最強と日常 -最強との邂逅1-
男と出会った次の日の朝。
僕が目覚めると男の姿は既になかった。
「あれ…?いない…?」
キョロキョロとあたりを見回す。
すると、奥の青の扉が開き、そこから男が出てきた。
全裸で。
「お、起きたか」
男はまた、間抜けな顔をしながら空間に手を向ける。
「ちょ、ちょっと!なんで何も着てないんですか!」
僕は男の身体を視界から隠すように手で遮る。
「なんでってそりゃ風呂入ってたからだろ?」
男は何もない空間から牛乳を取り出し、ゴクゴクと飲み干した。
「と、とりあえず!下着を履いて下さい!」
僕は後ろを向き、俯きながら言う。
「別に俺の家だし、気にしねぇのになぁ」
男はそう言いながらガサガサと何かを探っている。
「僕が気にするんです!教会の教えで他人の裸を見る事も見せる事もダメなんです!男も女も関係ないです!」
僕は早口に言う。
「はいはいわかったよ、焦るなって…もうこっち見ても大丈夫だぞ」
男は気怠そうに言う。
「は、はい…」
僕が振り返って見ると男はいつもと同じ服を身に纏っていた。
「お前なかなか面倒くさい奴だな…」
男はそういうとソファに腰をかけた。
「ま、いいやお前も風呂入ってこいよ。」
男は左手の親指でさっきの扉を指差した。
「そ、そうですね…ありがとうございます…」
僕は言われたまま扉の方に歩く。
「おう、ちょっとくせぇし汚れてっから落としてこい。」
この人は失礼だな…そう思いながらも言ってる事は間違いではなかった。
「じゃあ、お風呂いただきますね。」
僕は扉の中に入ってまた、驚く事になるのだった。