57話 明かされる極秘依頼と兄弟の対決
本日2話目です。
「ど、どうされましたカオリ様?急に顔を伏せられて?どこか体調でも悪くされましたか?」
「…………ちょっと待って。話しかけないで。少し落ち着かせて」
「どうされたのですか?!王の〇ンコの話をしていたと思ったら急に伏せられて?!一体どうしたのですか?!なにか〇ンコに気がかりでも?王の〇ンコに思うところでもあったのですか、カオリ様!!」
「ちょっと黙れぇぇぇ!!」
耳許で〇ンコ〇ンコ騒ぐなよ!?
こちとら羞恥と自己嫌悪の間で揺れ動いているんだからよ?!少しほっとけよ?!
ギャーギャー対面で騒ぐエマリオさんを無視し、再び頭を抱えた。
糞がっ!!病って、そっちの病かよ?!
身体じゃなく、男の人の股関の象徴の病のことかよ?!心配して損したわ!!
散々と立てないだのなんだのと言っていたから、こちとら寝たきりで身体が不自由になる病を想像していたというのに、立てないって『勃てない』ってことかよ?!下の方かよ?マジ、ふざけんなよ?!
そう考えると、これまで話していた内容も大分下衆なものとなる。
反応が鈍いだの、気力はあるだの、王妃様や側室が奉仕していただのという話も、病で身体が動かない哀れな王様の話ではない。
エロ親父の股関が使い物にならなくなったという、心底どうでもいい話だ。
そんな話を私は真面目に受け取り、真剣に話していたと……………。
つまり、第三者から見れば、おっさんと若い女が王様の股関のことを真剣に話し合っている図となっていた訳だ。
「死にたい……………」
「どうされましたカオリ様?!一体何が?!もしや、そこまで王の〇ンコを心配してくださっていたと?!なんたるお優しい方なのだ!!その想いで、王の〇ンコがどれだけ救われるかっ!!」
〇ンコ〇ンコうるせぇーよ?!
下ネタを覚えたての小学生か?!ちょっと黙ってろ!!セクハラで訴えんぞ!?
「待って、ダーリン。あまりそんな〇ンコ〇ンコ騒ぐものじゃないわ」
ス・ピーチさん?
ああ、同じ女性として庇いにきてくれたのね。
正直、女の人が何の恥ずかしげもなく〇ンコって言うのはどうかと思うけど、助かります……。
そのままそのセクハラ親父を黙らせてください。
「彼女は今、王妃様と同じ気持ちになっているのよ。いつも、傍にあって自分に足りないものを満たしてくれていたモノが、ある日唐突に失われる。彼女はそんな王妃様の辛い気持ちに同調しているの。だから、そんな辛いことを思い出させるように〇ンコ〇ンコと騒がないであげて!」
「成る程………そうだったのですか」
「いや、違うから?!」
何を言っているんだ、この人は?!
夫婦そろって脳ミソ溶けてんのか?!
誰も王妃様に同調もしていないわ?!
だいたい、その………み、満たしてくれるとか、そ、その感覚自体知らないし!?
こちとら、生粋の処女だわ!!
「カオリさん……。私には分かるわよ。私だってダーリンの立派なジュニア───ジュニアと言っても『息子』という意味のジュニアであって、サイズはジュニアどころかクレイモア級よ?───が失われたと思うと、非常に辛いわ………」
「やかましいわ!」
同情するようで、旦那の股関をやたら自慢してくんな?!というか、そもそもまったく同情できないですが!!
最初はまともそうに見えたけど、エマリオさんの奥さんだけあって、この女もやっぱまともじゃねぇわ!?
「おいおいハニー。そんな人前で私のジュニアの話をしないでおくれよ。興奮して私のクレイモアがそそり立ってしてしまうじゃないか」
「黙れ!!そのまま根元から叩き折ってやろうか!!」
「フッ……笑止。汝のがクレイモアと申すなら、我が股に掲げしは魔槍ブリューナク。汝が矮小なモノなど、我が魔槍の一撃で藻屑と化すわ」
「よーし、やっぱり来やがったわね。そこに直れ。その魔槍とやらごと、脛をへし折ってやるわ」
「いや、待て!?我が魔……アアッーーー!?」
恥ずかしそうにしながらも、どこか自慢気に胸を張るエマリオさんを怒鳴り付けてから、いつの間にか当然のように隣に来ていたザッドハークの脛と股関を破壊する。ご自慢の魔槍とやらをへし折られたザッドハークは、悲痛な叫びを上げるとともに、地へと沈んだ。
ざまぁ。
「おい……嬢ちゃん。なんか場が混迷を極めてきて収集がつかなくなるから、とっとと依頼について聞いた方がいいんじゃないか?」
倒れ伏すザッドハークのへし折った魔槍をゲジゲジと蹴って死体撃ちをしていると、今のいままで借りてきた猫のように大人しかったジャンクさんが恐る恐ると発言した。
「んっ?あー…………そうですね。さっさと依頼について聞きますか」
確かに正論だね。
これ以上まともに相手をしても、下ネタばかりで話が進まなそうね。
多少は溜飲も下がったし、ここはジャンクさんの言う通り、依頼内容について早々に聞いておこう。
というか、なんかもう、まともな依頼じゃない予感がするけど………。
嫌な予感をひしひしと感じながらも、最後にザッドハークの股関に一際勢いをつけた蹴りを入れてからソファーへと座り直した。
「すいません、お騒がせして。では、依頼の話にもどりましょう」
「いやはや、お連れの魔槍をへし折って、その落ち着きよう。流石でございますなぁ」
「その黒くて大きな方が例のお連れの方ですか?確かに強そうな方ね。魔槍は折られたけど」
感心したように頷くエマリオさんと、興味深そうにザッドハークを見るス・ピーチさん。
自分で言うのも難だけど、この状況でよくここまで落ち着いていられるなぁ。普通だったら、少しは動揺すると思うけど。
特にス・ピーチさん。ザッドハークやゴアといった、明らかな人外を前にして何の恐れも抱いていないとは………。大抵の初対面の者は恐れおののくというのに。
肝が座っているのか、感性がズレているのか。多分、後者だと思う。
「では、依頼の話に戻らせて頂きますが……前提として、王が病にかかられたことは理解して頂けましたかな?」
「嫌というほど」
「流石です。それで、依頼内容を率直に申しますと、その病を直す薬を作るために必要な素材の採取をお願いしたいのです」
「素材の採取ですか………」
「はい。王宮付きの錬金術師が古い書物を調べたところ、あらゆる股関の病を癒し、男の象徴をそそり勃たせる伝説の秘薬の製造方法が分かったらしいのです。それを使えば、王の病もたちまち治るだろうと。そのため、そういった性関係を生業としている当商会にその素材採取の話がきたのです」
成る程。なんで病気の話をしたのかと思えば、そういうことか。
王様の病気を直す、秘薬を作るための素材を私達に集めてほしいと。
成る程、成る程。事情は分かったけど、正直知りたくはなかった。
何も事情は知らず、効果を伏せた秘薬の素材集めとだけ言ってほしかった。王様の股関を元気にするための依頼など、どんな心境でこなせばいいんだよ。絶対テンション上がらんわ。嫌な予感的中したわ。
まあ、そういった下関係の商売をしているエマリオさんだし、少なからずそういった依頼だとは思ってたよ。チクショウめ。
「えっと………分かりたくはないけど、事情は分かりました。それで、私達はその秘薬だかをつくるのに必要な素材を集めてくればいいんですね」
「はい。その集めてきてほしい材料と、それがある場所は既にお城の錬金術師が調べてくれました。ですので、あとはカオリ様達には現地に直接赴き、その材料を集めてきてほしいのです」
既にその材料とやらがある場所は調べがついているんだ。なら、あとは材料を集めるだけだし、楽といえば楽なのかな。
「あれ?でも、場所が分かっているなら私達に依頼しなくても、お城の兵士や騎士団に命令すればいいんじゃないですか?」
「確かにそうですが、その材料がある場所は危険な山岳地帯。市街戦や平地での戦闘を得意とする兵士や騎士団等には難しいとのこと。故に、そういった険しい土地に慣れ、様々な知識や経験が豊富な冒険者に依頼するのが一番だと」
「成る程」
「まあ、それは建前で、実際は王の〇ンコの為に働くという理由に、騎士団や兵士達の反発が非常に強く、もう金で解決できる冒険者に任せてしまおうと………」
「こちらも士気は上がらねぇよ。そして何故話した」
そりゃあ、騎士団も王の股関の為に命を張れと言われても士気は上がらないし反発もするわ。
そしてその理由を何で話した。只でさえテンションが上がらないのに、更にがた落ちだわ。
だけど、まあ………お金が無い今の私達の状況では、この依頼はあまりにもおいしいんだよなぁ。
「はあ、依頼は分かりました。正直、私としてもテンションは上がらないし、そのまま王様の股間が治らない方が世の為にいいんじゃないかと思いますが、報酬がいいんで受けさせて頂きます」
「いやはや、言っていることは中々ゲスいのですが、あまりにも正直過ぎてむしろ清々しいですな。流石は私が見込んだ冒険者です」
エマリオさんは満足したように頷くと、懐から1枚の紙を取り出し、スッと私へと差し出してきた。
「これは秘薬を作るために必要不可欠とされる材料がある場所を記した地図と、その材料の外見を詳細に描いた絵図です。これを参考にしてください」
「あっ。それは助かります」
地図を受け取り礼を述べる。
これは本当に助かるわね。
何だか妙に期待はされてるけど、私達は冒険者になってから日の浅い素人。
そんな私達が素材の特徴やらを口頭で聞いても、それを実際に見つけられる自信はない。
だけど、素材を描いた図があれば、その図と見比べて探すことも可能だ。
早速とばかりに私は折り畳まれた紙を開き、中身を確認してみることにした。
「いやはや、カオリ様には当商会の為にも、是非ともその素材を集めて頂きたい。ここより北に聳え立つ伝説の霊山…………。『霊峰マタマタ』の山頂付近に生えるとされる素材であり、その形は正に名は形を表すに等しい伝説の一品…………。
その名は……………。
『ボ〇キノコ。』
死人をも勃たせるとされる伝説の茸です」
開いた紙には、男の人のいきり勃った象徴のような形の茸が、これでもかと詳細に描かれていた。
◇◇◇◇◇
「カオリよ!落ち着け!!まずは落ち着くのだ!」
「どうされたのですか、カオリ様?!急に帰るなどと?!」
「うっさい!もう、帰る!!私お家帰る!!」
帰ろとする私の身体にザッドハークとエマリオさんがしがみついて妨害してくる。
ザッドハークは肩を。エマリオさんは腰に抱きついてきて、うっとしい事この上ない。
「離せ!?は・な・せぇぇぇぇ!!私はお家に帰るんだぁぁ!!帰って布団被って引きこもるんだぁ!!」
「カオリよ!どうしたと言うのだ?!絵図を見るなり取り乱しおって?」
「そうです!一体何が気に入らないと?!」
「何もかもじゃぁぁぁぁ!?ただでさえ依頼の内容が内容だけにやる気が出ないというのに、採取する素材の名前が………なま………えが………」
「「ボ〇キノコ」」
「言うな!?ハモるな!?ふざけるなぁぁ!?なんなんの、その名前は?!あの形は?!狙ってふざけてるとしか思えないわぁぁ!?あんなふざけた茸の採取なんてやってられるかぁぁ?!」
絵図に書かれた茸の姿。あれはもう、まんま男の人のアレだった。昔、お風呂で見た父のものより、でかくて太く、長くて雄々しいが間違いない。
いきり勃ち、無駄に血管まで再現されたグロテスクな姿。もう、茸というより、まんまアレが地面から垂直に生えた様な絵が紙には描かれていたのだ。
マジふざけんな!一瞬何か分からず、めっちゃ凝視しちまったじゃないの?!
「仕方なかろう。自然が産み出した神秘を人間がどうこうできる訳がなかろう」
「それに名前も、見た目通りの分かりやすい方がいいですしね。ボ〇キノコとついたのも自然な流れかと」
「こんな時だけ正論を語るなぁぁ!?チクショウが!?異世界の自然のバカ野郎がぁぁぁ!?」
どんな環境と進化をすれば、あんなゲスい茸が発生するのよ!?意味が分からないわ!!
もうやめだ!!あんなふざけたセクシャル茸の採取なんてゴメンだ!!あんなグロテスクなもんを採取して持ち帰るなど、想像しただけでメンタルが崩壊する!!いや、既にしかけてる!!
金は惜しいが、この依頼は無しだっ!!受けてたまるかっ!!
「帰るったら帰る!この依頼は受けないわっ!」
「お待ちかねくださいカオリ様!!そんな事をいわず、どうか考え直してくださいっ!!是非とも依頼をお受けくださいっ!」
「うっさい!誰が!!私は帰………力強っ!?」
必死の形相でしがみつくエマリオさんを離そうとするも、商人かと疑うほどに無駄に力が強い。
よく見れば、エマリオさんの服の隙間からチラチラ見える腕とかの筋肉が凄いんだけど?!ムキムキなんだけど?!
エマリオさん、肥満体型かと思ってたけど、もしかしてこれって筋肉がめっちゃ凄いついてんじゃないの?!筋肉太り!?何者だよ?!
だ、だけど………負けない!!私は帰ると決めたのよ!!
「うおっ………はなせぇぇ……………」
「離しませんぞぉぉぉ……………」
「うお……お!!ならば発動!!ゴリマックスパワーァァァァ!!」
「ぐおっ?!急にカオリ様の力が上がった?!ま、まるでかつて相手したヤンキーコングのようだ?!だ、だが、な、なんの!!負けてたまりますかぁぁぁ!?マッシュパワー全開!!」
「カオリよ。一般人相手にスキルを使うでない」
「ダーリン頑張って!!腰よ!腰に力を入れるのよ!」
『ちmA止na1てい!!』
『すいません。お茶のお代わりください』
「俺………帰ってもいいかな?」
私とエマリオさんが取っ組み合い、ザッドハークが嗜め、ス・ピーチさんが応援し、ゴアが慌て、ハンナはお茶をお代わりし、ジャンクさんが項垂れるという混迷を極める状況。
周りにいる使用人の人達もどうしていいのか分からず、あたふたと慌てふためく中、唐突に部屋の扉が勢いよく開かれた。
そして、ズカズカと部屋に何者かが入ってきた。
「えっ?な、何?!」
勢いよく音を立てて開く扉に驚き、掴んでいたエマリオさんの顔を離して扉へと目をやる。
エマリオさんも私から手を離し、厳しい表情で部屋に入ってきた者を睨み付けた。
「ムッ?誰だ?!私がお客様と大事な話し合いをしている最中に乱入する不届き者は………っつ?!お前は?!」
乱入してきた何者かを反射的に怒鳴り付けたエマリオさんだが、その人物の顔を見た瞬間、驚きに眼を見開いた。
部屋に乱入してきたのは1人の男だった。
緑の帽子と服を着た男で、背は高く、酷く痩せており、全体的に枯れ木のようなイメージだ。
目にはくっきりと隈が浮かび、鼻の下には萎びたような口髭がブラリと垂れ下がっている。
顔付きは………あれ?どことなくエマリオさんと似ているような?
「クルイージじゃないか?一体どうしたんだ?」
やはりというかエマリオさんの顔見知りだったらしい。先程とはうって代わり、親しげな様子で緑の人物………クルイージという名らしき人に微笑みかけていた。
「えっと………あの、誰ですか?」
ちょっと置いていかれるのもあれなんで、恐る恐ると尋ねてみた。
エマリオさんは『おや、これは失礼』と言うと、クルイージの隣へと移動し、その肩へと手を回した。
「ご紹介します。こちらは私の可愛い弟で、うちとは別の商会を営んでいるクルイージ=マッシュです。以後、お見知りおきを」
「ク、クルイージ=マッシュだ…………」
エマリオさんの紹介に続き、クルイージさんがボソリと挨拶してきた。
エマリオさんの弟か…………。
な、なんだか色々とエマリオさんと対照的な人だな?なんか雰囲気が暗いし、声小さいし神経質そうな感じ………。全体的に闇っぽい人だなぁ………。
「あ、あの………どうも。冒険者の愛原香です。どうもよろしく…………」
「あ、あぁ……。に、兄さんからは、話しはき、聞いている。な、なんでも、す、凄腕のぼ、冒険者なんだって?」
「えっと……そ、そこまで凄腕という訳じゃ……」
「あ、あと……せ、性欲が異常に強いと………」
「だからそれは違う」
ここでもかよ?!どんだけ周囲に変な噂を流してんだよ!?風評被害も甚だしいわ?!
エマリオさんの流した噂に憤りを感じていると、妙な視線を感じた。
何の視線かと思えば、クルイージさんが私のことをジッと見てきていた。
爪先から頭頂部まで、まるでこちらを観察するように、じっくりと見てきていたのだ。
えっ?何?す、すんごい気持ち悪いんだけど?この人、なんでこんな私を見てくるの?
クルイージさんの視線に寒気を感じ、思わず後方へと後退る。
すると、クルイージさんが『フッ』と嘲笑うような笑みを見せた。
「な、なるほど………こ、これが、に、兄さんの選んだ、ぼ、冒険者か………」
「?………どうしたんだクルイージ?それで、今日は一体どんな用事なんだ?悪いが緊急でも無い限り後にしてくれないか。今は見ての通りカオリ様と大事な話しをしていて………」
「ぼ、僕も、そ、その話……お、王からの依頼のけ、件で、き、今日はき、来たんだ………」
「なにっ?それはど………」
クルイージさんは驚きを露ににするエマリオさんの言葉を遮ると同時に、肩に回された手を一気に振りほどいた。
そして、エマリオさんから距離を取り、その正面へと対峙した。
「王の依頼…………それを何故お前が知っているのだ?この話は、一部の者しか知らない秘密のはず」
驚きの表情から一変。険しい顔付きとなったエマリオさんが、クルイージさんを真っ直ぐに見据え、厳しい口調で問い詰める。
それに対し、クルイージさんはどこか愉快そうな口調で答えた。
「フ、フフ……じ、情報など、ど、どこからでも漏れるもんだよ、に、兄さん」
「………鼠でも仕込んだか、はたまた賄賂でも握らせたか……。まあ、どちらでも良い。情報戦は商人の基本であり重要なもの。情報を盗む側よりも盗まれた側に否があるのは商人の暗黙の了解よ。手法は深くは聞かんし、聞く気もない。だが、此度の話は国家に携わる案件。いくら可愛い弟とは言え、深入りは禁物よ」
真剣かつ威圧的なエマリオさんの様子に、直接言われた訳ではない私の方がたじろぐ。
う、うわぁ……歴戦の商人の顔だ。
普段、朗らかに笑ってるエマリオさんしか見てなかったけど、この人もそれなりにやり手の商人なんだよなぁ………。
こういう顔を見ると、エマリオさんも商人なんだと改めて実感できる。
だけど、話している国家に関わるって王の股間のことだもんなぁ。それを考えると一気にシリアス感がなくなるなぁ。
「フ、フフ……ふ、深入りは禁物………か。そ、それを言うのは、す、少し遅かったね。に、兄さん」
「何?!どういうことだ?!」
クルイージさんの発言に怪訝な顔をするエマリオさん。そんなエマリオさんに、クルイージさんが一枚の紙を差し出した。
最初、その紙を見たエマリオさんは困惑したような表情だったが、やがてその顔は驚きに染まった。
「こ、これは?!王からの依頼書?!私が受けたものと同じものだと?!しかもギルド長の印まで?!こ、これは一体?!」
「フ、フフフフ………。に、兄さんがギ、ギルドから依頼を受けたと、き、聞いてね。ぼ、僕もその依頼を受けようと思い、ギルド長に、こ、交渉したのさ………」
「な、なんだと?!」
どうやらエマリオさんが受けた依頼と同じものをクルイージさんも受けたようだ。
でも、これって一応は秘密の依頼だって言ってたし、そんなホイホイと周囲に漏らしていいのかな?
「い、一体どうやって依頼を?!」
「フ、フフ……簡単さ。ギ、ギルド長に『方針が皆平等なら、僕にも依頼を受けさせて』と言ったら、二つ返事で、り、了承してくれたよ………」
軽いな?!それでいいのかギルド長?!
「くそっ!あの耄碌ジジイめ!!もうエルフホールシリーズ売ってやらんぞ!!」
憤慨するエマリオさん。
そして何気に顧客だったらしいギルド長。
私の中で順調に顔も知らないギルド長の評価が下落していく。
「フ、フフ……ま、まあ、最初はギルド長も渋っていたさ。だ、だけど、ぼ、僕の方がより早く……より多く、より優れた茸を兄さんよりも先に仕入れてみせると言ったら、快諾してくれたよ………『正直、どっちでもいいから早く手に入れてきてくれ』と」
いや、それ快諾と言うか、やる気ないだけよね?
ギルド長も本当に心底どうでもよさそうな言い方だし。やっぱ内容が王様の股間というだけに、誰もがやる気ないよね。なんか妙にやる気あるの、この二人だけだよね?
「……クルイージよ。お前は自分の言っている意味が分かっているのか?」
「あ、あぁ……分かっているよ。こ、これは僕からの、に、兄さんに対する挑戦なのさ!!」
興奮したような口調でクルイージさんは叫ぶと、手を真っ直ぐに突き出し、指先をエマリオさんへと向けた。
「に、兄さん!しょ、勝負だ!!ど、どちらの選んだ、ぼ、冒険者が先に茸を手に入れるか勝負しようじゃないか!!」
「勝負だと?なぜ…………」
「な、何故だと?そ、そんなの決まっている!ぼ、僕は、僕自身を証明したいんだ!!ぼ、僕は、む、昔から、に、兄さんと、く、比べられてきた!!ま、周りからも、兄さんのスペアだとか、色違いとか、パータだとか、マンションに籠ってろだとか掃除機がお似合いだと……散々に言われてきた!!」
「クルイージ……………」
「に、兄さんと比べられたくなくて、家から離れて自分で商会をひ、開いた!!じ、自分の力を試すために!!だ、だけど、み、皆が言うんだ!『流石はエマリオの弟』『所詮はエマリオのスペア』だの『マンションの徐霊をして』などと!!違う!僕はエマリオのスペアじゃない!!ぼ、僕は僕だ!クルイージだ!!クルイージなんだ!!だ、だから、僕は自分の価値を示すために、こ、今回のことを思い付いた!!国の一大事に関わるこの依頼……この依頼をに、兄さんよりも早く達成することができれば、きっと皆がぼ、僕のことを認めてくれると!更には兄さんの名声は地に落ちると!!」
「……………」
「に、兄さん………ぼ、僕は兄さんを越える!兄さんを越え、兄さんよりも商会をでかくし、いずれは兄さんの全てを手に入れる!!商会も!家も!財産も!そして………義姉さん……ス・ピーチも僕のものにしてみせる!!」
ビシッとス・ピーチさんを指差し、とんでもないことを叫ぶクルイージさん。
こ、この人……兄の嫁さんに横恋慕してやがったの?昼ドラ……もしくは韓ドラかよ?!
しかも、こ、公衆の面前で何の恥ずかしげもなく寝取り発言をするとは…………。
今時、韓ドラでも、もうちょい大人しいわよ?!
堂々と兄から嫁さんを奪うという宣言をするクルイージさんに正直ドン引く。
周囲を見れば、エマリオさんとス・ピーチさんを除く皆もドン引いていた。
つか、ス・ピーチさん。なんか満更でもなさそうな顔をしてるんですが?頭大丈夫ですか?
「…………成る程。クルイージ。お前の言い分はわかった。お前がこれまでどれだけ苦しみ、どんな思いをしてきたのかも、よく理解できた。兄として、弟の苦しみを分かってやれなかったことを申し訳なく思う。すまなかった」
「……………」
「だが、商会の主として………商人として、私は退くことも、負けることも許されない。いいだろう。お前の勝負、このエマリオ=マッシュが確とを受けてやる。お前の野望を正面から捩じ伏せてやろう」
「そうこなくちゃな…………」
バチバチと火花が出るんじゃないかと思う程に睨み会うエマリオさんとクルイージさん。
既に一触即発な雰囲気だ。
「では、勝負のルールだが、互いに選んだ冒険者を依頼に向かわせ、先に茸を納品した方が勝ち。それで良いか?」
「あ、ああ……それで良い」
「そして、お前が勝ったならば、お前の望むもの……私の商会だろうが財産だろうが、お前に譲ってやろう。無論ス・ピーチもな。ハニーもそれで良いか?」
「ええ。私は構わないわ。私はより強く。より目利きが効く強者が好きよ。だから、クルイージがダーリンより強いとなれば、なんの憂いもなくクルイージのものになってあげるわ」
「流石はハニーだ。そしてクルイージが負けた場合、私の言うことを何でも聞いてもらう」
「あ、ああ構わないさ。ど、どうせ僕が勝つ。フ、フフ……ス・ピーチ。きっとぼ、僕のものにしてみせる」
誇らしげに頷きながら条件を確認するエマリオさん。それに蠱惑的にウインクをするス・ピーチさんと、その彼女をクルイージさんが舌舐めずりをしながら見つめている。キショイ。
つか、それでいいのかス・ピーチさん?
いや、本人がいいならいいんだけど…………。
んっ?というか、なんだか三人で盛り上がっているけど、この勝負の内容ってそもそも…………。
「ということでカオリ様!!私の命運。カオリ様に託しましたぞ!」
「だよねー」
勝負の内容は完全に冒険者ありきだもんぬ。
そりゃあ、エマリオさんも私に話を振ってくるだわね。でもねー…………。
「いや、依頼……受けませんからね?」
あんな不気味な茸の採取なんぞ、やってられるかってんだ。クルイージさんの乱入で話が逸れたけど、私はもうこの依頼を受ける気はないのだ。
「な、何故ですか?!報酬は充分なはず!?更には国の一大事を救った名誉も手に入るというのに!?」
「色欲王の股間を救った名誉など誰が欲しがるかってんだ?!むしろ末代までの恥だろがっ!?股間の英雄などという名誉にもならぬ名誉を受けるなんて、わたしゃ真っ平ごめんだねっ!!」
「そんな事を言わず!?ハッ?!そうだっ!?今なら最新のローション一ダースと、あの大手扇情服飾専門店『ワンナイト・サキュバス』の男を魅了する最新スケスケ穴空き下着十選をつけますから!?」
「いらねぇぇぇぇよ?!貰っても活用のしようがねぇぇぇよ?!」
「ならばこれはどうです!!当商会が経営する娼館。『獣ミミ娘のボイン動物園♪』の10回無料回数券を!!」
「引き受けがフッ?!」
「黙れ!エロ骸骨が!!しゃしゃり出てくんな?!てか、余計持ってても仕方ないもんを出してくんなっ?!」
横から出てきたザッドハークを蹴り倒し、懇願しながらしがみついてくるエマリオさんを引き離す。
エマリオさんには悪いけど、こんなふざけた依頼を受けるなんて心底ごめんだ。
こんなセクハラにセクハラをかけたような馬鹿げた依頼を受けるなんて、私のメンタルが保たない。
というか、何より恥ずかしい!!なんでオッサンの股間のために、股間の形した茸狩りに行かなきゃならんのよ?!一生の恥だわ!!
「悪いけど、冒険者なら別の人達を雇ってください!!それじゃ!!」
それだけ言うと、私は出口に向かって歩きだす。
ゴアはおろおろしながらも私の後に続き、ハンナとジャンクさんもやれやれといった様子でソファーから立ち上がる。
ザッドハークもいつの間にか復活し、私の隣にいた。もうちょい強めでもよかったかもしれない。
「そんな……待ってください!?」
手を伸ばし、必死に懇願してくるエマリオさん。
その姿に多少の罪悪感を感じる。
が、今回ばかりは頑として断らせていただく。
主に乙女のプライド的なものから。
「カオリよ。良いのか………?」
「いいのよ。あんな気持ち悪いものに関わりたくないし、あれだけの報酬ならもっと高ランクの冒険者も雇えるでしょうし」
「なれば良いのだが」
さっさっと足早に立ち去ろうとする私達。
だが、そんな私達の背後からクルイージさんの嘲笑が響き、思わず足を止めた。
「フ、フフ………こ、これは勝負以前の問題だね。ぼ、冒険者が依頼寸前で逃亡とは!!とんだお笑い草だね、兄さん!!こ、これで僕の勝ちだ!い、今から冒険者を、じゅ、準備するのも難しいだろう!」
「ぐっ……………」
「そ、それに、に、兄さんの目も曇ったもんだ!!あんな路傍の石級如きの低級冒険者を選ぶだなんてね!!に、兄さんがあんなに自慢するから、どんな冒険者かと思ったが、とんだ腑抜けの弱小冒険者じゃないか!!こ、これなら、奮発することもなかったかもしれないね!!せっかくだから、ぼ、僕が雇った冒険者達を紹介するよ!!」
クルイージさんは笑いながらそう言うと、指を鳴らした。
すると、その音を合図に二人の女性が部屋へと入ってきた。
1人は長い金髪の女性で、金ぴかでやたらあちこちから肌が出た、防御面に不安がある鎧を着ていて、腰には高そうな剣を下げている。
もう片方は短い銀髪に随分と露出の多い服を着ており、手に長い銀の杖を手にしている。
おそらく金髪は剣士で銀髪は魔法使いだろう。
しかし、二人してなんとも露出の激しい格好である。痴女か?
雰囲気的にはあれだね。なんかギャルっぽい感じがする。私とは相容れなさそうだ。
そんな露出の多い女性達は、そのまま部屋から出ようとする私達の前に立ち塞がった。
「しょ、紹介しよう!か、彼女達こそ僕が雇った高ランク冒険者。輝く金級の冒険者である………」
「ゴルデよ」
「シルビよ」
「「人呼んで、豪奢なる宝物!!ここに参上」」
シルビとゴルデと名乗る女性達は、互いにやたら胸やら尻を強調するポーズをとりながらパーティー名らしきものを叫んだ。
「なんか、またややこしいのが来たぁ……」
なんだよ、この二人は?豪奢なる宝物?そのパーティー名、言ってて恥ずかしくないの?パーティー名もそうだが、頭も軽そうだな?!なんか知らないが、すんごいイラッとする。
てか、うちの冒険者ギルドでは見ない顔だけど……。
「か、彼女らは、隣国の冒険者ギルドからスカウトしてきた、ぼ、冒険者さ。そ、その腕前は一流で、同じ輝く金級が束になっても、彼女らには敵わないほどさ」
自慢気に紹介するクルイージさんに納得する。
成る程、隣の国からスカウトしたのか。通りで見たことない人達だと思ったわ。
隣国から来たという豪奢なる宝物と名乗る冒険者二人組に謎のストレスを感じていると、シルビと名乗った銀髪の女が唇に指を当て、甘えるような声を出した。
「さてさて依頼主さーん。お話は終わりましたかー?シルビ、早くご飯食べにいきたーい」
「シルビの言うとおりね。依頼の話と勝負の話やらが終わったならば、早々に街に繰り出したいわ。喉が乾いたから、早く美味しいお酒が飲みたいわ」
ゴルデと名乗る金髪もシルビに続き、どこか蠱惑的な声でクルイージさんを急かした。
「あ、ああ……そのことだが、依頼はともかく、しょ、勝負の方は、ふ、不戦勝で終わりそうだ」
「不戦勝ー?なんでー?」
「なんでかしら?その勝負とやらのために、わざわざ私達をよんだんじゃないのかしら?」
不思議そうに首を傾げるシルビとゴルデに、クルイージさんが私達へと指を差しながら説明した。
「そ、そこの、に、兄さんが雇うはずだった、ぼ、冒険者が、い、依頼を受けないら、ら、らしい。だ、だから、勝負は、わ、我々の勝ちになりそ、そうだ」
「ぷふー!?なにそれ、ダサっ!!」
「あんっ?」
こちらを見ながらクスクス笑うシルビ。
その様子に、ちょっとイラッとする。
「依頼を前にして怖じ気ついたようね。まあ、三流以下の弱小冒険者にはありきたりなことよね」
ゴルデも私達の方を見て、挑発的に笑ってくる。
くっ!この野郎……いや、無視だ、無視。こんな頭大丈夫軽そうな二人は無視しよう。相手にするだけ無駄である。無視して帰って、お風呂入って寝よう。
無視して帰ろうと足を踏み出した瞬間、不意にクルイージがゴルデ達に質問を投げ掛けた。
「そ、その冒険者達…と、特にそこのカオリとか言う冒険者は、ぼ、僕の兄が随分とリスペクトしていたようなんだが……き、君たちから見て、ど、どんなもんだい?」
「えー?そこの女のこと?んーなんと言うかー……」
「そうね。まあ、一言で言うなら…………」
「「イモッぽい」」
「よし。ザッドハーク。ぶち殺せ」
「待て、落ち着かぬか」
親指を下に向け、ザッドハークに二人の殺害指示を出す。更に腰にある剣助に手を伸ばすも、ザッドハークに後ろから羽交い締めにされてしまった。
「なんでよ?!なんで殺らないのよ?!この二人だったら殺った後に〇〇〇〇して〇〇〇してもいいのよ?!そういうの好きでしょ?!」
「誤解を招く発言をするでない!!それにそれは勇者の言ってはならぬことぞ?!一旦落ち着くのだ!!下手に人を殺めてはならぬ!!」
「やだー!!殺すの!!こいつら殺して私は生きるー!!!」
「せめてそこは『私も死ぬ』であろうが!ええい、暴れるでない!!ジャンクよ!汝も手伝え!!」
「お、おう!!」
目の前の糞ビッチ二人を殺そうとするも、こんな時にだけ常識人振るザッドハークとジャンクさんに止められ、近づくことさえできない。
「糞がぁぁ!?勝ち誇ったような顔しやがってぇぇぇ!!誰がイモッぽいだ!!その面叩き潰してマッシュポテトにしてやんよ!!」
バダバタと暴れ、何とか二人の拘束から逃れようとしていると、ハンナがスッと横を通っていった。
「ハ、ハンナ!?そうだ!!お願い、この二人をどうにかして!!それか奴らを殺して!!同じ女なら、私の憎しみが分かるでしょう!?」
自由に動けるハンナにそう懇願するも、ハンナは非常に冷めた目で私を見てきた。
『知りませんよ。やるならお一人でどうぞ。私はもう疲れたので先に帰ってます』
そう言って足早に立ち去っていくハンナ。
「そんな?!ハンナァァァァァァ!!」
去り行くハンナの背に向かって叫ぶも、全く止まる気配がない。
チクショウゥゥゥ!!まだ根にもってやがる!
一緒にザッドハークを締めたし、多少は関係修繕できたと思ったけど駄目だったかぁぁ!!
ハンナという望みを失い、もはや諦めるしかないのかと項垂れていると、糞ビッチことシルビがハンナを指差しながら驚嘆の声を上げた。
「うわー!あの子、凄くきれー!顔立ちが凄く整ってるー!!」
「本当ね。胸も大きいしスレンダーでスタイルも抜群だわ。なんて綺麗な娘なのかしら……」
どうやら、ハンナの人間離れした美しさに驚いたらしい。シルビがハンナの容姿について誉め、ゴルデも同意しながら頷く。
ハンナにもその声が聞こえたのか、ピタリと立ち止まった。そして横顔だけでゴルデ達を見ながら、満更でもなさそうな顔で頷く。
チクショウがぁぁぁぁ!?この裏切り者めぇ!!
いや、確かにハンナは綺麗だよ?美人さんだよ?
だけど、そんな糞ビッチ共に誉められて満更そうにするなよ?!仮にも主人がイモなどと揶揄されてんだから、多少は怒ってちょうだいよぅぅ?!
若干口端を弛めて笑うハンナに憤りを感じていると、視界の端でゴルデとシルビがハンナを見ながらクスクスと笑いだした。
「いやー本当にきれーだね!でもさ…………」
「ええ。スタイルも抜群だわ。だけど………」
「「なんか幸薄そっ(笑)」」
『ゴアァァ!!奴らを薙ぎ払えぇぇぇ!!』
『?!落tU1て9だ才!?』
満更そうな顔から一変。
シルビ達の呟きを聞いたハンナが怒髪天を突くが如く怒り狂い、宿敵のはずの近場にいたゴアへと命令を下した。更には手を光らせ、何らかの魔法を二人に向かって放とうとした。が、間一髪のところでゴアが触手でハンナの四肢を拘束し、その動きを封じた。
『この糞ビッチどもがぁぁ!?誰が幸薄くて男運無さそうな顔だぁぁ!?ブチ殺す!絶対にブチ殺す!ゴアァァ離せぇぇ!!奴らを〇〇〇して〇〇〇〇できないだろうがぁぁ!?離さないなら、せめて奴らに熱線放つか触手で〇〇〇〇〇な〇〇〇にせんかぁぁぁぁ!!』
『駄me死!!落血t61て!!』
「おぉい?!ハ、ハンナまで暴れだしたぞ?!ゴ、ゴア!取り敢えず押さえろ!こんなところで魔法を放たれたら不味い!!」
『離せ…離せぇぇぇ!!奴らを……そこの雌豚共を殺せないじゃないのぉぉぉ!!』
「ま、待て!落ち着…………」
「そうよ!ハンナの言う通りよ!!離しなさいよ!私は奴らを殺して〇〇〇〇しなきゃならないの!〇〇〇〇に〇〇〇〇しなきゃ収まらないわぁぁ!」
「うわっ?!嬢ちゃんまで暴れだしたぞ?!」
『そうです!ご主人様、私が間違ってました!先程、自由だった時に殺っておくべきでした!!』
「ハンナ!!分かってくれればいいの!二人で協力してあの糞ビッチ共に制裁を下そう!!」
『はい!!』
『「ガアアアアアアア!!!!」』
「オイッ!!こいつらここにきて和解しやがった!駄目な同盟組みやがったぞ?!これ、もう手に負えないぞ?!」
「鎖だ!!鎖を持ってくるのだ!!縄ではいかん、食いちぎられる!!急ぎ鎖で拘束を!!それと麻酔か鎮静剤を持ってくるのだ!!長くは保たなぬ!急げ!」
こうして場は、更なる混迷を極めだしたのだった…………。
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