取り敢えず学校には行こう
「いきなり過ぎだろ…」
俺の第一声はそれだった。
何というか、とても言葉に言い表せない。哀しみ?怒り?疑問?驚き?そのどれとも言い難い、複雑に絡み合った感情が込み上げて来る。
頭の処理が追いつかない、幾ら考えても真実を知れるわけじゃないのは分かっている。
それでも感情を整理するためには考えて、一旦自分の中の秩序に従って根拠のまるで無い理由を付けなければいけないのだ。
テレビでは「最近勉学が疎かになっている事もあり、芸能人としてでは無く、普通の学生として学園生活を送りたいと思い、暫くの間芸能人活動を休止させて頂きます」こう報道されていた。果たしてそれは本当だろうか。
俺はそうは思えない。
別に彼女の近くにいるわけじゃ無いので勿論どんな考えを持っているのかは分からないが、3年間彼女のファンをしていてこれだけは確信して言える事がある。
千波 雫 はアイドルをするのが好きだ。
確証は無いが俺はそう思う。何故ならアイドルをしている時、彼女は最高にキラキラと輝いているのだから。
本当に勉学が疎かになっているからなのか、彼女なら勉強に励みながらもアイドルをしそうだが。
親に止められたのか?考えても納得は出来ない。
ハッと気付く、イチゴジャムの塗られたパンは膝の上に、ご丁寧な事に逆さまになって乗っかっていた。
はぁぁ。
深い溜息を吐き、ジャムで汚れたパジャマを洗濯機にぶち込む。パンは勿体無いので追加でジャムを塗り口に詰め込んだ。
洗面所で顔を洗って歯を磨く。
先程の衝撃的なニュースが頭を巡っていたが、顔を洗ったら幾らかスッキリした。
次はトイレで用を足す。先日トイレットペーパーの使いが粗いと母に注意されたので、意識して使う量を減らしている。
手に運が付かないか怖かった。
後は制服に着替えるだけ、春休み明けで久方ぶりの制服姿だ。入学当初は少しダボついていたこの服も、今はなんだか丁度良い。
靴よし、通知表よし、筆記用具よし。最低限必要な3つのアイテムを確認し、行ってきまーすと声を上げて玄関を出た。