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001 新クラスに配属されました

なろう初心者です。

お作法など右も左も分かりませんがご指摘頂ければ随時修正していきます。

興味があればブクマ、評価のほど入れて頂けると更新頻度が上がるかもです。

「最終学年3年生への進級おめでとうございます」


 全くおめでたくないです。


「我が学園ではスクールカースト制度を採用していることをご存知ですよね」


 はいご存知です。

 学園生活2年間の成績でクラス分けを行う制度です。


「武力・魔力・知力・魅力など実力に秀でた者から順にクラス分けを行います」


 ごめんなさい、ごめんなさい、本当にごめんなさい。

 2年の最終成績は学園開設史上初オールEを記録してしまいました。

 

 武力:E 魔力:E 知力:E 魅力:E 意思力:E

 友達:0人

 

「クラスは大きくティア1からティア3に分類されますが、ここで皆さんに残念なお知らせをしなければなりません」


 1列約30人の列が3つ。

 左からティア1、ティア2、ティア3。

 そして、ティア3の横に列……いや点が1個。

 つまり、列ではなくポツンとぼっちの私が1人だけ並んでいる。


「我が校に新しく4つ目のクラスが創設されました。その名も"戦力外"」


 どうやらそのクラスに所属しているのは私だけのようですね。

 

「皆さんは、()()()()()()のようにクラス"戦力外"に送られぬよう日々精進することを願います。以上で集会を終わりにします」


 ドッと校庭に笑いが溢れる。

 教師の幾人かも笑いを堪えるのに必死なご様子。

 学園生活2年間でこれほど注目を浴びたことはなかったな。


 特質して目立つ能力はない(というか最下位)。


 友達だって1人もいない。


 卒業することだけが私の目標だった。


 これは学園側の嫌がらせなのだ。

 強制的な退学ではなく、自主的な退学を望んでいる。

 これだけの辱めを受ければ辞めるだろうという……。

 学園の汚点となるから公式な記録として残したくないのかな。

 きっと私が辞めればクラス"戦力外"の存在もサクッと消されるのだろう。


 涙が零れる。

 けど、皆には見られなくて良かったと思う。

 異様に長い前髪と分厚い瓶底眼鏡のお陰だ。


 スキル【常世の闇】。

 幽霊が見えるだけというゴミ以下のスキル。

 幼い頃から他人が見えない者達が見えてしまうことが嫌だった。

 亡者達を見ない様にするために前髪を長く伸ばし、特殊加工した眼鏡も掛けた。

 

 嬉しいな……、すごく嬉しい。


 初めてスキル【常世の闇】が役に立った。

 前髪を更に下ろすことで顔を覆い隠し、瓶底眼鏡で涙の雫を受け止める。

 そのお陰で泣き顔を見られずに済むのだから。


 不意に私のぼっち対人センサーが反応を見せる。

 ティア3の列から近付いて来る数人の気配……。


「おい無能……。本当に笑かしてくれるよな」

「……別に、笑わすつもり、ないから」

「口答えすんのか?」

「すみません(即答)」


 いつもの癖ですぐに視線を下へと退避。

 顔色を窺うのではなく、相手の足元を見ながら反応を窺う。

 なので自慢ではないが声だけで相手を判断することが得意だったりする。

 今私に話し掛けてきた男子は中流貴族リオネルとその取り巻きと推測。

 取り巻きは下品に笑うモブ女が1人とモブ男の2人だった筈だ。

 まあ、モブの名前は憶えていないんですけどね。

 それ言うと、「お前に言われる筋合いは塵ほどもねぇ」と激怒されそうだけど。


「知ってるか?3年の試験はグループやクラス単位で行われることが多いんだぜ」


 そんなん知らんがな。

 ぼっちの私に有用なテスト情報なんて入る余地は全くない。

 ていうか、クラス対抗戦とか1対30でやるとかイジメでしょ。

 しかも、1人は糞雑魚ゴブリン以下の私だよ。


「学園側も新しいクラスを作るなんて酷いよな。まあ、下手にティア3なんかに無能を入れたら、俺みたいに超絶有能な奴のお陰で合格する可能性があるもんな」


 えっと、君はティア3だったよね?

 私を除けば最下位クラスなくせによく口が回ること。

 まあ、それも人の性なんだろう。

 自分よりも下の人間がいれば、安堵し、酷い奴だと叩きに掛かるのは世の常だ。


 そういった点で私は高潔だ。

 常に最下位なので弱者を叩くような愚かな真似など一度もやったことがない。

 悪口を言ったとしても、上位の人間のみ。

 私は強靭かつ穢れなき心を併せ持つ純潔の乙女なのだ。


「学園から晴れてお荷物認定されたんだ。いや、新クラスに配属されるとか学園始まって以来のゴミ生徒なのかもな」

「ガハハハハッ!リオネル様、言い過ぎですわ。まあ、ゴミなので言語が理解できないでしょうけどね」

「デュフフフッ!そろそろ始業の時間です。屑はおいて教室に戻りましょう」

「ニョホホホッ!そうですな、匂いが私達に移る前に退散を」


 気持ち悪い笑い声を残して去っていく4人。

 女子なのにガハハハッって笑うか、普通?

 しかも、お嬢様言葉って。

 罵倒より逆にそっちの方が気になるわ。

 モブ男2人もドッキリじゃなく本気でそんな笑い方なのかと正気を疑う。

 でも私は、悔しいことにあの気持ち悪い4人以下の実力なのだ。

 正直、リオネル達はまだ私に話し掛けてくれるから良い方だ。

 

 真に恐ろしいのはティア1、ティア2の生徒達だ。

 本当にゴミを見る冷徹な視線。

 路傍の石に話し掛ける時間など無駄。

 私達、俺達の人生に関わる事のない取るに足らない糞雑魚羽虫。

 

 学年上位者達は下手に罵倒したり蔑んだりはしないのだ。

 ライバルにこそ興味を向け、お前を超えてやるとお互いに切磋琢磨する。

 まさに青春。

 そんな中に私が加わるなんて夢のまた夢だ。


 鐘の音が鳴る。

 始業の始まりだ。

 誰も居ないクラス"戦力外"の教室に帰ろう。

 卒業まであと1年。

 ぼっち戦力外による学園生活の始まりだ。

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