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賢王の書~ ELSIUM OF EUPHORIA~  作者: LSABA
二章 華の国編
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第109話

 その後の試合は展開が速く、観客の熱気も高まってきていた。

 当然の様にザックさんは1回戦で勝利をおさめ、その次の試合は龍炎と将太だった。流石に相手が悪く負けてしまったが、将太は清々しい顔をしていた。

 第5戦は五剣対決になり、観客は大盛り上がり。流水と冥帝の戦いだった。最初の内は、冥帝が会場を陰で覆いその手数の多さで流水を翻弄していたが、流水の大技に敗れ負けてしまった。流水もギリギリの勝利だったのか、ほっと胸をなでおろした。

 第6戦では、プレイヤー同士の対決になった。槍使いのセイと同じく槍使いのメイ。その戦いは拮抗し、見ていてとても楽しい試合だったが、セイの槍が先に折れてしまい勝者はメイとなった。

 最後の試合はちょうど席を外していて見れなかったが、勝者は光姫だったらしい。

 1回戦で五剣の二人が敗退するという結果だったため、観客の反応は様々な物だった。冥帝は五剣同士の戦いだったものの、縁真は外国人との試合で負けた。その結果に疑念を抱く者も少なからずいた。だが、特訓は華の国の国民がいつでも見れる状況で行われていた。

 よく見れば、その時その場にいた少年ではないか、と話が上がる様になり、結果的に懐刀の弟子なら仕方が無いというところに落ち着いていた。

 次の試合がその弟子の試合ということで、観客は大いに盛り上がっていた。

 相手はブロン。接近戦を得意とする相手だ。魔法を使えば普通に倒せるかもしれないが、それだと意味がない。


「魔法のせいで負けた」


 と、言われる可能性がある。それではだめだ。

 相手の得意分野で、圧倒的勝利を収める。そうしなければあいつの鼻っ柱は折れない。

 魔法は使わない。特訓の時と同じだ。あの時を思い出せば、相手が可愛く見えてくるだろう。


「では試合はじめ!」


 開始と同時に間合いを詰めてくるブロン。縁真との戦いを見ていたのであれば、僕は魔法使いと予想するだろう。

 だから間合いを詰めた超接近戦で抑え込めば、余裕で終わると思う。が、今回は違う。こういうときの為の特訓でもあったし、その成果を見せる時が来た。

 先ずは破断で攻撃を防ぎ、相手の様子を伺う。この時点でステータスは相手が上回っていることが分かる。明らかに押されているし、相手は余裕の表情を見せている。

 でも、そんな事関係ない。当たらなければ関係ないし、技術が大事ということを最近知ったから、それを実践していく。

 今からブロンの表情が変わっていくのが楽しみで仕方が無い。


————————————————


 ケントの試合を見ていたケセドだったが、少し違和感を感じていた。

 今までケントに感じたことが無かった違和感。だがそれは戦闘においては必要な物で、彼には確かに無かった感情。

 それは怒り。何に対してかは重要ではない。ただその感情を相手に向けていることが重要だ。その感情は、御しきれれば強い力に変わる。飲まれるようでは三流だが、見たところその兆候は無い。

 彼の感情に呼応するように微かに漏れる黒いオーラ。龍の力をコントロールできるようになるのも見ものだが、今は静かに見守るとしよう。戦闘のその先に、彼の愛が垣間見えるその時まで。

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