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閑話 やっと登場した宿敵達!魔王幹部達は語らう!

今回は会話パートです。

やっと勇者の宿敵達が会話だけですが、まともに出てきます。


 魔界……そこは魔族が支配する暗黒の大地である。ただ、魔界といっても別世界にあるわけでなく、人間の住む世界とは同じ場所にあり、魔族が支配する地を魔界と呼ばれてるだけである。

 

 そんな魔界の中心部には魔族達の都……『魔都ゲスランド』があり、更にその魔都の中心には、見上げる程に巨大な黒い城、魔王城が聳え立っていた。

 

 そんな魔王城の一室……暗く閉ざされた広間。そこには大きな円卓が設置され、その円卓を囲うように十三の席があった。

 

 そして、そのそれぞれ席──三つ程の席は空席になってるが──には大小様々な十の影が座っていた。

 

 その影こそ、魔界最強の者達であり、魔王直属の精鋭戦士『十三魔将』達であった……。

 

 ※ここから会話パートです。

 

1「フム……これで全員揃ったようだな。それでは会議をはじめようぞ」

 

2「チッ!三つ程、席は空いてるがな。アーリマルクの馬鹿が捕まったのは知ってるが、他の二人はどうしたんだ?」

 

3「か、片や任務のため欠席ですが、も、もう一方は無断欠席とのことです!ハイ!」

 

2「チッ!勝手な野郎だぜ!」

 

4「そうカッカッしない方がいいわよぅ坊や。アイツのマイペースはいつも通りだし、魔王様もお許しになってるんだからぁ」

 

2「チッ!分かってるよ!あと、坊やって呼ぶんじゃねぇよ!ぶっ殺すぞ!」

 

5「ヒョヒョヒョ。若いの若いの……。その程度で苛つくとは若いのう……」

 

2「チッ!黙れよ、糞ジジイ!」

 

6「そろそろ本題に入らんかい。儂らも暇じゃないんだぞい」

 

2「チッ!確かにそうだ。とっとと始めようぜ!なあ?」

 

7「…………」

 

2「チッ!相変わらず不気味な野郎だぜ!」

 

8「我が剣に斬れぬものなし」

 

2「チッ!相変わらず不気味な野郎だぜ!」

 

9「オデハラヘッタ」

 

2「チッ!相変わらず不気味な野郎だぜ!」

 

10「フフフ……此度の会議も荒れそうですなぁ」

 

2「チッ!相変わらず不気味な野郎だぜ!」

 

10「私は普通じゃなかったですか?!」

 

1「騒ぐな。会議をはじめるぞ。まずは、勇者が出現したことについてだ」

 

5「ヒョヒョ……勇者出現……か。その報は間違いないのかえ?」

 

1「情報部からの報告故に、間違いあるまい。魔王様を打ち倒すため、極秘裏に人間共が勇者召喚を行ったと考えるべきだろう」

 

2「チッ!なら話が早えぇ!勇者の居場所を教えな!俺が行って、速攻ぶっ殺してやるぜ!」

 

4「そう焦らないの、坊や。せっかちな男は女に嫌われるわよ?」

 

2「チッ!だから坊やって呼ぶんじゃねぇ!」

 

6「いちいち闘気を振り撒くな。……で?魔王様は勇者出現にはなんと?」

 

1「今はなんとも。例の件により精神的ダメージが大きすぎて、部屋に引き込もっておられる……」

 

4「あー…………あの、アーリマルクのやつね?奴の裏切りの証拠物品の一覧にあった魔王様のエロ本から、魔王様の性癖が魔界中にバレた……」

 

5「押収された証拠のエロ本を公衆の面前で晒されるのは、さすがにキツイからのぅ………」

 

2「チッ!NTRに燃えるとか、理解できねぇぜ!」

 

1「口を慎め貴様ら!例え人妻NTRものやら、不倫浮気系、更に痴漢・強姦好きの歪んだ性癖を持つどうしようもない御方であろうと、我らが王ぞ!そのような口を聞くは不届きであろう!寧ろ、そんな業の深い性癖を背負ってこそ、流石は深淵の主たる魔王様であると誇りに思えい!」

 

4「……あんたが一番不届きじゃない?」

 

6「まあ、よいわ……。今は魔王様が役た……お休みになっているならば、我らで解決するしかあるまい」

 

1「左様、その通りだ。元より魔王様の手をわずらわせるまでもない。我らの手で勇者を仕留めようぞ」

 

2「チッ!なら話が早えぇ!勇者の居場所を教えな!俺が行って、速攻ぶっ殺してやるぜ!」

 

4「そういうことだったら私も黙っていられないわね。私に任せてくれたらトロトロにとろけさせてあげるわ」

 

6「儂が行く。それで終わりじゃ」

 

7「…………」※無言で手を上げる。

 

8「我が剣に斬れぬものなし」

 

9「オデハラヘッタ」

 

5「ヒョヒョヒョ……皆血気盛んじゃのう……。しかし、その気持ちは分かるわい。どれ、この老いぼれも立候補させてもらおうか」

 

10「どれ……それならば、私も立候補させて頂きましょうか」

 

2「チッ!相変わらず不気味な野郎だぜ!」

 

10「なんでですか?!」

 

3「み、みなさん、待ってください!ゆ、勇者を倒したいという気持ちは分かりますが、ま、まだ問題があるのです。ハイ!」

 

2「チッ!問題だと?なんだそりゃあ?」

 

6「何か勇者を倒すことに差し障りでもあるのか?」

 

3「ゆ、勇者を倒すことに問題はありません。僕も賛成です!で、ですが、その勇者に問題があるのです。ハイ!」

 

4「問題?何が問題なのぅ?そういえば、そもそも勇者は今、どこにいるのかしらぁ?」

 

5「ヒョヒョ……それは気になるのう。どこに勇者は身を潜めておるのじゃ?」

 

3「は、はい。情報部と暗部による調査では、アンデル王国にいるのは間違いないと言われていますです。ハイ!」

 

6「アンデル王国……。確か、前に貴様らが部下を差し向けた国だったな?」

 

2「チッ!そうだよ!手勢のフレイムレオを送ったが、何故か事前に察知されて、能力を発揮する前に討伐されちまったよ!忌々しい!」

 

4「ええ……。妾も部下を差し向けて外側からじっくり侵略しようと思ったのに、送った直後に囲まれて討伐されてしまったそうよぅ……」

 

5「ヒョヒョ……。アンデル王国と言えば小さくも大きくもない半端な国。目立った人間の戦士もおらぬ故に、特に気に止めてなかったが……なるほど。勇者がいるとなれば納得の結果じゃのう……」

 

6「確かに勇者の力であれば木っ端魔族など容易く蹴散らすであろう。して、それの何が問題なのだ?先程、其奴も申していたが、アンデル王国は特に目立ったものがない国だ。寧ろ、軍事力も然してある訳でもない弱小国。勇者と協力しようと、我らが本気になってかかれば国ごと容易く葬れるはずだ」

 

4「まして、勇者はまだ召喚されたばかりだというじゃない?なら、成長する前に芽を摘むのが得策じゃない?」

 

1「何か問題があるのか?」

 

2「も、問題というか、そ、そもそもどう扱っていいのか分からない不確定情報がありまして、その問題を解決しないうちから戦力を投じるのは危険と言うか、なんと申しますか…ハイ…」

 

2「チッ!はっきりしねぇな!一体何があるっていうんだ!!とっとと言いな!!」

 

3「ヒッ?!そ、それが、魔力観測班によれば、その勇者がいるアンデル王国内に、魔王様の魔力が感知されたとのことなのです、ハイ!」

 

1「…ハッ?」

 

2「……ハァ?」

 

4「………ハァァ?」

 

5・6・10「ハァァァ??」

 

7「………」※無言で腕を組む。

 

8「我が剣に斬れぬものなし」

 

9「オデハラヘッタ」

 

2「チッ!相変わらず不気味な野郎だぜ!って、そうじゃねぇ!お前、何言ってんだ?言ってる意味がわからねぇぞ?魔王様の魔力が感知されたってどうゆうことだ?」

 

5「其奴の言うとおりじゃ。魔王様は部屋に籠っておられるのだろう?なのに、何故その魔王様の魔力がアンデル王国なぞで感知されるのじゃ?」

 

3「そ、それは分かりません!と、というか、正確には感知されたのは魔王様であって、魔王様の魔力ではないのです、ハイ!」

 

1「益々意味が分からん……。どういうことか、分かり安くて説明してくれ」

 

2「は、はい。か、観測された魔力の波動は、間違いなく魔王たる証とされる、七大罪と呼ばれる魔力波動に違いありませんです、ハイ!」

 

6「ウム。魔王たる証は、古に存在したとする神への反逆者……大魔王様の断片たる七大罪の魔力を持つことであるからな。そして、その証を持つのは今のところ、我らが魔王様の『色欲』だけのはずだ。……まさか?!」

 

3「は、はい……。観測されたそれは、他の大罪の波動であったと……ハイ………」

 

1「なっ?!な、ならば、魔王様以外に魔王の素質に目覚めたものがいるというのか?!」

 

3「そ、そうなると思います。観測班からの魔力波動の識別から、恐らくは『嫉妬』の魔力だと思われますです、ハイ」

 

5「なんと………。まさか、同じ時代に魔王の素質を持つ者が二人も現れるとは………。これは驚きじゃな………」

 

6「しかも嫉妬だと?これまで強欲と色欲に目覚めたものは聞いたことがあるが、嫉妬とは………。新たなる七大罪の覚醒。これは我ら魔族にとって吉兆ではないのか?」

 

1「然り然り。我らには既に魔王様という偉大なる指導者はおるが、その御方も我ら魔王軍に丁重にお迎えすべきであろう」

 

9「オデハラヘッタ」

 

4「妾もその御方をお迎えするのには賛成だわぁ。それで、その御方が現れたというのが問題なの?寧ろ、勇者を潰し、新たなる戦力を迎え、ついでに人間の国を潰す。問題どころか、一石三鳥でいいことだらけじゃない?」

 

1「我もそう思うが、何が問題なのだ?」

 

3「そ、それなんですが、そもそもとして観測されたその者の瞬間最大魔力は、現魔王様を優にしのぐほどあり、その力は約1000万マオーパワーとなっています、ハイ」

 

1「なっ!?」

 

4「いっ、いっ、いっ………」

 

2・5・6・10「1000万マオーパワー?!」

 

1「ま、魔王様でさえ98万マオーパワーだというのに、その十倍?!な、何かの間違いではないのか?!」

 

3「さ、再三に渡る計測と確認の結果、間違いないという………ハイ………」

 

6「なんと………」

 

5「驚き過ぎて何も言えんわい………」

 

4「そ、その話が本当なら、迎え入れるどころじゃないのでは?寧ろ、その方を新たなる魔王様に………」

 

1「軽率なことを申すな!それ以上は不敬であるぞ!!」

 

4「わ、分かっているわ!で、でも、どうするっていうの?!そんな力を持つ方が、大人しく魔王様の下につくとは思えないわ!」

 

1「そんなことは分かっておる。しかし、だからといって魔王様のすげ替えなどすれば、せっかくここまで纏まることができた魔王軍に亀裂が生じる。下手をすれば、内部分裂が起こる………」

 

5「左様………。魔王様は偉大なる魔族の指導者たであるが、全ての魔族が魔王様を敬っている訳ではない。魔王様に不満を抱く不穏分子や、魔王様の性癖を危惧し、妻をNTRされないか危機感を抱く者などが少なからずおる。そんな輩に今回の件が知られれば、反乱が起きるやもしれぬ………」

 

6「なんとも頭の痛い問題だな。強大な力を持つ者が現れたのは喜ばしいことだが、それが魔王様をも越えた力を持っていようとは………。非常に扱いに困るな………」

 

2「チッ!メンドクセェな!!」

 

3「ちょ、ちょっと待ってください!まだ、話には続きがあるのです、ハイ!」

 

1「まだ何かあるのか?」

 

3「は、はい。その嫉妬の力を持つ者の魔力反応ですが、今は完全に消えてしまっているのです、ハイ」

 

5「消えた?反応が消失したということか?」

 

3「は、はい………。魔力が観測されてから暫くすると、突如として反応が消えてしまったのです。まるで、最初から何もなかったかのように。それ以後は反応が観測されていませんです、ハイ!」

 

4「どういうことよ?機器の故障か、何かのの間違いだったって訳?」

 

6「いや、それはあるまい。儂ら魔族の観測班は非常に優秀だ。機器も最新のもの。多少のミスや誤差はあるやもしれぬが、そんな大規模な魔力反応を見間違えるなど考えられまい」

 

2「チッ!じゃあ、どっかに移動したんじゃねぇのか?」

 

4「それならその反応を追えてるはずでしょう?反応が完全に消失したってことは、考えられる理由は………」

 

7「………………討伐された………か」

 

2「チッ!相変わらず不気………しゃ、喋った?」

 

5「こやつの声は久々に聞いたのう。だが、それよりも、今の意見じゃ。恐らく、間違っておるまい。魔王級の力を持ちながら、その者は討伐された。故に、反応が消失したのじゃ。そして誰が討伐したかという話じゃが………」

 

10「………話の流れから、考えられるのは一人だけ。………勇者しかいないでしょう」

 

1「勇者………………」

 

6「成る程………。それで最初の話に戻るという訳か………」

 

4「ちょ、ちょっと待って?!じゃ、じゃあ、その勇者は、魔王様を越える力を持つ者を討伐できるだけの力を既に有しているってことなの?!」

 

5「信じたくないが、そういうことじゃろ……。成る程………そういうことならば、下手に手を出すのは危険。そうじゃな?」

 

3「は、はい、そうです………。僕も最初は信じられませんでしたが、状況から推測できることはそれしかありません。勇者は、非常に既に強大な力を得ているとしか考えようがありませんです、ハイ!」

 

6「魔王様を既に越える力……なんてことだ……。確かに手を出すのは危険だ………」

 

2「チッ!じゃあ、どうすんだよ?!放っておけっていうのかよ?!」

 

1「いや、それもない。放っておくなど、愚策だ。手は出さぬが、監視役を置き、勇者の動きを常に見張っておいた方が良い。そうすれば、今後の対応や対策………上手くいけば、勇者の弱点を見つけられるかもしれぬ」

 

5「手は出さぬが、目を置いておく………か。ウム、それが得策じゃろうて。まずは何より情報収集が優先であろう」

 

4「妾も賛成よ。そんな危険な勇者に無策で突っ込むなんて自殺行為よ」

 

6「異論はない」

 

2「チッ!偵察とか趣味じゃねぇが仕方ねぇな」

 

3「ぼ、僕ももちろん賛成です、ハイ!」

 

7「………………」※無言で頷く。

 

8「我が剣に斬れぬものもあり」

 

9「オデイママンプク」

 

10「私も勿論賛成でございます」

 

2「チッ!気持ち悪い野郎だ」

 

10「さっきから何なんですか?!私に不満でもあるのですか?!」

 

1「では決定だな。偵察を送り込み、勇者の情報収集を行う」

 

5「で、誰を送り込むのじゃ?本来だったらアーリマルクが適役だったはずじゃが、今は牢獄じゃろうし………」

 

1「それならば心配ない。近頃、急速に名を上げている暗部の凄腕がいる。其奴を送り込む」

 

6「ほう?そんな奴がいるのか?名は何と言うのだ?」

 

1「ペトラという。勇者の情報を持ち帰ったのもこいつだ。奴ならば、勇者のあらゆる情報を探ってくれるだろう」

 

 ペトラの苦難の日々が始まった。

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