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133話 Aブロック二試合・三試合


 ※第二試合につきましては、コンプライアンス的な問題があり、描写を控えさせていただきます。書いたらノクターン行きが決定してしまいます。

 読者の皆様には大変申し訳なく思います。

 

 「と、とうちゃ~ん!死なないで~!?」

 

 ゲッソリと干からびてはいるが、どこか幸せそうな顔でタンカに乗せられて運ばれるタケゾウとシゲルに子供達が心配そうに群がる。その後を、鬼の形相となった嫁二人がついて行く。

 

 彼らは目覚めたら地獄を見ることになるだろう。

 

『だ、第二試合は『痴女連合』の……正確にはミロク選手の圧倒的一人勝ちでした!えっと……い、いまの試合についてジャンクさんはどう思いましたか?』

 

『どうもこうも、公衆の面前でやっていい試合じゃなかっただろ……。あんな、手技と腰使い……。男ならイチコロだろ。これ、大丈夫なのか?衛兵とか飛んでこないか?』

 

『その辺は大丈夫かと。何を?とは言えませんが、エマリオ様が関係各所に必要なものは握らせたと仰ってましたから多少の無茶をしても大丈夫だと』


『闇深けぇな……。つか、あの人達大丈夫か?社会的に死んだようなもんじゃ……』

 

『ま、まあ、あれは確かにそうでしたが……あとは家庭の問題ということで。と、取り敢えず、勝者は『痴女連合』です!』

 

「「「ウオオオ!!」」」

 

 野郎共の野太い歓声が響き渡る。男達は皆、満足そうな表情で拍手や声援を送り、口々に……。

 

「俺もあとでミロク様にお願いしにいこう!」

 

「やべ!興奮が止まらねぇ!ミロク様半端ねぇ!」

 

「あのブロズってのも痴女なのかな?」

 

「じゃねぇか?痴女連合なんだし。それに、大人しそうに見える奴ほど案外……」

 

 などと騒いでいる。

 

 尚、女性陣はそんな野郎共に絶対零度の視線を向けていた。

 

 まあ、総じて言えば、子供にはお見せできない試合内容であった。

 

※尚、子供の観客については保護者が何とか目隠しして見せずにすんだとのことです。

 

『で、では勝利者インタビューですが……ミロクさん。試合はどうでしたか?』

 

『はい、たいへんおいしゅうございました』

 

『何が?とは聞きませんよ。取り敢えず、この後にシャワー浴びてもらえます?めっちゃ匂います。えっと、それと、ブロズさんはどうでしたか?』

 

 イロハが両手で顔を覆うブロズにマイクを向けた。

 

『一緒だと思われるのが恥ずかしい……。もっとパートナーを誰にするか考えればよかった……』

 

『心中お察しします。という訳で、勝者は痴女連合のお二人でしたー!』

 

 野郎共の声援と、女性陣の冷たい視線を浴びながら『痴女連合』がリングを後にした。

 

『さて、では第三試合……の前に、このままでは物理的にも精神的にも衛生面に問題があるので、一度リングの清掃をします!暫くお待ちください!その間は、『眼帯少女ズ』の歌と踊りをお楽しみください!』

 

 ※それからそれから、30分後……。

 

『君の瞳を隠す眼帯!君の心を隠す眼帯!君の秘密を隠す眼帯!なんてJYAMANANDA!!眼帯!!』

 

『はい、ありがとうございました!眼帯少女ズによる『眼帯って、ぶっちゃけ邪魔じゃね?』でした!いつ聞いても良い曲ですね!』

 

『いや、歌詞に一ミリも共感が湧かなかったんだが……?これ、若者の間では流行ってるの?』

 

『それは後でファンから闇討ちされる禁句ですよ?帰り道は気を付けてくださいね。それでは準備が整ったので、三試合を開始致します!』

 

 イロハの宣言に会場中から歓声があがる。

 

『それでは青コーナーより!美しさこそ力!金と桃色のハーモニー!ゴージャスレディースです!』

 

 紹介とともにゴルデ達がゲートから登場する。

 その表情は真剣そのものであり、このトーナメントに対する本気具合が伺えた。

 

『さあ、続いて赤コーナー!その正体は不明!謎の覆面二人組!ミステリアスパートナー2だ!』

 

 反対のゲートから、片や大柄、片や小柄といった、対照的な体格をした覆面の二人が入場する。

 

「フン。随分ふざけた姿をしてるわね。一体なんのつもりなのかしら?」

 

「……」

 

 ゴルデの問いに覆面二人組は答えない。

 ただ黙ってゴルデ達を見ていた。

 

「答えないのね。まあ、いいわ。私達は優勝賞品の『乙女の雫』を絶対に手に入れたいの。あれさえあれば……」

 

「私達の長かった冬が終わるはず。だから、誰が相手だろうと叩き潰す所存よ!」

 

 闘志を顕に構えをとるゴルデ達。これまで異性とまともに恋愛ができなかった二人にとって、優勝賞品である『乙女の雫』は喉から手が出るほどに欲するものであった。

 

 それ故に、二人の優勝に対する熱意は並々ならぬものだった。

 

『おーっと!ゴージャスレディースからとてつもない闘志が伝わってきます!凄まじい気迫です!対するミステリアスパートナーですが……。試合も開始ですし、そろそろ正体を明かしていただけませんかね?』

 

 イロハがそう聞くと、ミステリアスパートナー達は自分達が纏う真っ黒な衣装に手をかけた。

 そして、それを勢いよく剥ぎ取り、その姿を明かした。

 

 その正体は…………。

 

「なっ?!あ、あんたは?!」

 

 ゴルデが驚きに目を見開いた。

 

「アリス!?それにイシヅカ?!」

 

 なんと明かされた正体は、昔は魔王軍の幹部。今やカオリの使いっパシりの、アリス&イシヅカコンビであった。

 

 二人は揃いの真っ黒なレオタード姿。かつ、死んだ目でゴルデ達を見ていた。

 

『な、なんと!?ミステリアスパートナー2の正体は、可憐な少女と明らかに人外の奴だぁぁ?!いや、肌緑色だし、この大柄な奴は明らかにゴブリンの上位種かなんかでしょう?!』

 

 明かされたミステリアスパートナーの正体に……正確にはイシヅカに対し、イロハが動揺する。

 そんなイロハにスタッフの一人が駆け寄り、何やら小さな紙を渡した。

 

『えっと、情報が来ました!選手名は少女がアリスで、ゴブリンっぽいのがイシヅカとのことです!イシヅカ選手はゴブリンっぽいですがゴブリンではなく、肌がちょっと緑がかった、ただの太った中年おやじだそうです!』

 

 めちゃくちゃ怪しい内容が書かれた紙であった。が、最後の方に『これ以上追及するな。byエマリオ』と書かれていたので、イシヅカへのコメントを控えた。所詮、彼女も雇われの身。長いものには巻かれるタイプだった。

 

「暫く姿を見ないと思えば……。どうゆうつもり?なんでこの大会に参加しているのよ?」

 

 ゴルデが問いただすも、アリス達は答えない。ただ、死んだ目をしているだけだ。

 

 が、一瞬だけアリスの目がチラリと動いた。

 その目が向けた先……そこには玉座に座るカオリの姿があった。

 

 それを見てゴルデは色々と察した。

 

「……もしかして、カオリの命令?」

 

 アリス達は答えない。が、片目だけウインクして合図を出してきた。明らかに『是』である。


「……もしかしなくても、あいつ賞品を手に入れる確率を少しでも上げるために、あんたらを?」

 

 またもや片目でウインク。『是』である。

 

「てことは、他の覆面も……?」

 

 またまたウインク。『是』である。

 

「んで、そういった不正がバレないよう、余計な事は言わないように口封じされてるとか?」

 

 アリス達はとてつもなく悲しそうな顔をした。これ以上ないほどの『是』である。

 

「あいつ……!?」

 

 ゴルデはカオリを睨んだ。対するカオリは下卑た笑みを見せながら、親指を逆さに立てた。

 

「あの糞野郎……?!」

 

『それでは試合を開始します!第三試合!レディィィィィfight!!』

 

 カーン!

 

 ゴングが鳴らされ試合が始まった。

 その瞬間、イシヅカがドスドスと巨大を揺らしながらゴルデへと突っ込んできた。

 

「スマン!お前ニハ恨みハナイガ、儂ラノ命もかかっテいるのダ!ココで倒さセテもらウ!」

 

 叫びながらイシヅカが腕を横薙ぎに振るう。ゴルデはしゃがんでそれをかわすと、機敏な動きでイシヅカの背後へと回る。そして、隙だらけの膝裏へと蹴りを放った。

 

「グワッ?!」

 

 バランスを崩して膝をつくイシヅカ。ゴルデはここぞとばかりに背後からイシヅカの首を締め上げた。

 

「ゴガァ?!」

 

「そっちの事情は分かったわ。けど、私にも負けられない事情があるの!だから、全力でいかせてもらうわ!」

 

 首を締める腕に少しずつ力を込めていく。イシヅカは必死にゴルデの手をバンバンと叩くもビクともしない。ただでさえ顔色の悪いイシヅカの顔色が更に悪くなる。これで早くも勝負が決まるか?そう思われた時……。

 

「させるか!!」

 

「グッ?!」

 

 ゴルデの背に衝撃が走った。

 

 イシヅカを助けるため、アリスがゴルデの背にドロップキックを放ったのだ。

 

 思わず腕を放してしまったゴルデ。対し、解放されたイシヅカは首に回されていた手を握ると、ゴルデを軽々と放り投げた。

 

「ぐわっ?!」

 

 ゴルデは背中からリングに叩きつけられ、短い悲鳴を上げた。

 

『おっーーと!早々にピンチを迎えたイシヅカ選手でしたが、アリス選手により救助され辛くも難を逃れましたぁぁ!!』

 

「何をやってるのよ!迂闊に攻めすぎよ!」


「ゴホッゴホッ!も、申し訳ナイ……」

 

 咳き込むイシヅカを横目に見ながら、アリスが倒れたゴルデに向かって駆け出す。

 

「『デモンクロウ』!!」

 

 アリスの爪がシャキン!と、鋭利な刃物のように伸びる。アリスはその爪をゴルデ目掛けて振り下ろした。


「あぶっ?!」

 

 間一髪で回避したゴルデだが、アリスは更なる追撃をする。

 

「トラトラトラァァ!!」

 

「あぶっ?アブナッ?!ちょ、これ反則でしょう?!武器じゃないの?!」

 

『ということですが、エマリオ様?』

 

『爪は身体の一部なので、アリで』

 

「ちくしょうがぁぁぁぁぁ!?」

 

 ゴルデの抗議も空しく、スポンサーの意向で握りつぶされた。

 

 必死にアリスの爪を回避するゴルデだが、徐々に追い詰められた。

 

「無駄よ無駄!私達の休暇の為に負けを認めなさい!」

 

「休暇ってなによ?!」

 

「このトーナメントで一勝する度に週休1日貰えるのよ!連日連夜こき使われるパシりの日々に舞い降りたわずかな希望!私達のちょっとした自由のための犠牲になりな!」

 

「理由が切実過ぎる?!」

 

 なんとも涙を誘う理由に同情の念が湧くも、ゴルデも負ける訳にはいかない理由がある。そろそろ彼氏の一人でもできないと、田舎の両親が安心できないし、何より焦りが半端ない。だから、何としてでも『乙女の雫』は手に入れなければならない。

 

 とは言え、アリスの動きは相当なものであり、ゴルデは回避するのが精一杯である。

 

 良いとこなく敗れたために忘れがちであるが、アリスはこれでも魔界十三魔将の第二位の実力者である。本来は魔法主体の戦闘が得意な彼女であるが、近接戦も並以上の実力を持っている。そんな彼女に苦戦するのは当然というか、むしろ食い下がるゴルデが凄いだろう。

 

 だが、善戦空しく遂にコーナーへと追い詰められた。

 

「くっ?!」

 

「諦めな!!」

 

 アリスが爪を振り下ろそうとした瞬間、ローブ際からシルビが手を伸ばした。

 

「ゴルデ!タッチよ!タッチ!」

 

 ゴルデは即座に手を伸ばしてタッチする。そして、そのままリングの外へと出て寸でのところで爪を回避し、代わりにシルビがリングインした。

 

「チッ!もう少しだったのに……まあ、いい!状況は変わらないわ!」

 

 アリスはリングインしたシルビを睨みつけながら、爪を振り上げた。が、シルビに焦った様子はない。

 

「死ねぇぇぇ!」

 

 アリスが爪を勢いよく振り下ろすが、シルビは全くのノーガードだった。これをアリスは怪訝に思うも、恐怖で動けなくなったのだろうと判断した。

 

 そして、アリスの爪が無慈悲に振り下ろされ、シルビを両断……しなかった。

 

 なんと、アリスの爪はシルビにあたる直前、見えない壁のようなものによって防がれていたのだ。

 

「な、なんだと?!な、なんだこれは?!」

 

 驚愕するアリスを他所に、シルビは不敵に笑った。

 

「ふふ……驚いた?これこそ、呪われた魔法少女用戦闘服(妖精メイドタイプ:対象年齢12歳)の力。『妖精の護り』よ」

 

「な、なんですって?!」

 

「この私が着用する呪われた魔法少女用戦闘服(妖精メイドタイプ:対象年齢12歳)には、メイド好きで強大な妖精の力が宿っていて、同じ妖精の力かメイド服を着た者以外の攻撃を全て防いでしまうのよ…」

 

 自虐的に笑うシルビの説明にアリスは愕然とする。まさか、自分の力がこんなふざけた服によって防がれるとは夢にも思っていなかったのだ。

 

「メ、メイド好きの妖精って何よ?!ふ、ふざけた格好してるとは思ってたけど理由があったのね…。確かに、そんな効力があったら、そんなピチピチになっても着てるわよね。てか、キツくないの、それ?」

 

「余計なお世話じゃぁぁ!!喰らえ、家政婦妖精拳メイドフェアリーナックル!」

 

 シルビが叫びながら拳を振るうと、そこから青白い光の塊が射出される。光はやがて拳の形となってアリスに襲いかかった。

 

 アリスはそれを寸でのところで回避する。

 

「な、何よこれは??」

 

「これも呪われた魔法少女用戦闘服(妖精メイドタイプ:対象年齢12歳)の力の一つよ!メイド好きの妖精は、あらゆる形となって私の戦闘をサポートとしてくれるわ!仕組みについては一切知らない!なんか使えるようになってた!!」

 

「そんな力をよく使えるな?!」

 

「使えるもんは何でも使わせてもらうわよ!」

 

「てか、これアリなの?!これこそ武器じゃないの?!」

 

『だそうですが?』

 

『面白いんでアリで』

 

「ちくしょうがぁぁぁぁぁ!?」

 

 シルビは再び自虐的な暗い笑みを見せながら、次々と拳を放つ。

 

 アリスはアリスで、次々と襲いくる光の拳をなんとか回避する。が、拳の数は多い上に、上下左右に不規則に動きながらアリスを翻弄した。

 

 やがて、拳の一つがアリスのボディーへとヒットした。

 

「ぐぶっ?!」

 

 もろに鳩尾に入りアリスは苦痛から足を止めてしまった。そこを狙い、次々とシルビが拳を放つ。

 

「隙だらけじゃあああ!逝けや!!オラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

 

「グワァァァァァァァ!!」

 

 最早、拳だけでなく、なんかシルビの背に青白いガチムチな人型……おそらくは妖精らしきものが現れ、容赦なく拳を振るう。

 

 そんな妖精?の拳によって滅多打ちにされるアリス。

 

 反撃の隙もない程の連打になす術がない。いや、よしんば反撃できても、ふざけた服の前に攻撃が通じないという最悪な状況。

 

 薄れゆく意識の中、アリスは最早詰んだな……と思い、試合を諦めようとした。

 

 その時……。

 

「アリス殿!諦めテハなりませンゾ!」

 

 リング外からイシヅカの声が響いた。

 

「先程、シルビは自分で服の攻略法を喋ってオリマシタ!ダカラ準備してキマシタ!これデ攻撃が届くはずですゾ!」

 

 絶望の中に差す一筋の光。

 

 攻略法と聞き、アリスは目を輝かせてイシヅカがいるローブ際を見た。

 

 そこには……。

 

 

 

「これで我々の攻撃も届くハズデスぞ!」

 

 どこで手に入れ、いつ着替えたのかは知らないが、メイド服姿となったイシヅカの姿があった。

 

 その姿にアリスもゴルデも…観客達も絶句する。

 

 サイズが合っておらずピチピチとなったメイド服のイシヅカ。腹は出て、あっちこちから肉が飛び出ている。しかも、ご丁寧にホワイトブリムとニーハイソックスまで着用しているというサービス精神。

 

 最早、メイドに対する冒涜とも取れる姿がそこにはあった。

 

 が、会場中が冷たい視線(主にメイドフェチズムなシンシ諸君及び本業の方々)が浴びせられてるにも関わらず、当の本人たるイシヅカは至って真剣な表情でであった。

 

「この姿とナレバ攻撃が通じるハズ!ならば着替えるマデ!さあ、アリス殿も早くオ着替えヲ!」

 

 そして、そんなイシヅカの手にはアリス用と思わしきお揃いのメイド服が……。

 

 ゾワリ。

 

 アリスは背筋に冷たいものを感じた。

 

 私に……着ろと?しかも、お揃いのを?


 確かにメイド姿となれば攻撃が通じるかもしれない。しかし、それは人前でメイド姿になって人間に媚びろという悪魔として最大の屈辱である。

 

 しかも、この糞デブ(イシヅカ)とお揃い…俗にいうなればペアルックになるという恥辱付きである。

 

 どうする?着替えて勝ちに行けば休暇を手にするが、とんでもない屈辱と恥辱が一生ついてまわる。しかし、負けたら負けたで、どんな制裁が待っているか……。

 

 アリスは暫し悩んだ末に……。

 

 

 

「オラアアア!もっとこいやぁぁぁぁ!!」 

 

 アリスはシルビ目掛けて走りだした。ただがむしゃらに。真っ直ぐに。回避など考えずに。

 

 アリスが選んだ選択。それは敗北覚悟での特攻であった。

 

 メイド姿となって屈辱を味わうよりも、華々しく散った方がマシだと判断したのだ。

 

「あ、アリス殿?!」

 

 イシヅカが困惑の叫びを上げるのも構わず、アリスは闇雲に突っ込んでいく。

 

 そして……。

 

「へへ…敗北覚悟での特攻とはグレートだぜ。だが、容赦はしねぇぇ!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

 

「あべしっ?!」

 

 シルビの背後かスタン…妖精さんが現れて容赦なく拳を振るい、アリスは吹っ飛んでいった。

 

 リングへと倒れ伏したアリスは完全に失神していた。が、その顔はどこかやり遂げたかのような達成感に満ち溢れていた。

 

 そして、当の妖精さんはアリスを吹っ飛ばした後、何故かイシヅカへと視線を向けた。

 

 そして…。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

 

「えっ?!ちょ、なんブラアアアア?!」

 

 イシヅカはアリスの二倍以上ボコられた。 

 

 どうやらメイド好きとして、イシヅカのメイド姿が許せなかったらしい。

 

 イシヅカはアリスの二倍以上ぶっ飛び、観客席へと頭から突っ込んだ後に意識を失った。

 

 その瞬間、イロハが宣言を上げた。

 

『勝負ありぃぃぃ!勝者、ゴージャスレディースゥゥゥゥゥゥ!!』

 

 観客席からは爆発的な歓声が上がった。そんな中、VIP席にいる香だけが苦虫を潰したような表情となっていた。 

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