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86話 大人の階段昇る。君はまだ……

 

 僕の名はハンス。

 今年で16歳になるアンデル王国の鍛冶屋で働く鍛冶見習いだ。


 僕は10歳の頃からこの鍛冶屋で働いているが、未だに見習いだ。それだけ鍛冶師の道は険しい。

 鍛冶仕事はとても厳しくて忙しいし親方はとても怖いけど、辛いなんて思ったことはない。

 僕は伝説になるような武器を造るのが夢で鍛冶師になったのだし、むしろ仕事は好きだし楽しい。

 それに親方は怖い以上にとても優しい人だ。

 厳しく注意するのも僕を思ってのことだし、ぶっきらぼうなようで良く人を見ていて、足りないところは丁寧に教えてくれる。


 だから僕はそんな親方をとても尊敬している。


 いつか僕はそんな親方に認められ、立派な鍛冶師になれるように日々精進しているつもりだ。


 そんな鍛冶に夢中な僕だが、最近鍛冶以上に夢中になっているものがある。


 それは花屋に務める女性のローズだ。

 フワッとした長い金髪をしたローズは、まさに花のように美しく華麗な女性だ。

 それにいつも仕事からの帰り道で「今日もお疲れ様!」と声をかけてくれる優しい女性だ。


 僕はそんなローズに恋をしている。


 ローズに告白し、この想いを伝えたいと思っている。


 だが、これまで鍛冶ばかりで女性経験の無い僕は、何をどうすればいいのか分からない。

 女性が何を好み、どんなことを求め、どんなことを興味があるのか一切分からない。


 このままでは告白どころか、まともに会話することすらできない。


 女性に慣れねば!


 危機感を持った僕は、誰かに相談することに決めた。


 最初は親方にしようかと思ったが、親方は×が5回ついている。駄目だと思った。


 だが、他の知人や友人に相談するのは気恥ずかしい。


 だから、僕は色々と悩んだ挙げ句、冒険者ギルドに依頼を出した。相談に乗ってくれるように依頼を出したのだ。


 冒険者はあちこちに行ったり、様々な修羅場を越えた人々で経験が豊富だ。

 人との駆け引きもうまいし、恋愛ぐらいの相談は朝飯前だろうと考えたのだ。


 そして依頼をだしてから三日目……冒険者が依頼を受けてくれることになった。


 そしてその冒険者の人と会う日……。

 僕は久方振りに親方から休みをもらい、とある喫茶店で朝から待ち合わせをしていた。


 喫茶店の名はスターダックス。

 コーヒーが美味しいと評判のお洒落なお店だ。


 けど、こういったお洒落なお店は初めてで、周りは女性が多くて緊張する。

 正直、今すぐ出ていきたいが、向こうからこのお店を指定されたので仕方がない……。


 暫く堪えるしかないか……。

 いや、もしかしたここから既に女性に慣れる訓練のようなものが始まっているのだろうか?


「あ、あ、あの……こ、このアイスフラペテーノをひ、一つ。サ、サイズはSで……」


『カオリ!フラペテーノではなくフラペチーノですよ!それにサイズはS表記ではな……いや、これなんて読むの?!』


「shortです。お客様」


 ふと振り向けば、やや緊張気味に注文をする二人組の女性が目に入った。


 どうやら女性でもこういうお洒落なお店が苦手な人もいるようだ。


 なんだか自信をもらった気がする。

 ありがとう、名も知らぬ方。


「お待たせしました」


 そう聞こえ正面を見れば……そこにはとんでもない美女がいた。


 黒髪を肩まででバッサリと切り揃えた切れ長の目をした女性で、とても格好良く、それでいて神秘的な雰囲気がする人だ。


 服装もお洒落で、派手過ぎず地味過ぎず、とても調和がとれた格好をしている。


 それは誰もが憧れる女性像を具現化したような女性だった。


 事実、周りの女性達もホウと見惚れている。


 当然と言えば当然だが、僕もついつい見惚れてしまっていた。


「依頼人のハンス様ですね?」


「えっ?あ、は、はい!」


 思わず声が裏返る。


 しまった!と思い、顔が赤くなる。


 こんな美人に声をかけられたのが初めてだったから、つい緊張して変な声が出てしまった。


 変に思われたのではないか?


 恐る恐ると女性を見れば、彼女は女神のような微笑みを浮かべていた。


「そう緊張なさらないでください。今日は相談に乗りにきたのです。そんな緊張されてしまったら、相談できるものも相談できませんよ?」


「は、はい……」


 良かった……変には思われていないようだ……。


「私は今回依頼を受けたミロクと言います。まだ未熟で拙い身ですが、ハンス様の今回の悩みを精一杯解決させて頂きたいと思います」


 ミロクさんはそう言って頭を下げた。


 それからミロクさんは、手慣れた様子で店員さんにコーヒーを頼んだ。そしてコーヒーがくると、上品な仕草で一口啜った。


 なんというか…とても絵になる光景だ。


 凄く大人の品格というのが漂っている気がする。


 これだけ大人の女性の魅力溢れる人ならば、僕の悩みも簡単に解決してくれるはず。


 僕はミロクさんに頭を下げた。


「早速ですが……聞いてください!」


 彼女はニコリと微笑んだ。


 それからは僕はミロクさんに相談した。

 ローズという女性が好きなのだが、どうすればいいのか分からないと。


 ミロクさんは真剣な表情で聞いてくれた。


 そして、一通り悩みについて打ち明けると、彼女は口元に手をやって暫し考えはじめた。


 どうやら僕の悩みについての解決方や助言を考えてくれてるようだ。


 僕はドキドキしながらミロクさんの言葉を待った。


 数分も経った頃、ミロクさんは僕に顔を向けてきた。


 とても真剣な表情だ。


 遂に助言が……。


 僕がゴクリと唾を飲み込むと、ミロクさんはその艶やかな唇を動かしてこう言った。


 


 

「取り敢えず、S○Xすればいいのでは?」


 そう言ってミロクさんは僕の手をとった。


「手解きはしますので」


 


 


 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 私の名前はローズ。

 アンデル王国のお花屋さんで働いています。


 昔からお花が大好きで、お花に囲まれた場所で働けてとても幸せです。


 そんな私は今日、人と会う約束をしています。

 会う人は冒険者の方です。

 冒険者の方に依頼を……いや、相談をするために会うのです!なんせ依頼内容が相談に乗ってほしいなのですから!


 相談内容は……その……こ、恋の相談です。


 じ、実は、私……ある男性に恋をしています。

 彼の名前はハンスくん。鍛冶屋で見習いをしている男性です。


 きっかけは以前に重い荷物を持ってもらった時です。その時、彼の優しくも男性らしい力強さに惹かれてしまいました。


 それから何とか彼にお近づきになりたくても、男性経験があまり無い私は、どうしていいのか分かりません。


 せいぜい道で会った時に、彼に挨拶をする程度しかできません。


 このままじゃ、何の進展もないままに時だけが過ぎてしまいます!


 危機感を抱いた私は誰かに相談することに決めました。


 最初はお世話になってる花屋の女将さんに相談しようと思いましたが、女将さんは×が5回ついてるので駄目だと思いました。


 そこで冒険者の方に相談することに決めてました!


 何故冒険者かというと、友達から冒険者の人達は経験が豊富で、色んな解決法方を知っているからと聞いたからです。


 冒険者は魔物だけでなく、多くの人達と関わっているため、色んな目線からの助言ができるそうです。


 しかも依頼で出すことで、報酬を貰うという立場から適当な助言などはしないそうなのです!


 実際、友人の友人の親戚の友人は、冒険者のアドバイスで結婚できたそうです。


 これは冒険者の方に相談するしかない!


 善は急げとばかりに私は冒険者ギルドに依頼を出しました。


 そして依頼を出してから三日目、冒険者の方が依頼を受けてくれることになりました。


 この日、女将さんから休みをもらった私は、冒険者の方と待ち合わせの喫茶店に昼過ぎ頃にやって来ました。


 お店の名はスターダックス。

 コーヒーが美味しいと評判のお洒落なお店だ。


 このお店はとてもお洒落なお店で、いつも綺麗でお洒落な女性達が訪れる街一番のお洒落スポットだ。


 憧れの場所ではあるが、私みたいな田舎っぽい女性が入って良いのかと気が引けてしまっていたところでもある。


 だけど、冒険者の方に指定された待ち合わせ場所はここだし、意を決して入るしかない!


 私は覚悟を決めて席についた。


 さてと……席についたはいいけど、何を頼めばいいのか……。


 メニュー表はあるけど、どれが何だか?

 それにサイズが……これ、なんて読むんだろ?


「店員さん。アイスフラペチーノをくださいな。もちろんshortで」


『私もアイスフラペチーノで。もちろん私もshortで』


「畏まりました」


 近くにいた二人組の女性が淀みなく注文した。


 凄い……私と同じくらいの年齢だろうに、こんなお洒落なお店で何の緊張もなくペラペラと注文ができるなんて…。


 まるで何回も練習を繰り返したと思う程にツラツラと注文できてたよ。


 注文した後のピシガシグッグッという謎の動きも、何らかのお洒落な動きなんだろうか?


「お待たせしました」


 そう聞こえ正面を見ると……そこにはとんでもない美人さんがいた。


 黒髪を肩まででバッサリと切り揃えた切れ長の目をした女性で、とても格好良く、それでいて神秘的な雰囲気がする人です。


 服装もお洒落で、派手過ぎず地味過ぎず、とても調和がとれた格好をしています!


 ただ、なんとなく服装に乱れがあるように感じますが……きっとそれもお洒落なんでしょう。


 そんな誰もが憧れる女性像を具現化したような女性が目の前にいます。


 事実、周りの女性達もホウと見惚れていました。


 当然ですが、私もついつい見惚れてしまっていました。こんな女性になりたいと思いました。


「依頼人のローズ様ですね?」


「えっ?あ、は、はひ!」


 思わず声が裏返る。

 しかも噛んだ!


 しまった!と思い、顔が赤くなります。


 こんな美人さん前にして、つい緊張して変な声が出てしまいました…。


 変に思われたのではないでしょうか?


 恐る恐ると女性を見れば、彼女は女神のような微笑みを浮かべていました。


「そう緊張なさらないでください。今日は相談に乗りにきたのです。そんな緊張されてしまったら、相談できるものも相談できませんよ?」


「は、はい……」


 良かった……変には思われていないようだ……。


「私は今回依頼を受けたミロクと言います。まだ未熟で拙い身ですが、ローズ様の今回の悩みを精一杯解決させて頂きたいと思います」


 ミロクさんはそう言って頭を下げた。


 それからミロクさんは、手慣れた様子で店員さんにコーヒーを頼むした。そしてコーヒーがくると、上品な仕草で一口啜りました。


 なんというか…とても絵になる光景です。


 凄く大人の品格というのが漂っている気がします。


 これだけ大人の女性の魅力溢れる人ならば、私の悩みも簡単に解決してくれるはずです。


 私はミロクさんに頭を下げました。


「早速ですが……聞いてください!」


 彼女はニコリと微笑んだ。


 それからは私はミロクさんに相談した。

 ハンスという男性が好きなんですが、どうすればいいのか分からないと。


 ミロクさんは真剣な表情で聞いてくれました。


 そして、一通り悩みについて打ち明けると、彼女は口元に手をやって暫し考えはじめました。


 どうやら私の悩みについて、真剣に回答を模索してくれているようです。


 私はドキドキしながらミロクさんの言葉を待ってました。


 数分も経った頃、ミロクさんは私に顔を向けてきました。


 とても真剣な表情です。


 遂に助言が……。


 私がゴクリと唾を飲み込むと、ミロクさんはその艶やかな唇を動かしてこう言ました。


 


 

「取り敢えず、S○Xすればいいのでは?」


 そう言ってミロクさんは私の手をとった。


「手解きはしますので」

 

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