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キグルミ幼女の旅日記〜様々な世界を行き来して、冒険を楽しみます  作者: バッド
5章 カジノはワクワクな世界なキグルミ幼女

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98話 再会の艦長とキグルミ幼女

 浅田艦長。水の世界で会った当時と同じく古ぼけた艦長服を着込んでおり、これが艦長だという感じを見せるお爺さんだ。穏やかな表情でこちらを見てきており、その様子は水の世界で出会った頃と何も変わらない。


 とはいえ、浅田艦長がアンドロイドだということを知っていたネムにあまり驚きはない。口をパカンと開けて、ヒレをパタパタさせちゃうぐらいだ。キグルミでトテトテと歩いたりもしたりしちゃう。


「恐らくは平行世界の私と出会い、そして地球を水の世界から解放したのだろう? 私の姿を見ても驚かないところから見てわかる」


 ふっと、小さく呼気を吐き、浅田艦長は余裕そうに腕を組む。


 何ということでしょう。こんなに驚いた素振りを見せているのに、演技だと見抜いてきたよ?


 周囲の空間はいよいよ転移が始まるようで、蜃気楼のようにグニャグニャと光景が変わっていく。


 その光景を気にもせずに、ネムの周りをゆっくりと歩き始める浅田艦長。


「私の記憶と君の記憶は違うだろう。だが、根本は同じと考えて伝えよう。私は火星にテラフォーミングをするために移動した」


「そこらへんは私と同じ記憶です。貴方の口車に乗せられて、私は水晶にエネルギーを注ぎこみ、水の世界を復興させました」


 きりりとリヴァイアちゃんのキグルミから、ちょこんと顔を出して真面目に告げると、うむと浅田艦長は頷く。


「同じ経緯なのだな。そう、私はそうして火星に移動した。テラフォーミングをして、新たなる知性体を創り上げ平和な楽園を創造しようと考えたのだ」


「もちろん失敗したんですよね? 検証もなく複雑極まる生命体の進化なんてできるわけがないです」


 聞くまでもないことだ。仮想世界で検証したって、実際のテラフォーミングが成功するわけがない。何しろ山と想定外のことはあるからだ。


 当然の答えだよねと、決めつけちゃうネムであったが、苦笑混じりに浅田艦長は頷く。当たっているみたい。


「そのとおり。君から貰ったエネルギーならば、成功も容易いと考えていたのだが、駄目だった。何回か創造したのだが、ろくな生命体が産まれなかった。見ただろう、あの化け物たちを? 知性なく力のみを持つ悪魔たちは最後の一人になるまで争いあい、最後に滅んでいった」


 そうだよなぁ、たとえ黒い虫でも本当なら無理だと思うんだ。知性を持つ生命体とか。


「私は地球に戻った。その目的は完全なる生命体。衰えることもなく、無限の生命力と尽きない魔力を持つ生命力を作ることだ」


「失敗する結果しか見えません。貴方はアンドロイドなのに、そんな結果も予想できないのですか?」


 ヘッと幼女は口をムイッと曲げる。そんな生命体いるわけ無いだろ。


「そのとおり。君の言うとおりだ。成功する可能性は極めて低い。なにせ、完全体を創るものが未完成の存在なのだから」


 わかってるじゃん。さすがはアンドロイド。


「望むものは現れないと、私も考えた。そうして数千年後、不思議な光景を私は見た」


 スッと指を私に指してくる。んん? なにかな?


「君が再び現れたのだ。おかしなことに、まるで歳をとることもなく、数千年の時を超えて。君は世界を救い立ち去った。……次元を転移する者であるのに、数千年の時を超えて現れる。その持つ意味に私は興味を持った」


 こちらを鋭い眼光で浅田艦長は見てきながら告げてくる。


「その後、幾度も君は時を超えて世界を救いに現れた。それを見て理解した。君はあらゆる世界に存在し、あらゆる物事に成功する。私の求めていた進化の先の存在。完全体だと悟ったのだ」


 静かに世界が消えていき、ただ白い空間となっていく中で、浅田艦長は衝撃の真実を言うのであった。


 ……え? 私が進化の先にいる完全体なの?


 照れちゃうなぁ〜。テレテレとネムはリヴァイアちゃんでクネクネ踊っちゃうのであった。意味がわからないけど、褒められているんだよねと。


「そうだ、君は完全体だ。私が求める完全体とはまた違う形ではあるが。君の中の一人が死んでも、他の平行世界の君がそのフォローをするためにその世界に現れるだろう。それすなわち不滅なり」


 なるほどねぇ。確かに幾万幾億の幼女がフォローに入るのだ。確かに不滅だろう。ある意味。死んだ幼女は自分を不滅だとは考えないだろうけどね。


「私は幾多の君が現れるのを見た。なぜ現れるのか? なぜあれ程の力を持つのか? 君の力を解析し、その粒子を進化の粒子としようと考えた。そして……ある時代で君が死んだ時、理解した。その君は今の君ほどの力を持っていなかったために破れた。人外の力とはいえない力の持ち主であった。君たちにはそれぞれ力に差があったのだ」


 ガーン! 幼女死んじゃったらしい。か弱い幼女を殺すなんて、どこのだあれ? 絶対に仇をうつぞとフンスと鼻息を荒くするが……。


「すぐに他の世界の君が現れた。殺された君よりも遥かに強かった。あっさりと何度目か分からない世界の危機を防ぎ、去っていった。どうして、君たちに力の差があるのか? 私は考えた」


 顎にゆっくりと手を当てる浅田艦長。


「恐らくは殺された君は枝分かれした多元世界において、ほぼ末端の枝分かれした世界に産まれた君なのだ。その世界は失敗しても、他の平行世界の君に影響を与えない枝葉であった。そして、すぐに他の平行世界の君がフォローに現れて世界を救っていったこの世界は……」


 ためを作る浅田艦長の次の言葉に真剣になっちゃう。


「君が平行世界の根元なのだ。あらゆる世界の元となる者。だから世界は滅ばないし、君は死なないように圧倒的な力を持っている。不思議に思わなかったか? なぜ君が圧倒的な惑星レベルの力を持っているか? それは最初に転移する者が死んでしまったら困るために、他の世界の君たちが防ごうと力を送り込んでいたのだ。幾万幾億の君たちが、君一人を助けるために力を分けていた。君が圧倒的な力を持っているのはそのためなのだ。君は因果律において、最強であり、完成された存在。不滅の存在の大本なのだよ」


「な、なるほど……そういうことだったんですね。どうりで、赤ん坊の頃から鍛えていたといっても、ちょっと力が強いなぁと思っていたんです。剣とか頭に刺さっても弾き返しちゃいますし」


 よくわからんけど、わかったよ。ようはもう魔女は現れないんでしょ?


 いまいちよくわらんけど、最初の転移をした時点で、無数の平行世界の私が生まれたと。そして、私は最初の転移をした私が死んだら、平行世界もなかったことになり、消えてしまうので、知らず知らず、私の世界を救い、私に力も分けていたと。


 因果律を超えている。結果が発生より先に来ているのね。


「私の求める不滅の力。進化の粒子は君が持っていた。いつかは君が現れると私は予想して、様々な者たちに潜んだ。浅田因子を植え付けて、もし君が現れた時のために。そして数万年後、君に出会えた。完全なる生命体を作る因子を持つ君が。あとは簡単だ。カジノでの戦いは予想されていた。浅田最強号との戦いも。想定と違ったのは、別世界の浅田最強号と戦うことであったが、特に問題ない誤差であろう」


 手にした神々しく光る豆腐を手のひらに乗せて、浅田艦長は嬉しげに顔を歪める。なんというか、名前はゾーアにしようよ。かっこ悪いじゃん。


「浅田最強号が倒されたことは想定内。そして浅田最強号が倒されたが、君のエネルギーは吸収されている。その結果が、結晶が、この賢者の石だ! これを使えば完全なる生命体が産まれよう!」


 ドドーンとお豆腐を得意げに掲げるお爺さん。……他人が見たら、お爺さんボケちゃってと、介護をしようとするかも。


 賢者の石……。その力は知っている。ネムの髪の毛は白銀なんだけど、その場合賢者の石が溶けた水を飲んでもわからないよね。


 でも一つ疑問がある。


「私が不滅で、可愛らしい幼女なのはわかります。ただその不滅性は、多数の私がいるからなのでは?」


 その場合、一個の賢者の石を手にしても意味がない。完全なる生命体のコンセプトが違う?


「そのとおり、私の求めるのはオンリーワンだ。その不滅の方向性は違う。……だが、これで良い。圧倒的なパワーを誇る賢者の石から作り上げた者は不滅にして不死となるだろう。あらゆる属性に耐性を持ち、どのような攻撃をも防ぐ生命体。その力の素となる粒子はここにある」


「? わけがわかりません。私の力だけが目的なんです?」


 オンリーワンを求めるのに、豆腐パワーを求めるの?


「いや、君を殺してその力をもらい受ける。そして、転移の指輪を破壊する。そうして世界は再び一つと変わり、私は不滅の存在となる」


「結局、そうなるんですか。わかりました。リヴァイアちゃんで迎え撃ちます!」


 もはや、クラクラしちゃう話だ。ぶっ飛びすぎてよくわからなくなってきました。それに私は滅ぼされないように、他のネムたちから力を貰っているんでしょ? それじゃ負けないよね? ……戦いを求めてきたということは違うぽい。


「過去において、君は平行世界の君が代替となり救うので不滅。そして現在では、その圧倒的なパワーにより、常に勝利は確定されている。しかし、その力を上回る力の持ち主なら倒せるはずなのだ」


 世界が元に戻り、カジノの世界へと変わる。元の世界に戻ってきたようだ。


 そうして、浅田艦長の周りには魔法陣が形成されていく。


「完成体が創れた時に会おう。それまではしばしの別れだ」


「駄目ですよ。その結晶は返してもらいます!」


 思わず全部聞いちゃったけど、その豆腐は非売品です。


『雷豆腐!』


 豆腐百珍の一つ、雷豆腐。バチバチと雷光を放ち、ネムのおててから発射するが、一瞬早く浅田艦長は転移して行った。


「完成体ができるまで待っていてくれ。きっとお互いに、楽しい戦闘となるだろう」


 そうして浅田艦長は消えて、声だけが響く。


「もし興味があるのなら、月面基地に来ると良い。ではな」


 そう言って消えたのであった。天ぷら過ぎる展開だ。マジかよ、月面基地なんてあるの? というか、月面基地って……。


 戦場が宇宙に変わると、だいたいアニメとかだと最終回が近いんだけど……。私は死なないかなぁ。精神崩壊はしたくないよね。


 おやつにバナナは入るのかなぁと嘆息しちゃうキグルミ幼女であった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >不思議に思わなかったか? なぜ君が圧倒的な惑星レベルの力を持っているか? めっちゃ不思議に思ってたので、理由に納得した。 まぁ、浅田が勝手に考えた妄想なので、本当なのかは知らないけど。…
[良い点] 主人公が好きです。 [気になる点] もうこれ、浅田以外が出てきても盛り上がらなくなっちゃうのではと邪推します。 [一言] 早期に浅田を見つけないとヤバイのでは?この先のほのぼのとした内容等…
[一言] うわ、どこまでうっざ。 結局自分じゃ何もできずに人のものをかすめ取るだけの盗賊じゃん。 今迄で一番胸糞な奴だなぁ。
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