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僕の親父の口癖は“ケチるな!”

作者: 七瀬





僕の、親父は意地っ張りで頑固親父だ!

だから、僕も母さんも親父に振り回されてばかりいる。

ロクに働きもしないのに、言う事だけはいっちょ前!

それに、見た目ばかり気にするんだ。

周りの人達が、僕たち家族をどう見ているのか?

そればかり気にしすぎて、、、。

お金もないのに、いいモノを買ったり食べたりするんだよ。

親父の口癖は、いつもこうだ! 【ケチるな!】




 *



・・・僕だって!

好きでケチってる訳じゃない!

家にはお金がないから、母さんがどんな思いで僕たち家族の

事を考えて節約してくれているか、親父は何も知らないんだ!

僕たちが住んでいる家は空き家だった家を家賃1万円で借りて。

僕たちの食べ物は? 隣に住んでいる気のいいおじいちゃんと

おばあちゃんからもらう野菜や肉に卵などで作っている。

親父は、つまみと酒さえあればいい男で。

仕事は、売れない陶芸家でたまに都会に降りて自分の作品を

買ってもらうぐらいで、大した稼ぎはない男なんだ!



・・・母さんは? 

親父に言われて働きに行けないから内職でなんとか家族を

支えているんだよ。

僕の服は? 親父のおさがりで作った服だ。

新しいモノも、買えないぐらい生活は切羽詰まっていると

言うのに、親父は売れもしない陶芸品を何時間もかけて、

いい土やいい窯で作りまくって、お金をほとんどこれに使う。

親父のおかげで、生活は苦しくなってんだよ!

それでも、母さんは親父のする事に、一切口を挟まず支えているんだ。



『なんで母さんは、親父に甘いんだよ!』

『お父さんの好きなようにさせてあげましょ!』

『・・・でも、親父のせいで生活が苦しいんだよ! それでも

親父を支えるの?』

『今は大変でも、お父さんの陶芸は世界一なの! きっと

売れる時が来るわよ!』

『母さん! 甘いんだよ! そんな日は絶対に来ない!』

『ダイスケ、』




親父の口癖の、ケチるな!

とう言葉を聞くと? 僕は寒気がするんだ。

金も持ってないのに、ケチるな! よくそんな言葉が出てくるよな!

母さんや僕の気持ちも知らずに、好き勝手なことを言いやがって!

僕は、親父の考えている事なんか、何一つ認めてない。

母さんが、夜中一人になると? 泣いているのは知っているのか?

僕の事はどうでもいいよ! だけど、母さんを泣かせるな!

母さんを泣かせる親父も親父の仕事も僕は絶対に認めない!

僕は、“親父という人間を軽蔑しているんだ!”

僕が大人になったら? 絶対に親父みたいになってたまるか!



僕は、世界で親父が大嫌いだ!




 *



・・・でもある時、僕は親父の本当の姿を見てしまった。

偶然、僕は友達と山奥にある僕の家から都会に遊びに来ていた

時のこと。見覚えのある声が遠くの方から聞こえていたんだ。



『お願いです! わたしの作品を買ってください! 幾らでもいい

からお願いします! 俺には嫁や息子がいるんです! お願いします!』



スーツ姿をした偉い人に、人通りの多い道端で土下座して頭を何度も何度

もさげて自分の作品を買ってくれるようにお願いしていた親父。



・・・あんな、親父初めて見たよ。




僕が友達と分かれて家に帰ってくる頃には、、、?

親父はいつも通り家でつまみとお酒を飲んでいた。


『ダイスケ! おかえり~飯出来てるぞ~! 手を洗って

こっちで晩飯を食え!』



テーブルを見たら? いつもより少し豪華な料理が並んでいた。



・・・そして!

親父が僕にこう言った! “男なら、ケチるな!”

美味しいご飯を食べて、大きくなれ!


『ううん。』




少しだけど、僕は親父の気持ちが知れたように感じる。




最後までお読みいただきありがとうございます。

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