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独立の日  作者: pico
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独立の日【裏】皇帝

独立の日の皇帝サイドです。

広大な領土を有する皇帝は、飽いていた。

帝国の領土は広大だが、不穏な動きもなく、威光は行き渡り、逆らうものはない。

周辺に対抗できるような国もなく、ただ帝国の顔色を伺うだけ。

望むもので手にはいらぬものはない。


ある日、伺候した貴族が、辺境の蛮族が不思議な力で魔物を倒すらしいと戯れに話した。

存在自体が稀な魔法使いでさえも帝国は幾人も召抱えている。魔法なぞ見飽きたと言えば、その者は畏まりながらも魔法とは違うようですと言った。

では連れてきて披露させよ、と言えば、蛮族は辺境から離れぬらしいと別の者がとりなした。

またある者は、巡察使の知り合いの話として魔物の恐ろしさを語り、また遠方の珍品も扱う商業に明るい者は、魔の森の不思議な光景を語った。

皇帝は、少しばかりの興味を覚えた。


実力を発揮する機会がないといつもこうるさい近衛を焚きつけて護衛団を組み、行幸の特需に群がる御用商人を走らせ、道中にあたる領地を治める領主や、それを追い落とさんと狙う家臣の野心を煽って、皇帝の行幸は実現した。

周囲の狂騒をあくびまじりに眺めつつ、皇帝は辺境までやってきた。

そして、ついに魔物の姿を馬車の窓越しに眼にした。

エリートの近衛の者たちを、小童の如く翻弄した魔物であったが、あっけなく討伐されたために、皇帝は魔物に不快を感じることもなく、むしろその恐ろしさを楽しみさえした。

近衛が悄然とする様をおもしろがったほどだ。

魔法のような派手さがないことに物足りなさを覚えたものの、辺境の男の無骨で荒々しい動きは皇帝 にとっては目新しさがあった。



そして、蛮族の、牙とかいう部族の長の館で、皇帝は目前の人物を値踏みしている。

1人は一族の長、志貴と名乗った男で、蛮族に似合わぬ理知的な目をしていた。

道中の領主どもにあった、畏れや卑屈さ、取り入ろうとする野心は見られない。辺境に封じられた怨みといった好悪の感情も、警戒して探るようなそぶりもなく、所作の穏やかさそのままの、凪いだ眼をしていた。心の底を悟らせぬ様子は、帝国中枢を握る大貴族にも匹敵するかとみえた。

魔物を一刀のもと両断してみせたもう1人は、猛禽のような眼をして、その半歩後ろに立っていた。


失態を見せた近衛を部屋の外に追いやり、側仕えのみを残して、皇帝は鷹揚に促した。

「余の許に駆けつけたこと大儀であった。褒美を取らせよう。」

「褒美?皇帝に何ができるというんだ? カネ?名誉?んなもんいらねえよ。」

猛禽のような鷹求という男は、それまでの無関心な態度をとり払い、侮蔑を隠さず吐き捨てた。

「では、何を望む?」

少しの間があった。

「・・・・自由。独立を望む。」

ぽつりと"自由"という言葉をこぼした一瞬、無骨で精悍な男の顔に、純粋な憧れの表情が浮かんだのを皇帝は見た。それはいっそ見間違いかと思うほど不似合いで、ほんの刹那のことだった。

貴族なら幼い子弟でも見せることのない無防備な表情、英雄を前にした新兵でももう少し邪気があるだろうというほどの。

思いがけないものを見て、皇帝は気まぐれを起こす。

「独立とは大きく出たものよの。」

試すように言葉を続けた。

「自治領となれば、帝国の庇護は望めんぞ。兵も物資もなくば、この辺境に暮らすのはたやすくはなかろう。」

返ってきたのは、強烈なまでの自負に満ちた言葉であった。

「帝国の兵に何ができる? 物資?そんなもんもってきたことあるかよ。俺たちには実績と覚悟がある。・・・はっ、皇帝ともあろうものが、辺境の一部族に胆の小さいことだ」

「吠えおる。」

皇帝はしばし思案した。

この辺りは魔の森のために多くの税収は見込めず、役人もいない、牙の一族が住まうだけの地である。辺境伯の管理下にあるものの、辺境伯の財産を損なうほどの価値もない。

帝国内に自治権を持った領地も少なくはない。勲功めざましい者に領地を与えることもある。

その地は、治める者の立場に応じて、帝国領、自治領、属国とみなされる。

いずれにせよ、帝国に忠誠を誓う者、恭順する者、つまりは帝国の意のままになる者にのみ認められる。

だが今、それに当てはめるには、この者どもは勲功も忠誠も足りていない。

一考する余地もない、皇帝はそう思いながら、この者たちに興味をひかれ、手駒にと欲した。

言い分を認めて手許に引き寄せてはどうだろうか。

恭順を周囲に印象付けた上で、子飼いにして功を上げさせれば、形は整う。

どのくらい恭順を示せるか試してやろう、と。

「よかろう、一月後(ひとつきご)の正午、一族の代表が、無抵抗で、余の前まで来ることができれば、自治を認めてやろうぞ。」

「その言葉、違えんなよ。」

「皇帝の言葉を疑うか?誠に不遜な輩よ。・・・余に二言はない。」

小気味良いほどに威勢の良い返答に、皇帝は笑った。



影からの報告に、皇帝は内心唸った。

あの者らはなかなかうまくやっていた。

自治権を認めてもらうために、辺境の蛮族が帝都へ向かうという話は、すぐに広がった。近衛や有力貴族が、道中の領主に圧力をかけ、妨害しようと画策するのも予想通りだった。

だが、牙の者たちの動きはずっと早く、うまくやり過ごした。

皇帝が出立してすぐ、近隣に出た魔物を狩ってから近くの辺境伯の館に身を寄せ、そのまま足取りが途絶えたのである。

辺境伯は問い合わせに対し、館の者が魔物狩りを労っただけ、帝都行きについては残された書状を読んで後で知った、と証言した。魔物狩りの報告には、多忙な辺境伯自身が面会しないこともよくあることで、不自然でもなく、辺境伯が面会していない以上一族に肩入れしたと疑われることもなく、中立の立場を守った。

その後の情報は錯綜した。

宿場町にはほぼ立ち寄った形跡が見つからず、思わぬ方角で目撃され、足取りが読めない。それなのに、間にある有力な領地は間違いなく通過し、礼を尽くす、という。

勿論、衛兵に通過を許すな足止めしろとの通達はいっていたはずだが、蒐集家の領主のお気に入りの大商会の護衛、有力家臣の病弱な愛娘に念願の薬草を持参した薬師、祭りの余興にわざわざ呼び寄せた芸座の一員、手を焼いていた野党をとらえた賞金稼ぎ・・・と、通過を拒めなかったという。

では町の外でと考えたものの、領主の私兵が立ち塞がれば徹底的に交戦を避け、山野で襲わせた野盗に扮した傭兵は完膚なきまでに返り討ちにしたという。


皇帝は感心した。

ここまでの卒のなさは、全く想定外といってよい。

道中楯突く素振りもなく、有力な領主に礼を尽くすとあっては、貴族たちとて表立って糾弾するのは、難しかろう。内心はどうあれ、皇帝の決定に異を唱えることはできまい。

小さな瑕疵さえあれば、独立に条件がつけられるであろうことを、牙の者らはよく理解しているのだ。

では独立を為した後はどうか。

近隣領地との駆け引き、商会との取引、有力貴族の派閥争い・・・。

一度独立したとて、それで安泰というわけではないが、ここまでのやりようをみれば、独立を維持するだけの技量があることは推し量れた。独立後に泣きついてきたり、弱みを見せる可能性は低い。

一番の難関が辺境伯と考えていただけに、皇帝は、辺境伯が中立を保ったことに意外な思いを禁じえなかった。



そして、約束の日を明日に控え、近衛は帝都で待ち構えていた。

苦い顔をした近衛騎士団長は、謁見の間での戦闘許可と、魔法の使用許可を求めてきた。

「ふむ。抵抗すれば逆賊、抵抗しなければ骸にして讃えて見せるか?」

揶揄する皇帝の言葉に、団長は真っ赤になった。

「余が欲するは使える駒や道具であって、壊れた道具も余が意を騙る勝手な駒も不要ぞ?」

ジロリと睨めばと、跪いてこうべを垂れた。

その決まり切った反応がひどくつまらなかった。

「・・・よい。 実地訓練を許す。ただし壊すでない。」

「御意。」

近衛騎士団長が退出すると、控えていた宰相が口を開いた。

「陛下がこの度欲されるは、駒ですか、道具ですか? それとも玩具かひとときの戯れでしょうか?」

「飼い馴らしたい獣よ。獰猛で人馴れぬと分かっておったが、期待以上の賢さよ。無理に捕らえても手に入らぬ。ひとまず野に放つことになるか・・・・。辺境伯はどうした?」

「小競り合いが発生したと、欠席です。欠礼の詫びに、何事も陛下の御心のままに、と書状が。」

筋が通り、低い姿勢も不自然ではなかった。が、ひっかかった。

辺境の勢力図が変わろうとしているのに、辺境伯はただ中立を守り、皇帝とも貴族とも接触しなかった。無関係、無関心を貫いた。

それは、何一つ情報を寄越さないためではなかったか?

だとしても、すでに追求する時間はなかった。皇帝はその考えを追いやった。



その日、皇帝は奇妙な胸のざわめきを感じながら、謁見の間に向かった。

牙の者らは部屋に控え、謁見の間に向かうは長ひとりと、影が囁いた。

そして、間も無く正午になろうかという時、謁見の間の大扉が開くと、報告通り、志貴がただ一人たっていた。

「お約束通り、褒美の自治権を賜りたく、まかり越しました。」

静まりかえったなかに、落ち着いた声が響いた。

「その力で魔物を操っての自作自演であろう! 身の危険が迫れば、魔物を呼んで暴れさせるのであろう! 化けの皮をはがしてくれる! 総員構え!」

吠える近衛騎士団長がひどく醜悪にみえた。

ガチャリと、居並ぶ近衛騎士が剣を抜き、魔法師が、低く詠唱を始めた。

志貴は、そっと目を閉じたが、すぐに皇帝を透徹な視線で見つめた。

「皇帝の御心のままに。異心なきこと、お示ししましょう。」

そして、美しく一礼した。

「見苦しい姿はお目汚しでしょうから、幻影をまとうことだけはお許しください。」

その言葉の意味を悟った誰かがヒッと息を飲む音がした。

魔法が見られるかもと浮かれていた文官が蒼白になる。

蛮族は不思議な術を使うという。だが、幻術をまとうだけということは、防御もせず全ての攻撃を受け入れるという宣言だった。

今から、近衛と魔法師が無抵抗の男を一方的に嬲る、暴力と流血に満ちた場面が広がるのだと。そのために今日は赤い絨毯がひかれていないのだと、その場にいるものは悟った。

「構わぬ。」

皇帝が低く答えると、嬲られる予定の人物は、何の感情も見せず、優雅に一歩を踏み出した。


それは不思議な光景だった。

近衛の剣が切り裂き、槍が貫いたように見えるのに、牙の長は歩き続ける。

幻影に隠されて分からないが、フワリとするのは負った傷によろめいているのか、変わらぬ表情と軽やかと言ってよい足取りからはうかがい知れない。

手応えがあるのに、怯みもせず反応もないことに、実戦経験の乏しい若い近衛が、恐慌していく。

謁見の間の半ばに達する頃、剣や槍に代わって、詠唱を終えた、炎の、氷の、風の魔法が放たれた。

次々と魔法の攻撃を受けながら、牙の長は皇帝を見つめたまま歩み続け、ついに玉座の前にたどりつくと、膝を折って頭を垂れた。

そのとき、ひときわ大きな雷撃が轟音を立てて落ちた。

それを最後にすべての攻撃がやみ、謁見の間は静けさに包まれた。

「御前にまかり越しました。お約束通り自治権を賜りたく存じます。」

皇帝は、そのあまりにも変わらぬ姿に内心動揺したが、ぐっと驚きを押し隠した。

「これほどの攻撃にも抵抗を見せぬその態度、 異心なきことを認める。牙の一族に辺境の地における自治を認めよう。」

皇帝は立ち上がり、謁見の間を睥睨し、言葉を続けた。

「余の言葉に二言はない。これは決定だ。」

呆然とした近衞と魔法師が、大臣、文官が、皇帝の意向に頭を垂れた。

皇帝は、手にした王笏で牙の長の顔を上げさせた。確かに数多の攻撃がその身を何度も傷つけたはずなのに、傷はおろか苦痛の色もなかった。

「傷一つ見えぬ・・不思議な力よの。」

近衛の恐慌ぶりが訝しく、ほんの少し王笏で牙の長の頬をなでると、思いがけないことにほんのり血が滲んだ。

皇帝が疑問を浮かべるより早く、牙の長がはっと瞠目した。

それは、牙の長が初めて見せた動揺であった。

「詳細は追って伝えよう、ひとまず去ね。・・・手の者を護衛につけよう。」

そして、これまで牙の一族を突き放し試し続けた皇帝が、初めて見せた配慮であった。

牙の長は黙って頭を下げ、謁見の間を退出した。



それからしばらくして、皇帝の会見用の部屋には、皇帝と牙の一族の長・志貴の姿があった。

「これにて牙の一族の地は自治領となります。」

場の空気の重さに震えながら文官が告げた。

そして書類をまとめると、逃げるように退出した。

「これで満足したか?」

鷹揚に言葉をかけると、志貴は周囲に視線をやり、

「もうひとつ折り入ってお話が。」

と答えた。人払いを求める仕草に、護衛に控えていた近衞騎士団長が気色ばんだ。

皇帝は手を振った。

「よい。しばし下がれ。この者の恭順は既に証明されておる。」


皇帝は目の前の男をじっと観察した。

穏やかな笑みを常にたたえる、底の知れぬ男と思っていた。

黙ってたたずむ様は辺境であった時と同じようで、その実、全く違っていた。

嵐の前の静けさのような不穏な空気が満ちている。

そういえば、辺境ではいつでも隣に立っていた、あの不遜な男が傍にいない。

先刻より志貴につけた影の者だけを部屋に残し、皇帝は口を開いた。

「あの男はどうした? 余に要求した不遜な男は。」

その瞬間、激情をたたえた目が皇帝を貫いた。

その目と裏腹に、温度のない声が発せられた。

「皇帝陛下、あなたは牙の一族の誓約についてご存知ですか。」

返された問いに、疑問しか浮かばなかった。この男と不遜な男の間に誓約と呼ばれるものでもあったのだろうか。

答える前に、牙の長は何かを悟ったようだった。

「これほどの犠牲を払うつもりはありませんでした。・・・ですから、取り立てます。」

意味がわからなかった。

距離を詰めた志貴が、左手で皇帝の襟を引き寄せ、右手を額に押し当てる。

皇帝は、獰猛な獣に喰いつかれるのを幻視した。

大国を統べ大抵のことでは動じない皇帝が、百戦錬磨の影の者が、気圧されて動けなかった。

「古の誓約の継承者たる証よ、顕在せよ。」

皇帝は、身の内側からなにかが浮かび上がるのを感じた。目の前に見たこともない複雑な文様が浮かび上がる。

影の者が割って入ろうとようやく動いたが、

「縛!」

志貴が叩きつけるように言うと、金縛りにあったように、近づくこともできない。


「我、誓約の履行者、長きにわたり誠意を捧げ尽くし

我、誓約の履行者、代々数多の命を捧げ

我、誓約の履行者、今日また恭順を証明した

汝、誓約を求めし者の末裔よ、我らの履行を認め、誓約から解放するか?」

詠唱のように唱えた志貴は、低い声で皇帝に迫った。

「長い長い間、私たち一族は十分すぎるほど尽くした。何も知らぬ皇帝陛下、私たちを解放すると言いなさい。」

地の底から昇る怨嗟のような、疲れ果てた老人のような、空虚な諦念に満ちているような、深い哀しみのような・・・。

どれほどのことが過去にあったのか。それなのに、自分は何も知らない。

今のやり取りからすれば、誓約とは、皇帝と牙の一族の間に交わされたらしい。

知る限りにおいて誓約の存在など感じたこともなく、知らずに済んできたことなら、あろうがなかろうがどうだというのだ。

それよりも、目前の不思議な力を使う男が欲しかった。

そのために多少譲歩してやることが、何ほどのものか。

「・・・・か、解放する。」

「約定を司るものよ、聞き届けたまえ。我は誓約の消滅を望む。」

牙の長が淡い光に包まれた。

その身体には執拗なほど光の鎖が巻きついていた。

その光の鎖がとけるように消えていく。

鎖が形を失い、まとわりつく光になると、ずるりと心臓の辺りから光のナイフが引き抜かれるように姿を現し、志貴が小さく喘いだ。

見る間に、ナイフも光の塊にかわり、全ての光が霧散した。

その幻想的な光景に、皇帝は目を奪われた。

もっと不思議なものが見ていたかった。


光が消え去るとすぐ、牙の長は、皇帝から距離をとった。そして静かに口を開く。

「・・・あいつは、・・鷹求は死にました。早く里に連れ帰りたいので、私たちは去ります。」

その手が白くなるほど握り締められているのを、皇帝は見た。

「今後、私たち一族に一切の干渉をなさいませんよう。

ご自分の部下はご自身で手綱をお取りください。私たちを煩わすようでしたら、容赦はしません。牙の名、骨身に刻むことになるでしょう。」

そこにいるのは、穏やかな男などではなかった。

獰猛な、人馴れなどする余地もない、気高い生き物であった。

皇帝は、目の前の男の心が、そして牙の一族が手に入らぬことを悟らざるを得なかった。

証明されたはずの恭順は、存在さえ知らなかった誓約と共に霧散したようだった。

男が口にした犠牲とは、鷹求とかいう不遜な男の命だったと、皇帝は悟った。

皇帝の譲歩は、牙の一族からみれば、当然支払われるべき対価、取り立てるべきものに過ぎなかったと。


牙の長からは明らかな拒絶が感じ取れた。

しかし、孤高な獣のような目をした男は、それでも言葉を続けた。

「そうですね、魔物についてのみ、相談には応じましょう。・・・但し、対価は高くつくと覚悟しておくことです。」

それは、かつてその傍にいた男のような不遜な態度。

魔物に関することは一族にしか解決できないという、強烈な自負。

それでいて、対話を拒否しない度量であり、帝国を決して許さぬという宣言でもあった。


それだけを告げると、振り返りもせず、牙の長は去った。

そして牙の者たちはその日のうちに帝都を立ち去った。

長が大事そうに何かを抱えていた、と監視していた影より報告があった。



皇帝は馬鹿ではない。ので、その治世においては、この後も帝国は栄えた。

戦がないと武官は腐敗するのかなあ。

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