第100話
GWですね。普通に忘れてました。しかも前の投稿も土曜日になってるし、いろいろおかしなことになっていたので、今回は次の話を更新することにしました。
結局のところ、自分の能力や装備についてあまり理解していない節があった。だからいい機会ではあるが、確認と言っても実にシンプルなもので…………。
「じゃあこれは?」
「破断はコクマーから貰った物で、大剣は使いにくいから頑張って改造したんだ」
「何でその形にしようと思ったんじゃ?」
「えっと……」
装備についての質問攻めに答える。たったそれだけの事だがこれが意外といい。その時に考えてたことを思い出せるし、ツクヨミが質問だけじゃなく色々なことを教えてくれるお陰で、より一層理解できる。
「夜天闘気は龍気とは違い、魔法の力を増幅する。これは古龍が龍気と魔法、2つの力を操ることが出来るから存在する2つのスキルじゃが、本来はどちらも大して変わらぬ。昔におった火の龍気使いは、闘気を使えば龍気も出ておった。お主が龍気を使えない理由はここにある。火の古龍。消失のイフリートは圧倒的火力を誇る古龍じゃが、奴は生まれたときから火しか操れぬ。が、夜天龍は後天的に今の力を手にした関係で明確に2つの力が分かれておる。まあそのうち使えるようになるじゃろう、ほれ次じゃ」
確認はとんとん拍子で進み、ほぼすべての物を出し切った。
「お主…………これだけ恵まれていてあれでは話にならんぞ」
「すみません」
「まあ良い。ほれつぎじゃ、今日中に終わらせるぞ」
そういわれても、使えそうなものは全部出したが…………あ、そういえばイーシェナがくれた魔石があった。
ポケットの中にペンダントごと入れていたので、それを取り出してツクヨミに渡す。ペンダントを受け取った瞬間ツクヨミの目つきが変わった。
「…………これは、大当たりじゃな」
「え?どういう事?」
「いいから、とりあえずこれを開けてくれ。儂じゃ開けられん」
そういって返されたので、とりあえずペンダントを開いてもう一度ツクヨミに渡した。
「やはり。側に高度な隠しの術が掛かっておったからとんでもない物だとは思ったが…………。やはりお主は縁に恵まれすぎておる」
「それって何なんですか?解析しようとしたら痛みで頭が割れそうになって……」
「解析い!?ハハハハハ!」
驚いた様子のツクヨミ。僕の言葉を聞いた瞬間、腹を抱えてゲラゲラと笑い始めた。
少しした後涙を拭いたツクヨミは、呼吸を整えてから説明を始めた。
「これはな、魔核と言って高位の悪魔が己の力を込めて生み出す物じゃ。魔核は力の増幅および記録媒体としても用いられ、高度な術式を記録し時間を大幅に短縮した高威力の魔法を放つ。重要なのはここではない。この魔核、色が赤に近ければ近い程作った悪魔の位は高いものになる。これは真っ赤じゃのお?それに、よく見れば中のほうに黒い球体と小さな術式が見える」
説明しながらも終始笑っているツクヨミ。さっきみたいな大笑いではないが、くすくすと小ばかにしたような笑いが鼻に着く。
「黒い術式を使える悪魔は世界でただ一人。全ての悪魔を生み出した始祖。イーシェナ・メイダス。忘却を使ってまで何をしておるのかと思ったら…………クク」
「イーシェナって、そんなにすごい存在だったんですか?」
「すごいなんてものではない、悪魔とは戦いこそ嗜好の存在。故に強者との戦いを求める。奴はそのせいで毎日が戦闘三昧。悪魔としては最高の生活じゃが、奴は強すぎた。そのせいで飽きたという理由で玉座を捨て、追手が来ないように全世界の人間の記憶から自分の存在を消すという前代未聞の大魔法を行使した正真正銘の怪物じゃ。故に文献には奴の存在は残っておらず、覚えておるのは術に抵抗できた一部の存在だけじゃ」
覚えることを許すって言うのはそういう事だったのか…………。でもそんな存在が何であの時あそこにいたんだろう。これも運が良かったっていう事なのか?
僕があの籠手の真価を知っていれば無かった物だし、偶然が重なった結果なんだろう。
「悪魔が魔核を作る行為は己の力をそぐ行為になる。故に魔核は1つが普通じゃが、イーシェナはそんなこと関係ない程膨大な力を持って居ったからのお。これもその量産品の1つかと思ったが、これには賢者の術式が刻まれておる。全ての魔に関する知識を有する、ようは脳みそじゃ。それをお前はその小さな脳みそで解析しようとしたのじゃ!ガハハハッ!」
腹を抱えて転げまわるツクヨミ。イライラしてもどうにもできないのは悔しいところだが、今はそんなことよりも魔核のほうが重要だろう。
あの時の頭痛の原因は分かったが、魔石と違うなら結局は使い物にならない?持ってるだけじゃ宝の持ち腐れなんだけど、どうするのが正解なんだろう。
「お主は解析がへたくそじゃ。どうせ何も考えずにいっぺんに解析したんじゃろう。こういうものはな、先ずは側を見るんじゃ。外から見てこれが賢者の術式だと判明した。知らなければ特定は不可能じゃが、それでもやりようはいくらでもある。ここで質問じゃ、術式とは?」
「魔法等の技を言語化して、発動する時間を短縮するための物です」
「正解じゃ。詠唱が必要な物、儀式が必要な物も理論上は術式化することが出来る。が、その為には膨大な力と容量を持った核が必要。そしてどの術式にも共通することは、魔力を込めて発動する、という事じゃ。保険として発動語も設定されておる。危険ではあるは、どんな術式か分からないときは発動語だけ解析し発動させるのが手っ取り早い。最悪死ぬがの」
うれしそうに魔核を持つツクヨミの話をメモしながら、結構な時間が経った。
後から聞いた話だが、ツクヨミは魔道具等が好きらしく、魔核を見たときは相当興奮したそうだ。
GWだしいろんな人が読んでくれたらうれしいです。




