らく無いだろう。拒絶された龍に会いに行く方法も無く、このままでは完全に詰むのだが……。
「ライブラ、星霊と同格の力を持っている存在がいれば、またあそこに行くことは可能?」
「ええ、そんな存在がいればの話ですが」
であれば、やることは決まっただろう。今のままではどっちにしろ詰む。どうにかして、星霊の力を手に入れよう。無理かもしれないがやってみる価値はある。
「僕が星霊の力を使えるようにはならないの?」
星霊であるライブラに質問すれば、先のことを考えやすい。そう思って聞いたが、ライブラからの返答は無慈悲なものだった。
「不可能ですね。貴方は既に龍の因子が混じっています。かの英雄達ですら、一人につき一つの因子しか宿すことはできなかったのです。人の身であれば尚更、過ぎた力を求めれば身を滅ぼすことになります」
「そうか……」
唯一あったかもしれない可能性も潰えてしまい、完全な手詰まりになった。
「一旦冷静になりましょう。ここで分かることだけでは判断できなあ事もあります。何も今すぐにするべき事では無いのですし、ゆっくり考えましょう」
アイのその言葉に少し勇気を貰い、3人で来た道を引き返すことにした。帰ったら先ずは情報収集から始めよう。そう心に決め前を向いて歩き出した。




